Project/Area Number |
23K22628
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Project/Area Number (Other) |
22H01357 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18010:Mechanics of materials and materials-related
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
尾崎 伸吾 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (20408727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 俊郎 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究センター, グループリーダー (50596343)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,810,000 (Direct Cost: ¥13,700,000、Indirect Cost: ¥4,110,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥10,400,000 (Direct Cost: ¥8,000,000、Indirect Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 自己治癒材料 / セラミックス / 有限要素法 / 速度論 / 極値統計 / 個別要素法 / バーチャルテスト |
Outline of Research at the Start |
自律的にき裂を修復できる自己治癒セラミックスを対象に,成形―焼結―損傷―治癒のプロセスに渡る数値解析手法を構築する.欠陥や粒径分布の極値統計解析および各種数値解析からなる本手法をバーチャルテスト技術として利用することにより,部材内の欠陥分布に依存した破壊挙動や温度や酸素分圧環境に応じた治癒挙動をコンピュータ上でシミュレートできることを実証する.また,強度のばらつきや靭性,自己治癒性などといった「構造部材としての要求性能」を満足し得る「微視組織条件」をバックキャストする.最終的に,強度-靭性-治癒性が共存した超高信頼性セラミックスを実現するための組織設計指針,自己治癒部材の選定指針を創出する.
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Outline of Annual Research Achievements |
強度-靭性-治癒性が相補的関係を織りなす自己治癒セラミックスの信頼性向上には,(1)破壊の起点になり得る欠陥の存在確率を把握することで強度のばらつきとき裂進展を制御し,そのうえで,(2)所定の環境下で自己治癒を繰り返し発現させる必要がある.前年度までに,欠陥消滅モデル,粒成長のスケール則および極値統計論,確率的強度評価モデルを組み合わせることで,セラミックスの成形-焼結-部材強度-治癒に渡るトランスプロセス解析の基礎を構築している.これを受けて本年度は,各種自己治癒セラミックスに対する反応速度論パラメータの同定手法を確立した.提案した方法は,異なる治癒剤で強化された母材からなる自己治癒セラミックスにも適用でき,強度回復試験の種類に関係なく,複合材料の治癒能力を公平に議論することができる. 他方,自己治癒セラミックスの実用化に向けて材料や部材をさらに最適化するためには,数値解析技術の開発も重要である.本年度は,破壊力学と酸化速度論に基づく損傷回復構成式を組み込んだ独自の有限要素解析技術を採用することにより,様々な荷重・温度条件下におけるシェブロンノッチ試験片のき裂進展,き裂隙間充填,再き裂挙動の系統的な解析を実施した.さらに,同定した自己修復性セラミックス複合材料の機械的特性と酸化速度論パラメータを導入することにより,き裂と治癒挙動に及ぼす組成と複合材料構造の影響を調べた.き裂充填シミュレーションにより,損傷の大きさがクラック先端から徐々に減少することが示唆され,最小治癒時間はクラック開口幅が最大のクラック口の要素が完全に充填されるのに要する時間で決定されることを明らかにした.提案した数値解析手法は,様々な自己治癒セラミックスについて,与えられた損傷を治癒するのに必要な最小治癒時間を様々な温度で見積もることに貢献できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,当初計画通り進行している.前年度までに,成形・焼結プロセスの解析を計画していたが,連続体力学に基づく欠陥消滅モデルと極値統計分布を導入することでこれを達成した.さらに,成形時の情報と焼結条件に基づき,焼結後のセラミックス内の粒径,空孔および局所相対密度分布,ひいては焼結体の強度ばらつきの推定方法を構築した.また,これらと並行して,粒子の初期パッキングや凝集状態を再現するため,付着力を考慮した個別要素法を用いてアルミナ微細粉末(粒子径: 500 nm程度)の成形解析の準備を整えた. 他方,自己治癒セラミックスでは,炎症・修復・改変期を通し,酸化生成物によるき裂充填機能と治癒部の高強度化を達成している.本プロセスの解析には,化学反応の律速過程に加え,き裂界面での酸化物と非酸化物の体積分率が必要となる.本年度は,その指標となる活性化エネルギーや頻度因子などの反応速度論パラメータの同定方法を提案した.提案した方法は,異なる治癒剤で強化されたマトリックスを持つ各種自己修復セラミックスにも適用でき,高温用途に使用される自己治癒材料を設計するための酸化速度,き裂治癒速度,理論強度回復挙動を評価することができる.このことを実証するため,有限要素法によるき裂充填シミュレーションを実施し,損傷の大きさがクラック先端から徐々に減少し,最小治癒時間はクラック開口幅が最大のクラック口の要素が完全に充填されるのに要する時間で決定されることを明らかにした. このように,当初計画通り,自己治癒セラミックスの構造部材としての要求性能と材料の微視組織条件との関連付けを行うことのできるトランスプロセス解析手法の基盤構築を終えている.これらの内容については,国際会議で発表するとともに,査読付き国際誌に掲載されている.
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Strategy for Future Research Activity |
自己治癒セラミックスの開発は,これまでの技術体系の延長線上には存在しないため,最終製品の要求性能を明確にしたバックキャスティング型の材料設計スキームが不可欠となる.最終年度にあたる次年度では,前年度までの研究を継続するとともに,『自己治癒セラミックスのバーチャルテスト技術を構築し,将来の実用化・標準化の障壁に対するブレークスルーを図る』ことを最終目標とする.そのため,セラミックスの成形から利用までを対象としたトランスプロセス解析手法を完成させる.また,アルミナ/炭化ケイ素複合材に代表される酸化物系自己治癒セラミックスの繰り返し損傷―治癒評価実験システムを構築する.具体的には,シェブロンノッチ付き試験片を用いることでき裂の安定成長を実現し,有限要素法を組み合わせることで治癒前後での破壊パラメータを逆解析する.得られた実験結果および逆解析結果とバーチャルテスト技術を活用し,自己治癒セラミックスとしての要求性能と微視組織条件を関連付けられることを実証する.また同時に,様々な自己治癒セラミックスを対象に,治癒性を特徴付ける酸化反応速度論パラメータの影響を検討する.その結果を踏まえ,強度-靭性-治癒性の相補的関係の最適化を志向した材料設計・組織制御指針を創出する.
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