気体流および液体流を用いた弱減圧マイクロ波プラズマ生成と応用
Project/Area Number |
23K22481
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Project/Area Number (Other) |
22H01210 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 14030:Applied plasma science-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
豊田 浩孝 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70207653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 陽香 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (80779356)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥9,880,000 (Direct Cost: ¥7,600,000、Indirect Cost: ¥2,280,000)
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Keywords | 弱減圧プラズマ / マイクロ波プラズマ |
Outline of Research at the Start |
本研究はこれまでに詳細な研究が進められていなかった大気圧よりやや減圧化された弱減圧環境でのプラズマ生成とその応用を進めるものである.具体的には,従来にない新たな手法である高速流誘起減圧環境を用いて真空ポンプを用いることなく容易にプラズマ生成を実現するとともに,本装置の最適な流路構造を明らかにする.さらに,本装置の応用展開としてさまざまな材料の表面改質に取り組む.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は気体実験を可能とするプラズマ装置を立ち上げた.高速ガス流を形成するため,圧縮空気供給系を用いたガス導入系を用意し,ガス流路に狭隘部(断面積0.5mm2程度)を用意した。そのうえで、計測の手始めとして,これまでガス流体系での計測が行われていない圧力計測を行ったところ.流量の増加とともに放電ギャップ部の圧力が減少し、0.5気圧程度までの減圧化を実現できることが確認された。次にこの結果の確認を受けて,パルスマイクロ波を印加して放電をおこなったところ、プラズマの生成に成功した。さらにガス流量に対して放電開始電力を測定したところ、流量増加にともなって放電開始のマイクロ波電力がより低くできることも明らかとなり、弱減圧がプラズマ生成に対する効果を持っていることが確認された。 また、放電開始電力の圧力依存性について、電磁界シミュレーションを援用しつつ理論的検討を行った。大気圧領域から0.5気圧程度の減圧領域においては、マイクロ波絶縁電界は圧力にほぼ比例することが理論的に知られており、電磁界シミュレーションにより投入マイクロ波電力における放電ギャップ内電界を評価したところ、およそ理論値に近い値となることが確認され、また放電開始電力の圧力依存性についても若干のくいちがいも見られるもののおよそ理論に近い依存性が確認された。 さらに、予備実験であるが、プラズマ領域を通過したガス流を用いて樹脂(PET)の表面親水化特性も評価し、親水化処理が可能であることを実証できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガス流による減圧効果の発現有無については、ガス流が圧縮清流体であり研究代表者がこれまでに進めてきた液体(非圧縮清流体)とは異なるため、減圧化が容易であるかどうかは不明であった。しかしながら、初期実験において減圧化が確認でき、さらにはこれに応じてプラズマ生成に成功した。さらには、ガス流を増加させることにより圧力を下げることができ、これに伴い放電開始マイクロ波電力を低く抑えることができることも実証できた。これらのことは、当初の本研究の大きな目的のひとつを実現できたという点で大きな成果である。 さらに、本効果を理論的に検討する試みをおこない、当初の研究計画をさらに進める形で放電開始電力の流量依存性の実験結果を電磁界シミュレーションおよび放電開始マイクロ波電界の理論値を用いて比較検討することができた。結果としておよそ妥当な結果が得られることが確認され、本手法の妥当性を理論的にも確認できたことは重要な成果である。 また、プラズマ処理したガス流による樹脂表面親水化も実験的に示すことができたことは、本装置の応用分野展開を考えるうえでの成果と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、ガス流を用いた減圧化と放電の易化を実証することができたが、その一方でガス流を増加した際の圧力減少がある流量から理論を外れ、思ったほどの減圧が得られないことも確認された。現在は0.5気圧より低い圧力を実現するのが困難な状況である。この原因のひとつはガス流速が音速を超えて高速化した場合、音速を超えたガス流が下流領域において改めて減速し音速を下回る際に衝撃波を発生しガス流れを阻害することにあると考えている。これは液体流による減圧化とは大きく異なる圧縮性流体における現象であり、より低い圧力を実現するためには、この問題を解決することが必要であると考えている。 今後は流体シミュレーションを用いたガス流れの解析を進めるとともに、衝撃波発生を抑制できるノズル構造の最適化を検討する。特にノズル構造の最適化に関してはシミュレーションのみでは解決が困難で実験が必須であると考えているが、その一方では多数個の異なるノズル構造を試作加工し実験に供するには時間及びコストに問題があると考えている。そこで3Dプリンタを用いて樹脂を用いたノズル構造のモックアップを製作し、これを用いた実験的なノズル構造最適化を進めていく。そのうえで、最適化された構造で金属加工されたノズルを製作し、これを用いて放電実験に着手する計画である。これにより、より広い圧力範囲において実験が可能になると考えており、分光計測、放電開始電力計測、プラズマ密度計測などにおいて系統的な実験結果が得られるものと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)