Project/Area Number |
23K22658
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Project/Area Number (Other) |
22H01387 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18040:Machine elements and tribology-related
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Research Institution | Institute of Science Tokyo |
Principal Investigator |
青木 才子 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (30463053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葭田 貴子 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80454148)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,900,000 (Direct Cost: ¥13,000,000、Indirect Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
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Keywords | トライボロジー / 指の摩擦 / 疑似触覚 / 生体信号計測 / 感性評価 / 感性工学 |
Outline of Research at the Start |
2022~2023年度は,タブレット端末を利用して指のタッチスクリーン操作における映像刺激を付与するデバイスとそれを組み込んだ指の摩擦測定装置の試作,心理測定や脳波等生体信号測定など心理生理学的計測を導入し摩擦測定との同期を行う.最終年度の2024年度では,疑似触覚の強度を変更することにより,疑似触覚の生起プロセスの差異が実感覚の発現に及ぼす影響を調査する.全期間を通して得られた結果より,実感覚から心地よさへの変化の基準となる閾値を明らかにして,心地よさの実感覚を定量的に表現する指標について提案する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,視覚刺激による擬似触覚体験下において指のすべり動作で生じる摩擦とその力学的応答を計測し実感覚を定量的に評価すると同時に,心理学・生理学的計測により心地よさを質的・量的に表現し摩擦測定と同期させることにより,実感覚から心地よさが派生するためのしきい値を取得して心地よさを定量化することを目的とする.本研究を(1)映像刺激による擬似触覚体験下における指の摩擦とその力学的応答の評価,(2)指の摩擦に起因する実感覚の心理生理学的評価,(3)実感覚から心地よさが派生するためのしきい値条件の最適化に分類して,それぞれ並行して進めていく. 2022~2023年度はタブレット端末を利用して指のタッチスクリーン操作における映像刺激と摩擦刺激による擬似触覚試験を行う.2023年度は前年度に試作した映像刺激を付与するデバイスを改良し,疑似触覚体験下における指の摩擦測定を行い,触覚刺激を付与した感性試験により心地よさを定量化する方法を検討する. (1)について,画面上のカーソルを指で操作する際にC/D比やfpsを制御できるように改良し,映像刺激の強度を変化させながら疑似触覚を体験できるようにする.このソフトウェアを搭載したタブレットを3成分力センサで構成された自作の平板型摩擦測定装置に組み込み,疑似触覚が生起された状態における摩擦力や荷重など力学的応答の測定を試みる.(2)について,心地よさを客観的に評価する方法を検討する.具体的には,映像刺激による擬似触覚を生起させない条件において,分子膜被覆したガラス基板や研磨紙などを用いて指のすべり摩擦測定で得られた結果と,感性評価などの心理学的調査による結果を融合して主成分解析や機械学習による予測分析を行う方法を検討する.(3)について,摩擦と心理生理状態の計測により得られた各データをフィードバックし,最適な測定環境や解析手法の構築を実施する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は,前年度試作した映像刺激ソフトウェア搭載のタブレット端末を用いて,疑似触覚が生起された状態での摩擦測定を実施するとともに,心理学的調査や生体信号計測により心地よさを定量化する方法の探索を行った. 画面上のカーソルを指で操作する際に,指の移動距離に対するカーソルの移動距離の比(C/D比)やフレームレートなどを映像刺激の因子として映像刺激の強度を変化させながら疑似触覚を体験できるように,前年度試作したソフトウェアを改良しWindowsタブレット端末に搭載した.自作の平板型摩擦測定装置にそのタブレット端末を設置して指の摩擦測定を実施し,疑似触覚体験下における指の摩擦力や垂直荷重,すべり速度などの力学的応答の計測が可能となった.次年度以降では,映像刺激やタブレット表面の形状や材質を変化させて疑似触覚の生起プロセスに差異を与えることにより実感覚の発現に及ぼす影響を評価する. 化学構造が異なる数種類の分子膜をそれぞれ被覆したガラス基板や表面粗さが異なる数種類の研磨紙を用いて,既存の平板型3分力計を使用した摩擦測定装置により指の摩擦測定と感性試験を実施した結果,指の摩擦振動が心地よさなどの感覚に影響を及ぼす可能性が示唆された.今後は,指の摩擦振動についてFFT解析を行い,摩擦や表面形状などの各種因子と触覚試験の結果を主成分解析や機械学習により分析して,心地よさを定量化する方法を検討する.また,筋電位や脳波などの生体信号計測の結果も解析に組み込む予定である. 個人差によるばらつきが顕在化してもデータ解析が可能になり信頼性のある結果が得られるように,機械学習等を利用したデータ解析手法の改良とともに,研究対象者が集中して実験に取り組むことができる実験環境の最適化,研究対象者を増やしサンプル数の増加についても検討を行った.以上から,本研究は概ね順調に進展しているものと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度では,全期間を通して得られた結果より,実感覚から心地よさへの変化の基準となる閾値を明らかにして,心地よさの実感覚を定量的に表現する指標について提案する. (1)について,タブレットを用いたタッチスクリーンによる映像刺激では指の操作や接触状態を直接目視するため,タッチスクリーンの映像や指をすべらす物体表面の形状や材質を変化させることにより疑似触覚の強度に差異を与えて,これら疑似触覚の生起プロセスの差異が実感覚の発現に及ぼす影響を評価する. (2)について,上記(1)の疑似触覚の強度に差異を付与する摩擦測定に加え,心理生理学的計測を実施する方法を検討する.すべり動作の能動性は脳波計測に影響を及ぼすことが考えられるため,パッシブタッチの条件下で測定を行い,能動性の効果を把握する.前年度までに,視覚刺激を付与しない条件下での摩擦・心理生理状態を同時計測する方法の探索を実施してきたが,脳波測定で得られるデータの抽出が比較的困難であることから,測定条件の最適化を行うとともに,脳波以外の生体信号計測の実施についても再検討を行う. (3)について,入力値である視覚刺激と出力値である力学的応答から実感覚を定量化すると同時に,心理生理学的計測により数値化された心地よさを対応させることにより,実感覚から心地よさへ変化する際のしきい値を明らかにする.指・表面等の摩擦測定条件,荷重・摩擦力等の摩擦測定結果,脳波・筋電位等の生体信号計測結果を入力値とし,心理・感性評価により数値化された触感覚を出力値として機械学習モデルを構築することで実感覚と心地よさの関係性を特徴量重要度で表し,任意の摩擦刺激により再現された実感覚を心地よさへとアウトプットするメカニズムの提案を行う.
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