Project/Area Number |
23K22438
|
Project/Area Number (Other) |
22H01167 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
出口 和彦 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (40397584)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
|
Keywords | 準結晶 / 強相関電子系 / 磁性 / 超伝導 / 低温物性 / 近似結晶 / 量子臨界現象 |
Outline of Research at the Start |
本研究は(1)有効な物質設計指針の複合による新準結晶・近似結晶開発による電子系の長距離秩序・新奇量子状態の探索と(2)準結晶の異常金属状態(非フェルミ液体)が構造(並進対称性の違い)由来の物性なのか探究することを目的とする。準結晶の異常金属状態(非フェルミ液体)が構造(並進対称性の違い)由来の物性かどうか、素励起・ゆらぎに着目して研究を進め、最近明らかになってきた実際に有効な複数の準結晶・近似結晶の作製・探索指針に基づいて新物質開発を行い、極低温物性測定により電子系の相図を作成することにより、準結晶で未だ見つかっていない電子系の長距離秩序と新奇量子状態を探索する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は(i)有効な物質設計指針の複合による新準結晶・近似結晶開発による電子系の長距離秩序・新奇量子状態の探索と(ii)準結晶の異常金属状態(非フェルミ液体)が構造(並進対称性の違い)由来の物性なのか探究することを目的とする。準結晶の異常金属状態(非フェルミ液体)が構造(並進対称性の違い)由来の物性かどうか、準結晶・近似結晶の新物質開発を行い、電子系の相図を作成することにより、準結晶で未だ見つかっていない電子系の長距離秩序と新奇量子状態の研究を進めた。 (1)元素置換によりYbの磁性を制御することが可能になった。さらに、高次元の格子定数を用いて、Tsai型クラスター構造をもつYb系準結晶・近似結晶の磁性が整理できることがわかった。さらに、Ybを含むTsai型のクラスター構造をもつ新しい4元系の準結晶・近似結晶の開発に成功し、Yb系準結晶の非従来型量子臨界現象がAl系以外でも発現することを発見した。この系は1/1近似結晶・2/1近似結晶・準結晶が作成可能で物質の多様性があり、今後の研究の発展に重要な物質系となると考えられる。 (2)Au-Ge-Yb近似結晶の超伝導が準結晶の超伝導の発見につながったことにより、日本物理学会第26回論文賞受賞となった。Au-Ge-Yb近似結晶をベースにした物質開発により、新たにAu-Ge-La近似結晶で超伝導を発見した。特筆すべき点として、準結晶・近似結晶の物質系ではじめての非従来型超伝導が発現している可能性が高い点があり、今後の研究の発展に重要な物質系となると考えられる。 (3)Au-Al-Yb準結晶と近似結晶を中心として研究を進めていた「強相関電子系準結晶に特有の電子状態と価数・磁気臨界状態」についてこれまでの結果をReview論文(J. Phys. Soc. Jpn. 91, 072001-1-31 (2022).)にまとめて出版した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ybを含むTsai型のクラスター構造をもつ新しい強相関電子系の準結晶・近似結晶の磁性に着目して、元素置換などをパラメタ―とした物性制御を試みた。その結果、Yb以外の元素置換によりYbの磁性を制御することが可能になり、高次元の格子定数を用いて、Tsai型クラスター構造をもつYb系準結晶・近似結晶の磁性を整理できることがわかった。さらに、Ybを含むTsai型のクラスター構造をもつ新しい4元系の準結晶・近似結晶の開発に成功し、Yb系準結晶の非従来型量子臨界現象がAl系以外でも発現することを発見した。また、Au-Al-Yb系準結晶・近似結晶の中性子非弾性散乱実験を極低温まで行い、臨界指数・スケーリングから準結晶の量子臨界現象の性質について調べた。その結果、波数Qと温度Tに依存しないE/Tスケーリングが成り立ち、磁化、交流磁化率、比熱の極低温における温度依存性を説明するような臨界指数をもつことが明らかとなった。量子臨界現象を理解するための重要な手がかりとなると考えられる。Au-Ge-Yb近似結晶をベースにした物質開発により、新たにAu-Ge-La近似結晶で超伝導を発見した。準結晶・近似結晶の物質系ではじめての非従来型超伝導が発現している可能性が高く、今後の研究の発展に重要な物質系となると考えられる。以上のことから研究計画は進捗していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)同形置換・共置換を用いた電子濃度制御・多元素化による新準結晶・近似結晶の探索 Au-Ga-Yb準結晶・近似結晶について同価数元素置換によりe/a (1原子当たりの遍歴電子数、価電子濃度)を一定に保ち、Yb原子の配位原子の平均原子半径を置換により変化させて準結晶作製を行う。化学圧力効果に着目して準結晶と近似結晶の対照実験(極低温の電気抵抗・磁化率・比熱測定)を行い、準結晶・近似結晶における強相関電子系の電子相図を作成し、準結晶で未だ見つかっていない電子系の他の長距離秩序と新奇量子状態の探索と異常金属状態の研究を進める。他の遷移金属と典型金属へ同形置換・共置換だけではなく、希土類に関しても{Yb(4fホール), Lu(非磁性)}、{Ce(4f電子), La(非磁性)}の置換系の作成に成功しており、強相関電子系の電子ホール対称性と希釈による非磁性化を利用した強相関電子系準結晶・近似結晶の電子系の新奇量子状態の探索と異常金属状態の研究を進める。 (2)同価数元素置換(化学圧力)の電子相図、エントロピー利得による準結晶作製 Au-Al-Yb準結晶(量子臨界物質)・近似結晶(重い電子系物質)について同価数元素置換によりe/a (1原子当たりの遍歴電子数、価電子濃度)を一定に保ち、Yb原子の配位原子の平均原子半径を置換により変化させて準結晶作製を行う。化学圧力効果に着目して準結晶と近似結晶の対照実験(極低温の電気抵抗・磁化率・比熱測定)を行い、準結晶・近似結晶における強相関電子系の電子相図を作成し、準結晶で未だ見つかっていない電子系の他の長距離秩序(例えば電荷・スピン密度波なども含む)と新奇量子状態の探索と異常金属状態の研究を進める。
|