Project/Area Number |
23K22488
|
Project/Area Number (Other) |
22H01217 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 幸士 京都大学, 理学研究科, 教授 (80345074)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 佳樹 日本大学, 文理学部, 准教授 (00707804)
吉田 健太郎 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (30544928)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥16,900,000 (Direct Cost: ¥13,000,000、Indirect Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,670,000 (Direct Cost: ¥5,900,000、Indirect Cost: ¥1,770,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | AdS/CFT対応 / ホログラフィー原理 / カオス / 超弦理論 |
Outline of Research at the Start |
量子重力と非重力量子系を対応づけるホログラフィー(AdS/CFT対応)は、対応がどんなペアでどこまで成立するか(成立限界)が不明である。そこで、非重力量子系のうち、重力的な双対記述を許す量子系と許さない量子系をより分ける方法はあるか?という問いを立て、「重力双対非存在検証プロトコル」を確立することを研究の目標とする。非重力量子系のデータ(演算子の期待値や相関関数、カオス、エンタングルメントエントロピー、計算複雑性等)から双対重力の時空メトリックを再構成し、重力的性質の無矛盾性を確認、更にそこから非重力量子系へ予言を行うことで、無矛盾性を確認する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、多様なアプローチを用いた、AdS/CFT対応におけるバルクの再構築に関連する研究を進め、プロトコル作成のための準備段階とした。特に、弦の散乱振幅のカオスの観点、現理論における行列模型のカオスの観点、QCDの物理量からバルクのメトリックを再構築する観点、バルクのブラックホールからのエネルギー抽出の観点、から研究を行い、それぞれにおいて、一定の成果を得た。 橋本は村田らと共同で、力学形カオスの全てに内在するカオスのリャプノフ指数の上限についての公式を得ることに成功した。この上限は、ホログラフィー原理が成立する量子系において知られていたカオス上限予想と密接に関係する公式であるばかりか、古典的なカオス系にも適用できるユニバーサルな上限である。現在まで知られているあらゆるカオス系で成立していることが確かめられており、ホログラフィー原理が成立するしないに関わらず存在する上限の発見は、今後、ホログラフィー原理の成立に関する研究をする上で基礎となる。 また、橋本は、QCDのメソンスペクトルの情報だけから、ホログラフィック双対なバルクの作用を再構築する手法により、バルクの具体的なディラトン重力作用を発見した。この重力理論において、閉じ込め描像を再現することなどが確認された。 吉田は、超弦理論の非摂動論的な定式化の候補として知られているBanks-Fischler-Shenker-Susskind (BFSS) 行列模型におけるメンブレイン不安定をカオス的散乱として再解釈できることを示し、そのカオスに付随するフラクタルについて議論した。 村田は、回転ブラックホールにある周波数帯の波動を入射すると振幅が増幅されて反射される。この現象をsuperradianceという。AdS/CFTを通すと、superradianceは熱場の理論からのエネルギー抽出の可能性で特徴付けることができることを発見した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点ではプロトコルの作成段階にまでは到達していないが、2022年度はホログラフィー原理でまずカオスなどの手法が成立限界を見極める上でどのように使えるのかを確かめる段階であるので、その意味で、概ね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は、下記のプロトコル1から3の確定を行うことを目指している。 【プロトコル1】与えられた量子系の観測量から、AdS/CFT対応の逆問題を解 き、重力側の重力時空メトリックを得る。メトリックが重力系としてエネルギー条件 などの適切な条件を満たすかを確認することで、重力双対が存在するかを判定する。 【プロトコル2】適切な条件を満たした場合、そのメトリックで重力側の AdS/CFT対応の計算を行い、量子系の他の観測量に対する予言を行う。この予言値が 量子系の観測量の与える値と異なっていれば、重力双対が存在しないことになる。 【プロトコル3】逆問題の解法が複数適用できる場合、それぞれの手法を用いて得られた 結果を比較して矛盾のないメトリックが得られているかを確認することで、重力双対が存在しうるかの必要条件を見定めることができる。 今後の研究においては、初年度の研究成果がプロトコル1と2に相当することから、これらの研究成果に基づいて、プロトコル3の策定へと進みたい。
|