Project/Area Number |
23K22422
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Project/Area Number (Other) |
22H01151 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13020:Semiconductors, optical properties of condensed matter and atomic physics-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長谷 宗明 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40354211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 雄太 東北大学, グリーンクロステック研究センター, 教授 (50738052)
Fons Paul 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (90357880)
畑山 祥吾 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (50910501)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | スピン / トポロジカル物質 / 第一原理計算 / フェムト秒レーザー / ワイル半金属 / 逆ファラデー効果 / フェムト秒 |
Outline of Research at the Start |
近年、物質への超短光パルス照射により光磁気効果が物質内で生じ、有効磁場を励起できることが分かり、トポロジカル物質、特にワイル半金属などにおいても観測の可能性が示唆されている。本研究では、波長800nmの近赤外域フェムト秒パルスレーザーと非線形光学効果を駆使し、さらに第一原理計算による理論的考察も行い、トポロジカル絶縁体やワイル半金属など、新規トポロジカル物質におけるスピンダイナミクスの物理の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に引き続き、既存のフェムト秒レーザー再生増幅器+光パラメトリック増幅器(中心波長800 nm, 1100~1600 nm, <60 fs, 繰り返し100 kHz)を活用して、典型的なトポロジカル絶縁体であるBi2Se3単結晶試料において時間分解カー回転信号の波長依存性を取得し、さらに幅広いエネルギー領域における分光エリプソメトリ測定と第一原理計算によるBi2Se3のバンド構造計算結果における考察から、バルクのバンド間遷移(約1 eV)に共鳴したスピンダイナミクスを明らかにした。この研究成果については、学会で発表した他、現在論文雑誌に投稿中である。また平行して進めている、低温下や高圧下ではトポロジカル超伝導を示すことが知られる電荷密度波系1T-TiSe2単結晶では、室温に加えて、4.7 Kという極低温でのフェムト秒時間分解分光システムの光学系の設計および立ち上げを実施し、極低温における長寿命のコヒーレントフォノンのダイナミクスを高感度観測することに成功した。一方、室温においては、マイケルソン干渉計を導入することによりダブルパルス励起を行い、1T-TiSe2単結晶の非平衡状態における電荷密度波揺らぎが光励起で抑制されることを見いだした。この成果については、米国物理学協会刊行の論文雑誌で公表した。さらに、遷移金属ダイカルコゲナイドである2H-MoTe2における非平衡状態における電子―格子相互作用のダイナミクスを明らかにすることにも成功した。時間領域での周期的摂動に関するFloquet理論との関連性を議論し、米国物理学協会刊行の論文雑誌で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの実験で2190 nm(0.57 eV)の差周波光発生には成功したが、既存の光パラメトリック増幅器の出力光(波長1200~1600 nm)を用いたBi2Se3単結晶における予備的な実験の過程で、長波長での実験ではバルクバンドの寄与を排除できないと考えるに至っている。しかし、表面からの信号に特化される第2高調波発生(SHG)をプローブとした測定系に舵を切ることで様々な結晶に適用可能なシステムを構築することに挑戦している。また、非平衡状態においてトポロジカル物性が発現する可能性がある遷移金属ダイカルコゲナイド単結晶試料において、電子やフォノンの実時間観測の実験を進めている他、電荷密度波系の単結晶を極低温で測定するなど、多角的にスピン・フォノンダイナミクスに迫ろうとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
差周波光(DFG)を用いたさらに長波長での実験ではバルクバンドの寄与を排除できないことが分かり、長波長のDFG光ではなく、800 nm光励起+OPA光による第2高調波(SHG)プローブ時間分解スピン計測装置の立ち上げを行う。これにより、トポロジカル絶縁体表面に局在するコヒーレントスピンやスピン電流測定も行うことができると期待している。
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