Project/Area Number |
23K22464
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Project/Area Number (Other) |
22H01193 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 14010:Fundamental plasma-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田辺 博士 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (30726013)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | プラズマ・核融合 / 球状トカマク / 磁気リコネクション / 大域的構造形成 / 加速・加熱・輸送 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題では、太陽フレア等の基盤物理として知られる磁気リコネクション(磁力線のつなぎかわり)を介した爆発的なエネルギー解放現象を通じて、磁力線がつなぎかわるX点近傍の微細領域を起源として、粒子加速・加熱・輸送過程を経て大域的構造が形成される現象の実験的解明に取り組む。とりわけ、近年東京大学TS-6装置の球状トカマク合体生成実験で新しく発見された、シミュレーション予測と逆極性の高電位領域に高イオン温度分布が現れ、プラズマ科学の新しいフロンティアとして注目を集めているガイド磁場(反平行な磁場が形成する平面に垂直な磁場)の極性に依存した大域的回転現象に着目し、解明に必要な研究基盤の整備を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、太陽フレア等の基盤物理として知られる磁気リコネクション(磁力線のつなぎかわり)を介した爆発的なエネルギー解放現象を通じて、磁力線がつなぎかわるX点近傍の微細領域を起源として、粒子加速・加熱・輸送過程を経て大域的構造が形成される現象の実験的解明に取り組んでいる。同大域的構造形成現象の起源を探るため、本研究では「加速」検出のための電位・電場分布や、E×Bドリフトや流速分布計測、イオン温度の異方性検出システムの整備等を推進している。 研究初年度の2022年度は、ポロイダル成分のイオン温度計測システム開発から着手した。焦点距離f=1m、回折格子刻線数g=2400L/mmの分光器にこれまで実装されていた三重スリット型96CH入力系を200CHにアップグレードするとともに、ポロイダル断面を切断できる集光光学系のTS-6装置への設置を行った(実際はポロイダル平面を直接切断する光学配置ではセンターコイルからの反射光の貢献が大きくなってしまうため、中心軸から80mmオフセットさせた断面を切断する光学系を構築した)。同計測の初期結果では、大域的なイオン温度の回転現象について、事前予測のポロイダルイオン温度が低ポテンシャル側で上昇し、高ポテンシャル側でトロイダルイオン温度が上昇するという事前の理論予測とは異なる結果が得られた。TS-6装置の径方向外側ではトロイダルイオン温度とポロイダルイオン温度が比較的近い挙動を示す傾向が得られ、一方で径方向内側ではトロイダルイオン温度がポロイダルイオン温度より高くなる傾向が得られた。数値シミュレーション研究者らの予測や、2021年度までの実験から想定される予想結果と異なる興味深い初期結果が得られたため、2023年度以降は異方性検出以外にも電場加速その他の背景物理調査も合わせた研究推進が必要であるとして、現在引き続き計測系の拡充を行いながら総合理解に向けた準備を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初計画では、ポロイダルイオン温度のドップラートモグラフィ計測系の準備は2022年度内はコード開発およびファントムテストを踏まえた設計程度までの到達程度で、実験投入は2023年度以降となると想定していたが、優秀な研究室所属学生の助力により(東京大学大学院先端エネルギー工学専攻の専攻長賞を受賞)、2022年度内でポロイダルイオン温度計測の初期結果を得ることができた。径方向内側でポロイダルイオン温度よりもトロイダルイオン温度の方が高くなる傾向が得られたことは、数値シミュレーション予測や2021年度までの事前研究から予測される結果と異なる興味深い結果であり、実験主導でさらに新しいフロンティアが開拓されたという意味で特筆に値する。 並行して、2022年度は所属研究室代表の小野教授の基盤A研究(20H00136)により東京大学TS-6実験装置本体のアップグレード工事が進められ、2次元磁気プローブ計測系はポロイダル磁場単体の計測からトロイダル磁場も合わせた計測に改良され、磁気プローブ計測の微分解析から得られるパラメータが従来はトロイダル電場やトロイダル電流分布に限られていたところがポロイダル電流等も解析可能に改善、より多面的な考察が可能な環境が並行して整備された。予算執行そのものは翌年度繰越を利用した遂行となったものの、研究成果そのものは当初の計画以上のペースで進展していることから「(1)当初の計画以上に進展している」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度の2022年度は、ポロイダルイオン温度のドップラートモグラフィ計測の開発及び、それを主として利用した研究に比重をおいて研究活動を開始したが、ポロイダルイオン温度の大域的構造については、大域的構造形成がクリアに検出されたトロイダルイオン温度の挙動と異なり、必ずしもトロイダル磁場の反転と対応した構造の大域的反転現象がクリアには観測されなかったことから、同計測そのものの検定や実験条件の見直し等を行いながら研究を進めていく予定である。また、装置の径方向外側での温度は等方的で、径方向内側では非等方な傾向が得られたことから、同現象の理解に向けた基盤整備を並行する(新たな仮説としては、トロイダル磁場が強い径方向内側でトロイダル温度がより顕著に上昇していることからパラレル電場の挙動のさらなる検証を進める)。 並行して、実験条件として衝突周波数等も正確に理解する必要が生じたことから、密度計測系の拡充も進めているところである。衝突・無衝突の実験条件が重要な役割を果たす運動論的効果に起源をもつ現象なのか、磁場や質量数等を変えることで発現・非発現を調整できる二流体効果によるものなのか等、初年度のポロイダルイオン温度計測の開発に大きな比重を置いた研究体制から、翌年度以降は物理研究に必要な他のパラメータ測定基盤の拡充に比重を徐々に移行し、本研究で対象とする大域的構造現象の総合理解に向けた研究活動を推進する。
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