Project/Area Number |
23K22454
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Project/Area Number (Other) |
22H01183 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
松平 和之 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (40312342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 智嗣 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 産業利用・産学連携推進室, コーディネーター (70360823)
長谷川 巧 広島大学, 先進理工系科学研究科(総), 准教授 (20508171)
網塚 浩 北海道大学, 理学研究院, 教授 (40212576)
中村 和磨 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (60525236)
山地 洋平 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, グループリーダー (00649428)
速水 賢 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (20776546)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2022: ¥9,620,000 (Direct Cost: ¥7,400,000、Indirect Cost: ¥2,220,000)
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Keywords | 電気トロイダル秩序 / イリジウム酸化物 / スピン軌道結合系 / 電流誘起交差相関物性 / 電気トロイダル / 電流誘起 |
Outline of Research at the Start |
新しいタイプの相転移である電気トロイダル秩序を示す候補物質であるイリジウム酸化物Ca5Ir3O12の研究を行う。電気トロイダル秩序は原子スケールの配向自由度および回転自由度の秩序として理解されている。イリジウム酸化物Ca5Ir3O12の電気トロイダル秩序の微視的な機構解明を,放射光による構造解析,共鳴X線散乱および Irメスバウアー分光により行う。また,本対象物質において新たに見出した電流誘起による輸送特性の変化の解明のため,電流印加による歪み・磁化応答, 結晶構造及び電子構造の変化を放射光実験等により実証するとともに,第一原理計算を用いた構造及び電子状態の微視的な機構解明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
テーマA 逐次相転移の微視的自由度の解明 前年度の成果である,中間相の結晶構造がR3であり電気トロイダル秩序で理解できることを示した論文が公表された。 松平と筒井は,Ca5Ir3O12の放射光メスバウアー分光測定を進めた。電子状態やフォノン分散を矛盾なく説明できる新たなスペクトルの解析モデルを見出すことができた。また、そのスペクトルは入射X線のパルス条件に依存することが明らかとなった。松平と筒井は,フランスのESRFにてRIXSの測定を行い1eV以下の低エネルギーでのスペクトルの温度変化を取得した。現在,解析中である。長谷川はIrが4価と5価のイオンの多電子状態からなると仮定して、磁化率の計算をおこない、2022年度に明らかにした磁化率の異方性と大きさを再現する基底状態を明らかにした。その結果、105 Kの転移は5価イオンの自由度を利用した転移である可能性、7.5 Kの磁気転移では4価イオンの|J|=3/2イジング状態による八極子が生じる可能性を見出した。網塚は単結晶試料の磁気転移の詳細を調べ多結晶試料との相違について明らかにした。単結晶試料にわずかな組成のズレが生じている可能性を示した。 テーマB 電流誘起交差相関現象の解明 前年度の成果である,放射光赤外分光による光学伝導度に関する論文が公表された。松平と筒井は,電流印加下での単結晶放射光X線回折を行い,自己発熱による熱膨張の影響を超えた格子定数の電流変化が生じていることを明らかにした。速水は電気トロイダル双極子秩序下で生じる非線形磁気歪み現象に関する対称性および数値模型解析を行うことで、電気トロイダル双極子モーメントを観測するための実験手法を示した。山地と中村が非線形伝導などのメカニズムに関して現象論的なアプローチを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
テーマA 逐次相転移の微視的自由度の解明 RIXSのビームタイムが得られ,Irの電子状態の観測に成功し,また,メスバウアースペクトルの解析モデルも見出せたことで,微視的な理解が可能となった。それを裏付ける磁性についても,解析が進んでいる。 テーマB 電流誘起交差相関現象の解明 電流印加による効果を,格子定数の変化として観測することに成功した。実験事実からメカニズム解明に向けたアプローチが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
テーマA 逐次相転移の微視的自由度の解明 放射光メスバウアー・スペクトルの入射X線パルスの依存性の起源解明を行う。共鳴X線散乱において偏光解析を行うことで、未知である拡張多極子を秩序変数とすることが示唆される磁気秩序相の機構解明を行う。RIXSスペクトルを、磁化率の考察で得られたIr4価とIr5価の多電子状態で理解できるか検討する。Irの5価イオンの低エネルギー励起の理解は105 Kの電気トロイダル状態の起源の解明につながると期待される。単結晶試料における磁気転移の試料依存性の原因について明らかにする。 テーマB 電流誘起交差相関現象の解明 電流印加下のラマン散乱実験について大電流による不可逆な構造変化を調べる。電気トロイダル双極子モーメントが微視的機構を明らかにするための模型解析を行う。その際、格子変形に伴うd-p軌道混成およびスピン軌道相互作用の変化を調べることで、電気トロイダル双極子モーメントの発現に本質的な要素をあぶり出す。
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