Project/Area Number |
23K22645
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Project/Area Number (Other) |
22H01374 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18020:Manufacturing and production engineering-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
夏 恒 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40345335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小玉 脩平 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (10867237)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥9,360,000 (Direct Cost: ¥7,200,000、Indirect Cost: ¥2,160,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
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Keywords | 放電加工 / 微細深穴 / 気泡 / 加工屑 / フラッシング効果 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、直径が100μm以下、深さが直径の10倍以上の微細深穴の放電加工速度を飛躍的に向上させることを目的としている。放電によって発生する気泡の膨張・収縮・キャビテーションによるフラッシング効果を解明し、その効果を考慮した制御系を構築し、加工屑の排出および加工液の更新を図る。目的達成のため、気泡挙動の観察、気泡の振動現象とフラッシング効果の解析、最適化制御系の構築を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象となる微細深穴の主な用途として、薬液噴霧ノズルの成形用微細金型や燃料点火システムの噴射ノズルなどが挙げられる。これらの部品の多くは耐食性、耐摩耗性により、高硬度の合金材料で作られている。一方、放電加工は、非接触で熱的な加工法なので、材料の硬度に関係なく加工できる。しかし、微細深穴の放電加工において、材料除去により発生した加工屑と、加工液気化により発生した気泡が加工領域から排出されにくくなり、正常な放電ができなくなるため、加工速度が著しく低下する。微細放電加工の加工速度は主に気泡と加工屑の排出性に依存するため、仮に気泡と加工屑が十分に排出されれば現状の10~100倍の速さで加工できる可能性があると推測されている。本研究では、微細深穴の放電加工における気泡の挙動に着目し、フラッシング効果を解明し、その効果を生かす制御系を構築して、放電加工速度を飛躍的に向上させることを目的とする。 今年度は、①昨年度に構築した観察システムを用いて、極間内の気泡と加工屑の挙動を観察した。ガラス管を工作物として模擬することで、極間における気泡の挙動を直接観察し、加工深さと放電環境の悪化状況との関係を明らかにした。②電極への加工屑の付着状況を観察し、また、付着物の物質を明らかにするため、成分分析を行った。成分分析により、付着物の元素構成や状態を調べ、電極への付着メカニズムを検討した。③高精度光学顕微鏡で撮影した画像データを画像処理技術により処理し、加工屑の付着による電極先端形状の変化から、付着物の寸法を測定し、加工精度や気泡と工作物の排出に及ぼす影響を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
構築した気泡と加工屑の挙動の観察・計測システムを用いて、加工時の気泡と加工屑の逸出状況、電極表面への物質の付着現象と脱落現象を観察した。ガラス管を工作物として模擬することで、極間における気泡の挙動を直接観察し、加工深さと放電環境の悪化状況との関係を明らかにした。加工の進行に伴い、放電により発生した気泡が狭い間隙から排出できなくなり、新鮮な加工液も加工領域に入らなくなる。また、微細深穴加工においては、浮力は気泡や加工屑の排出にほとんど寄与しなく、フラッシング効果を発揮し、気泡と加工屑を効率的に排出させるには十分な圧力を発生させる必要がある。 なお、脱イオン水を用いた微細深穴加工時の加工屑の付着現象を実験的に明らかにし、電極の極性との関係を明らかにした。ステンレスと銅の工作物の加工において、電極への加工屑の付着現象が観察され、加工屑は負極の表面にのみ付着した。元素分析により、付着物は工具電極と工作物に由来することが分かった。また付着物の酸素濃度が高く、水中放電中に加工屑が酸化され、酸化物粒子となる可能性が高いことがわかった。その結果、金属酸化物は電界の作用で負極表面に移動し付着すると推定している。なお、加工屑の付着により、加工屑の排出が困難となるだけではなく、加工された微細穴の直径が大きくなり、加工精度に悪影響を及ぼすため、付着の防止策を検討する必要がある。 一方、微細放電加工機の故障と修理、実験装置の改良で時間が取られ、気泡の振動解析は予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
微細深穴の放電加工におけるフラッシング効果を向上し、加工速度を飛躍的に向上させるという本研究の目的を実現するため、以下のように研究を推進していく予定である。気泡の振動解析の条件設定や気泡を含めた加工液の物性値の決定には実験結果との更なる照合が必要である。今後は、加工中の加工液や気泡の挙動を観察する実験を増やし、異なる条件での挙動観察結果と解析結果の照合から解析に必要なパラメータを同定し、気泡の振動現象の解析精度を高めていく。また、工具電極表面に付着する物質や付着物の寸法を把握したので、加工屑の付着を防止する方法を考案していく。方法の一つとして、極間に脱イオン水を高速に噴出し、ジェット流の高い運動エネルギーによって、加工屑と気泡の排出を促進すると同時に、加工屑の電極への付着を防止する。また、気泡の振動周期に合わせ、ジェットに脈動を与え、加工屑の排出効果を高める。そのため、工具電極と同軸に脱イオン水を噴射する装置を設計・製作し、実験に用いる。もう一つの方法として、加工液に超音波振動を与え、加工屑の負極に接続している工具電極への一方向の移動を防ぎ、また、超音波洗浄の機能によって電極表面に付着している加工屑を洗い落とし、フラッシングの通路を確報し、加工速度を加工精度の向上を実現する。
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