生命誕生の理解に向けた超新星爆発によるリン生成の精密定量
Project/Area Number |
23K22535
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Project/Area Number (Other) |
22H01264 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
國生 拓摩 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (60803442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永山 貴宏 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (00533275)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥10,660,000 (Direct Cost: ¥8,200,000、Indirect Cost: ¥2,460,000)
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Keywords | 超新星残骸 / リン / 元素合成 / 星周物質 |
Outline of Research at the Start |
リンはDNAや細胞壁などの材料で、生命を司る元素のひとつである。その起源は超新星爆発にまでさかのぼるが、リンの生成メカニズムや、惑星・生命へ至るプロセスは理解されていない。本研究は近赤外リン輝線に着目し、狭帯域フィルターを用いた超新星残骸のリン輝線マッピング観測を行う。検出されるリンには星間物質を起源とする成分が含まれる可能性があるため、専用分光器を用いて、爆発のため高速で運動する超新星起源のリンを同定する。本手法により多くの天体を観測して超新星起源のリンを徹底して見つけ出し、超新星爆発によるリン生成について網羅的な知見を得ることで、リン観測を軸とした宇宙生物学の新しい分野を開拓する。
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Outline of Annual Research Achievements |
リンはDNAや細胞壁などの材料で、生命を司る元素のひとつである。その起源は超新星爆発にまでさかのぼるが、宇宙空間におけるリンの観測データは乏しく、リンの生成メカニズムや生成量はよく理解されていない。本研究は近赤外[PII]輝線に着目し、狭帯域フィルターを用いた超新星残骸のリン輝線マッピングおよび分光フォローアップ観測を行い、超新星爆発によるリン生成について探る。 南アフリカ望遠鏡IRSFと広島大学「かなた」望遠鏡を用いて、北天と南天の超新星残骸26天体を観測した。この観測では専用の狭帯域フィルターを用いて、リンの[PII]輝線および鉄の[FeII]輝線の広域マッピングを行った。観測の結果、26天体中4天体から[PII]輝線を検出した。また、[PII]輝線の上限値も用いて[PII]/[FeII]輝線強度比からリン/鉄の存在比を調べたところ、天体ごとに存在比は有意に異なり、リン生成量は超新星爆発に応じて異なることが示唆された。 本研究で4天体から[PII]輝線を検出したが、これらは星間物質を起源とする可能性がある。超新星爆発を起源とする場合、ガスの速度は1000 km/s以上が期待されるため、超新星爆発に伴うリン生成を正確に評価するには、輝線の速度測定から超新星起源のリンを同定する必要がある。この分光観測を行うため、IRSF専用分光器の開発を進めた。本装置は一通り完成しているが、本研究のために検出器をより高感度なものに置き換え、また分散素子もプリズムから回折格子に置き換える必要がある。このため、新しい検出器と回折格子の仕様を反映した光学・機械設計を行い、また並行して新しい検出器のための読み出し回路を完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、観測を行う予定であった鹿児島大学1m望遠鏡のカメラが故障したため、この代替装置の選定や観測天体の最適化に時間を要した。IRSF専用分光器の開発も2022年度中に終える予定であったが、上記のカメラ故障の対応のため、当初の予定より遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの観測でリンを検出した超新星残骸について、星間物質起源と超新星起源の成分を切り分けるため、星間ダストの分布も考慮したデータ解析を進める。星間空間では、リンに比べて鉄はダストに多く取り込まれており、固相にある鉄は輝線を放射しないため、このような領域ではリン/鉄比が大きくなる可能性がある。そこで、衝撃波シェルについてダスト破壊の進行度を調べることで、この可能性について検討する。IRSF専用分光器の開発では、これまで行った光学・機械設計を実際の装置に反映して、望遠鏡からの光を模擬した光源を用いて光学試験を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)