Project/Area Number |
23K22647
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Project/Area Number (Other) |
22H01376 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18020:Manufacturing and production engineering-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉原 達哉 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90637539)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
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Keywords | 切削加工 / 塑性加工 / 分子吸着 / 表面応力 / メカノケミカル効果 / トライボロジー / 脂肪酸 / その場観察 / 単分子膜 / 高分子 / 塑性力学 |
Outline of Research at the Start |
金属表面に吸着した分子膜は,ときに金属材料の機械的性質にも影響を及ぼすことが知られており,切削加工などの機械加工分野においても,その効果の存在について古くから議論されている一方で,その作用発現機構については未知の点が多い.そこで本研究では,“分子の吸着と金属の塑性変形挙動の間に存在する「表面化学」を探求する”とともに,それらの理解に基づいた革新的技術・学術分野の創出を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
高精度かつ高能率な付加価値の高い切削加工技術を確立する上で,切削油剤などの供給による加工点近傍への潤滑性向上は欠かせない要素である一方で,著しく過酷な摩擦環境に晒される工具-切りくず界面への潤滑性の付与・維持は極めて困難である.そこで本研究は,従来型の“潤滑”に依存した切削加工技術の限界を打破するため,金属表面への分子の吸着によって引き起こされる塑性変形挙動の変化に着目し,「切削加工における塑性変形挙動のin-situ観察」,「自己集積化単分子膜による吸着分子制御」といったコア技術を軸に研究を展開することで,その作用機序や発現条件を解明していく.そして,同現象を積極的に活用した切削加工技術を構築することで,「“潤滑”に依存しない切削加工特性の飛躍的向上」という新たな価値創出によるブレイクスルーを図るというものである. 本年度は,分子吸着によって吸着面に生じる表面応力を定量化する手法として,金属薄膜を援用した表面応力の測定手法の提案・構築を試みた.その結果,提案手法によって,分子吸着によって生じる表面応力を定量的に評価可能であることを示すとともに,吸着分子の分子構造と表面応力の関係を明確化した.さらに,表面応力測定と切削加工実験を連動して実施することによって,引張の表面応力を生じさせる吸着分子では延性的変形⇒脆性的変形を,圧縮の表面応力を生じさせる吸着分子では脆性的変形⇒延性的変形を引き起こすことを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,『被削材自由面への分子吸着による塑性変形挙動の変化』という現象そのものに対する理解を深めるという基礎的なステージから,理解した現象を実際の切削加工技術に落とし込むという応用的な研究ステージまでを扱う. そういった中で,R5年度は同現象を理解するうえで重要となる吸着分子による表面応力場の変化に着目し,分子吸着によって生じる表面応力を定量的に評価するための新たな手法を提案・構築することができた.これにより,様々な効果を引き起こす分子のスクリーニングが可能となったことから,本研究目的の進捗を大きく加速させるような成果が得られたと言え,研究はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
R5度の成果を踏まえ,R5年度は主に下記の研究に取り組む. (i) 表面応力場と切削加工特性の関係の明確化:炭素数の異なる脂肪酸を用いた切削加工実験を行うとともに,上記の表面応力場との関係について検討を行うことによって,表面応力場と切削加工特性の関係の明確化を図るとともに,「“潤滑”に依存しない切削加工特性の飛躍的向上」を達成する上で重要な因子の抽出を目指す. (ii) 圧縮応力場がもたらす塑性変形挙動の変化の解明:これまでの研究成果において,金属表面に引張応力場が付与されることによって,材料が延性的→脆性的なふるまいをすることを明らかにした.R6年度はさらに,圧縮応力場の付与により,脆性的→延性的なふるまいの実現を模索する. (iii) 切削加工特性を向上可能な新たな吸着分子の探求:切削加工特性を効果的に向上させることが可能な,新たな吸着分子の探求を行う.
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