分子動力学による多体量子トンネル現象と天体核融合反応への新しいアプローチ
Project/Area Number |
23K22485
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Project/Area Number (Other) |
22H01214 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木村 真明 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 室長 (50402813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 渉 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (00612186)
谷口 億宇 福山大学, 工学部, 教授 (60529064)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
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Keywords | 元素合成 / 核融合反応 / アイソスピン混合 / 核融合 / クラスター共鳴 |
Outline of Research at the Start |
爆発的天体現象で起こる核反応の精密な研究を可能にするために、炭素原子核のの核融合とα粒子の放射捕獲反応を記述する微視的な模型を構築する。 そのために、以下の問題に取り組む。 (1) 核融合反応は、多体のトンネル現象によって起こる。そこで、虚時間発展法を用いて、トンネル現象を微視的に記述する。 (2) 非弾性散乱を用いた新しい方法によって、核融合に影響するクラスター共鳴の性質を系統的に明らかにする。 (3) アイソスピン対称性の破れによって、α放射捕獲反応の反応率がどれほど増大するかの理論予測を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
反対称化分子動力学模型(AMD)と、複数の密度汎関数を用いて12C+12C核融合反応の反応率を求めることで、反応率が理論計算に用いる密度汎関数にどの程度依存しているのか、また、密度汎関数の不定性が、核融合反応の反応率にどの程度伝搬するのかを調べた。その結果、「Gogny型の密度汎関数は、Skyrme型の密度汎関数よりも系統的に大きな反応率を与えること」「実験データが存在する高温領域の反応率の再現性はGogny型が勝ること、したがってGogny型の密度汎関数による理論予測の方がより信頼がおけること」「同じGogny型汎関数でも、反応率の予測が2倍程度異なること」を示した。これらの結果は、査読付き原著論文として発表済みである。得られた反応率は、天体のシミュレーションに直ちに利用できるように、既知の関数形でフィットしており、そのパラメータも公表済みである。 アイソスピン対称性の破れに起因する放射捕獲反応である12C(a,g)の反応率を調べるに先立って、12Cのアイソスピン対称性の破れの大きさを見積もった。励起状態である3-状態から2+状態へのE1遷移は、対称性が保たれていれば、摂動の1stオーダーで禁止される。そこで、アイソスピン対称性の破れを取り入れた計算をおこない、さらに摂動の高次項の評価も行った。得られたE1遷移強度は、実験で示された上限値よりもやや小さく、妥当な値であった。したがって、求めた波動関数は妥当なものであると考えられる。今後は、これを基に12C(a,g)反応率の評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
雇用を予定していた研究員の着任が遅れ、それに伴って反応模型の構築が予定よりも遅れている。それ以外の課題については順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
反対称化分子動力学模型を用いた核融合の反応率評価は順調に進んでおり、当初の予定通り、12C+16Oと16O+16Oの反応率評価を行う予定である。 また、得られた反応率を、超新星爆発などのシミュレーションに直ちに使用できるよう、標準的な関数でフィットし、その値を公開する。 12C(a,g)反応率の評価も順調に進んでいる。次の段階として、12C+a模型で16Oのスペクトルを再現することを目指す。そのうえで、アイソスピン対称性の破れを取り入れ、それによる12C(a,g)反応の反応率を求める。まだ、この課題に関連して、12Cおよび16Oの基底状態、励起状態の遷移密度を求め、内部構造を明らかにするとともに、空間的対称性が動的に生じているかどうかを検証する。 反対称化分子動力学を散乱の境界条件に接続することで、反応模型を開発する計画は、やや遅れているため、今後確実に実施する必要がある。まずは、対称性が良く計算コストの小さな4He+4Heおよび4He+16Oで数値的なテストを実施し、理論手法の妥当性を検証する。その後に、16O+16Oや12C+16Oなど、より複雑で、実際上重要な反応系への適用を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)