Project/Area Number |
23K22490
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Project/Area Number (Other) |
22H01219 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
深谷 英則 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (70435676)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
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Keywords | トポロジー / 格子ゲージ理論 / 指数定理 / ドメインウォールフェルミオン |
Outline of Research at the Start |
本研究は、時空を離散化した格子上に定義されるドメインウォールフェルミオンを用いて、 ゲージ理論の幾何学的性質を、理論的、数値的に探る。具体的には1.格子ゲージ理論における指数定理の数学的定式化、2.臨界温度付近のQCD におけるトポロジー励起の相転移への寄与の定量評価の2つを主要な軸として研究を進める。前者の課題は、曲がったドメインウォールを持つ正方格子上のDirac演算子を用いて指数定理を定式化することを試みる。後者は、QCDにおける指数のふるまいをドメインウォールフェルミオンを用いた格子シミュレーションで定量的に求める。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、時空を離散化した格子上に定義されるドメインウォールフェルミオンを用いて、ゲージ理論の幾何学的性質を、理論的、数値的に探ることである。具体的には(1)格子ゲージ理論における指数定理の数学的定式化、(2)臨界温度付近のQCD におけるトポロジー励起の相転移への寄与の検証を目指す。2023年度の実績は、一つ目の課題については格子と連続理論のそれぞれのDirac演算子の指数が等しいことを示すため、お互いのヒルベルト空間同士を結ぶ写像f_aを構築した。二つのDirac演算子の直和をとって合成したものと、f_aとその共役を非対角に並べた演算子の和をとり、それが可逆であることを示した。証明はほぼ完成、現在論文を執筆中である。また、関連した研究として正方格子に曲がったドメインウォールをうめこんだフェルミオン系で重力場を定式化する試みを行ったが、この系がトポロジカル絶縁体の中の磁気単極子が電荷を帯びることの微視的な説明を与えることを発見、論文2報を発表した。二つ目の課題に関しては、相転移温度よりやや低い147MeV での格子QCDシミュレーションを実行、カイラル感受率における軸性U(1)の破れ、特にトポロジカルに非自明なゲージ場の効果を抽出した。その結果、低温側では軸性U(1)の寄与がそれほど大きくないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二つの課題(1)格子ゲージ理論における指数定理の数学的定式化、(2)臨界温度付近のQCD におけるトポロジー励起の相転移への寄与の検証のうち、(1)については順調に進んでいる。連続理論の無限次元ヒルベルト空間と格子理論の有限次元ヒルベルト空間における指数の比較のために必要なK^0群およびK^1群を定式化した。これはそれぞれのヒルベルト空間、それに作用するDirac演算子の同値類をとることで群の要素を定義した。その上で格子と連続理論のそれぞれのDirac演算子の指数が等しいことを示すため、お互いのヒルベルト空間同士を結ぶ写像f_aを構築した。二つのDirac演算子の直和をとって合成したものと、f_aとその共役を非対角に並べた演算子の和をとり、それが可逆であることを示した。この可逆性は指数が等しいことの十分条件である。証明はほぼ完成、現在論文を執筆中である。また、関連した研究として正方格子に曲がったドメインウォールをうめこんだフェルミオン系で重力場を定式化する試みを行ったが、この系がトポロジカル絶縁体の中の磁気単極子が電荷を帯びることの微視的な説明を与えることを発見、さらにWeyl フェルミオンのダブリング問題にも関係していることをつきとめた。論文2報を発表した。(2)の課題についても順調に進んでいる。カイラル感受率、中間子のスクリーニング質量のそれぞれについて2024年度中にまとめの国際会議発表、論文発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
二つの課題(1)格子ゲージ理論における指数定理の数学的定式化、(2)臨界温度付近のQCD におけるトポロジー励起の相転移への寄与の検証のうち、(1)については、ほぼ証明が完成、論文の執筆を進める。同時に曲がったドメインウォールフェルミオンの研究を進め、重力場を与えたフェルミオン系の格子理論の定式化を目指す。特にEuclidean シュバルツシルト時空の格子理論への埋め込みを探る。(2)の課題については、カイラル感受率の温度依存性および質量依存性を解析しaxial U(1)の破れの寄与を定量評価する。同時に相転移温度を決定する。これはカイラル対称性を保つDirac演算子を用いた世界初の結果となるはずである。特に異なる体積の結果の無矛盾性を調べ、有限体積効果による系統誤差を見積もる。また、空間方向への中間子2点相関関数も計算し、そこからスクリーニング質量を抽出する。対称性で関係する異なる量子数の中間子の結果を比較し、高温における対称性の回復パターンを明らかにする。2024年度中にそれぞれ国際会議発表、論文発表を予定している。
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