Project/Area Number |
23K22565
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Project/Area Number (Other) |
22H01294 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17020:Atmospheric and hydrospheric sciences-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 真 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00225343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂木 信宏 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (20507818)
當房 豊 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (60572766)
森 樹大 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (60801181)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,940,000 (Direct Cost: ¥13,800,000、Indirect Cost: ¥4,140,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥11,180,000 (Direct Cost: ¥8,600,000、Indirect Cost: ¥2,580,000)
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Keywords | 北極 / 混相雲 / 氷晶核 / エアロゾル / 雲微物理 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、急速に進む北極温暖化の予測において重要な混相雲(水雲粒子と氷雲粒子 が共存した雲)が、「どのようなメカニズムによ り安定して維持されているのか」という問いに答えることである。本研究では北極域で唯一となる雲微物理量の連続観測を山岳観測所において 実施し、統計的データに基づき北極混相雲の基本的な動態を明らかにする。そして混相雲の安定性の鍵と考えられる、氷雲粒子を生成するエア ロゾル(氷晶核)と氷雲粒子との対応関係を調べ、降雪による氷晶核除去過程や氷粒子の2次生成を評価する。これらの観測的知見に基づいて 雲微物理モデルを改良することにより、混相雲が安定して維持されるメカニズムの解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、急速に進む北極温暖化の予測において重要な混相雲(水雲粒子と氷雲粒子 が共存した雲)が、「どのような微物理的特徴があり、安定して維持されているのか」という問いに答えることである。本研究では北極域で唯一となる雲微物理量の連続観測を山岳観測所において実施し、統計的データに基づき北極混相雲の基本的な動態を明らかにする。そして混相雲の安定性の鍵と考えられる、氷雲粒子を生成するエアロゾル(氷晶核)と氷雲粒子との対応関係を調べ、降雪による氷晶核除去過程や氷粒子の2次生成を評価する。これらの観測的知見に基づいて雲微物理モデルを改良することにより、混相雲が安定して維持されるメカニズムの解明を目指す。 2022年度は、ノルウェー領のニーオルスンのゼッペリン山観測所(79°N, 12°E, 海抜474 m)において、雲粒子および降水粒子の直接観測を1年間を通じて実施した。またドイツのケルン大学の研究者との共同研究により、ケルン大学で実施している雲レーダ・ライダのデータを解析し、ニーオルスン上空に氷を含む雲が出現している日時間帯を同定した。そして氷を含む雲が出現している日時間帯において降水する粒子を氷粒子と仮定し、雲頂高度の気温との対応を調べた。この結果、雲頂気温が-15℃以下では降水粒子の数濃度フラックスが増加する一方において、気温が0から-10℃ではほぼ一定となっていることが明らかとなった。 2022年度にはまた、このような観測結果を説明するための数値モデルの整備を行った。理化学研究所で開発されたSCALEモデルに、高知工科大学で開発された雲微物理モデルAMPSを実装し、過去の北極混相雲についての数値計算を実施した。そして氷晶の形状(晶癖)が雲の発達に及ぼす影響などを評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、おおむね順調に進展している。 2022年度には、計画通りにニーオルスンのゼッペリン山観測所において、雲粒子および降水粒子の直接観測を1年間を通じて実施できた。またケルン大学の研究者と連絡を取り、共同研究の枠組みの中で、ケルン大学で実施している雲レーダ・ライダのデータを提供いただいた。数値モデル計算についても、予定どおりに理化学研究所で開発されたSCALEモデルに、高知工科大学で開発された雲微物理モデルAMPSを実装し、過去の北極混相雲についての数値計算を実施した。これらの成果を論文として発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も継続して、北極域では世界唯一となる雲微物理量の直接かつ連続的観測を、ニーオルスンのゼッペリン山観測所で実施する。この観測では、雲粒子の数濃度(粒径分布)、降水粒子の数濃度(粒径分布)、限定的ではあるが個別粒子の形状の観測を実施し、世界的にも特色のあるデータを取得する予定である。 また共同研究を実施しているケルン大学の研究者を訪問し、議論を深める予定である。 氷晶核として働くエアロゾルは気温が低くなるほど増加するので、その数濃度は各温度で働く氷晶核数濃度と雲頂気温の2つにより決まる。今後はこの2つの要素の季節変動を考慮して、大気中で氷晶核として働くエアロゾル数濃度の季節変動などを調べる。また雲レーダやライダにより氷を含む雲が出現している時間帯を抽出し、この時間帯に観測された降水粒子を氷粒子と仮定することにより、氷晶核の数濃度の対応を調べる。雲レーダ・ライダで単層の氷雲が出現しているケースを選び出し、雲頂気温ごとに、降水粒子と氷晶核の数濃度の対応を調べる。 本研究では、私たちが整備してきた世界最先端の雲微物理モデルAMPSを理化学研究所のSCALE大気モデルに移植したSCALE-AMPSモデルを使用する。そして観測により得られた氷晶核と氷粒子の数濃度の対応関係を数値モデルにより再現できるか調べる。氷雲粒子を過小評価する場合には、二次生成の寄与を調べる。また、氷雲粒子形状が数値モデル計算結果にどの程度影響するのか、感度実験を行う。
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