Project/Area Number |
23K22528
|
Project/Area Number (Other) |
22H01257 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石山 博恒 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, チームリーダー (50321534)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
|
Keywords | 低速短寿命核ビーム / 質量測定 / 宇宙での元素合成過程 |
Outline of Research at the Start |
宇宙での元素合成過程において速い中性子捕獲過程(r過程)は、鉄より重い重元素の約半分を生成したと考えられていが、その起源天体と全貌は未だ未解明である。金や白金などの重元素を含むr過程第3ピークは、中性子魔法数N = 126をもつ中性子過剰核の閉殻構造に起因して生成されたと考えられているが、その周辺核の原子核特性値は依然として未測定であり、N = 126の中性子過剰核が閉殻構造を持つか否かさえ定かではない。本研究は、新たに開発したHeガスセルと多重反射型飛行時間測定装置を用いて高精度質量直接測定を行い、その系統性からr過程第3ピーク滞留核近傍まで閉殻構造が保持されているのかどうかを検証する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本課題で開発している理研仁科センターRIビームファクトリー(RIBF)の超伝導RIビーム生成装置下流に設置したRFカーペット型ヘリウムガスキャッチャー(RFGC)と多重反射型飛行時間測定装置(MRTOF)により、本年度は3本の物理論文と2本の技術論文を出版した。A = 40-130領域での中性子過剰核の質量測定を行い、Ti、V領域では7核種の質量精度を大幅に向上させ、先行研究の結果を覆す新魔法数 N = 40の消失を観測した。また、112Moの質量測定に初成功し、Mo同位体ではN=70まで2中性子分離エネルギーは単調減少する結果を得た。A = 90周辺では88,89Asの質量測定に初成功し周辺5核種の質量精度を向上させた。本核種はr過程経路核であり、r過程サイト候補の中性子連星からのSr生成量の予測精度を向上させる結果を得た。この結果により、r過程経路核上の中性子過剰核の質量測定が可能であることを実績で示した。 昨年度のオンライン実験結果をうけ、N = 126周辺核を生成するために、ウランビームの代わりに鉛ビームを用いる実験を仁科センター実験課題諮問委員会に提案した。物理的な興味と手法において高い評価を得たが鉛ビームの開発が加速器施設で必要なため延期となった。鉛ビーム開発後に最速で実験を行うため本年度もRFGCとMRTOFのシステム効率をさらに向上させる開発を引き続き行う。さらにN=126近傍中性子過剰核領域にむけて、ウランビームでも比較的収量が期待できるA=160以上の中性子過剰核の質量測定を予定している。同時並行でN = 126周辺核の生成反応としてXe + Pt多重核子移行反応にも挑戦する。RIBFで稼働中のKEK 同位体分離器に新しいガスセルを設置して、本年度中に対象領域である金やプラチナ等の中性子過剰核の質量測定を行いたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの開発で、システムの効率を定めているガスセルのからのRI抽出効率は最大で24%となった。さらにガスセル内で対象RIはイオン化ポテンシャルに応じて1から3価イオンとして分布していることが観測できた。Heガスセル中で短寿命核が多価イオンとして存在していることからセル内汚染分子の低減の開発が順調であることを示唆している。RFGC/MRTOFはオンライン実験で十分使用可能な状況である。また、当初予定していたウラン1次ビームによるN=126周辺核生成は収量が予測値より1-2桁少ないことが判明した。これに対して、先行研究で得られている反応生成系の核種生成断面積とシミュレーションにより、1次ビームを鉛ビームに変更すれば当初期待した収量が得られることが判明した。仁科センター実験課題諮問委員会は鉛ビームの開発を仁科センターに強く勧めており、RIBFでの鉛1次ビームの開発が終わり次第当該領域の質量測定を行いたい。また、N = 126周辺原子核に向けてA=160-180の未測定の中性子過剰核の質量測定や、r過程において、第3ピークを形成するN=126滞留核の生成量を左右する第2ピークからの脱出経路上にあるr過程経路核も本年度中に本装置で予定している。さらに生成反応を変更して多重核子移行反応によるN=126周辺中性子過剰核の生成とその質量測定もKEK同位体分離器で新規製作されたRFカーペット型Heガスセルで予定している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ガスセルの抽出効率は前述のように20%を超える核種もある。しかし、元素依存性が観測されており、例えば核分裂線源を用いたRI抽出試験ではI, Tc同位体は20%前後、Mo, Sn, Sb, Te同位体は10数%、Y, Nb, Zr同位体では数%の効率であった。この結果から不純物による化学反応の影響が依然として大きいことが示唆され、逆に言うとさらなる抽出効率の改善が期待できる。Heガス流量の調整による不純物濃度の低減やガスセル後のトラップの冷却によるトラップ内汚染分子低減等など可能な限りさらなる効率向上を目指す。RIBFでの鉛1次ビームの開発が終わり次第当該領域の質量測定を行いたい。また、N = 126周辺原子核に向けて、A=160-180の未測定の中性子過剰核の質量測定や、r過程において、第3ピークを形成するN=126滞留核の生成量を左右する第2ピークからの脱出経路上にあるr過程経路核の質量測定も本装置で本年度予定している。さらに生成反応を変更して多重核子移行反応によるN=126周辺生成核の生成と質量測定もKEK同位体分離器で新規製作されたRFカーペット型Heガスセルで予定している。新ヘリウムガスセルは設置を完了し、さらに実験課題諮問委員会で新規に実験採択となった。本年度中に本研究対象領域である金やプラチナ等の中性子過剰核のオンライン質量測定を行う予定である。
|