Project/Area Number |
23K22685
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Project/Area Number (Other) |
22H01414 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 19020:Thermal engineering-related
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
齋木 悠 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60550499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杵淵 郁也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30456165)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,070,000 (Direct Cost: ¥13,900,000、Indirect Cost: ¥4,170,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2022: ¥12,610,000 (Direct Cost: ¥9,700,000、Indirect Cost: ¥2,910,000)
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Keywords | 燃焼 / プラズマ / 表面反応 / ラジカル / 分子線散乱・昇温脱離 / 分子線散乱 / 昇温脱離 / 分子線散乱計測 / 昇温脱離計測 / 昇温脱離法 / 分子線散乱法 |
Outline of Research at the Start |
燃焼機器やプラズマ発生装置などの化学反応を伴うエネルギー機器の高性能化においては,反応性の高い活性化学種(ラジカル)の固体表面上での化学反応の理解と予測が極めて重要となる.本研究では,工業的に特に重要な,水素原子,酸素原子,窒素原子などの原子状ラジカルを対象とし,プラズマ分子線散乱技術,プラズマ昇温脱離技術などの全く新しい独自の計測手法により,これらラジカルの表面反応プロセスを解明・モデリングすることを目的とする.
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Outline of Annual Research Achievements |
活性化学種(ラジカル)の表面反応は,反応性熱流体機器で見られる熱化学現象であり,機器の性能に強い影響を与えうるが,その実験的評価は極めて難しく不明な点が多い.本研究では,原子状の水素・酸素・窒素などに着目し,吸着・会合・脱離から成る原子状ラジカルの表面反応素過程を分子線散乱・昇温脱離・プラズマ・燃焼診断技術を用いた独自の評価手法により定量化・モデリングすることを目的としている. 当該年度は,プラズマ分子線散乱計測により,ステンレス,石英,アルミナ表面における原子状酸素の吸着係数の定量化に成功した.表面材質に依らず,表面温度の上昇に伴い吸着係数が低下すること,一方で,吸着係数の値はステンレス>石英>アルミナの順に大きいことを初めて明らかにした.特に,ステンレスにおける吸着係数は,金属酸化物である石英・アルミナのそれと比較し10倍程度高い.また,吸着後の会合・脱離反応の直接的評価を可能とするプラズマ昇温脱離分析系の構築を昨年度に引き続き進め,10^-10 Torr台の超高真空環境下で,試料表面の温度・位置・角度を制御可能な加熱機構の設置を完了した.表面に吸着させるラジカルの導入機構・脱離してくるガス分子の分析機構の設計も完了している状況にある.さらに,これら超高真空環境下の計測に併行して,大気圧プラズマジェットを用いた原子状窒素の吸着反応挙動の調査を行った.キャリアガスのヘリウムに窒素分子を微量添加してプラズマ分解することで,窒素原子をオンデマンド生成し試料表面に照射した.その結果,アルミナと比較し石英では窒素原子が有為に吸着して反応を起こすことが分かった.壁面よどみ火炎を用いた原子状水素の会合・脱離反応の評価については,計算負荷低減のため1次元数値解析の導入を試みたが,実験を精緻に模擬することが難しいことが分かり,これまでと同じく2次元解析により検討を進める方針を固めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,反応性熱流体機器の高性能化において重要となるラジカル表面反応を,その素過程の分析に基づき,解明・モデリングすることを目的としている.そのため,当該年度は,ラジカル吸着反応を定量化するためのプラズマ分子線散乱計測,本課題で新たに構築するプラズマ昇温脱離計測装置の設計・開発,大気圧下でラジカル吸着反応を評価するためのプラズマジェット表面照射試験,大気圧下でラジカル会合・脱離反応を評価するための壁面よどみ火炎のガス分析・数値解析,を遂行した.プラズマ分子線散乱実験では,各材質の表面における原子状酸素の吸着係数の定量化を完了した.また,プラズマ昇温脱離装置のための表面加熱機構の設置を行うとともに,ラジカルの導入機構・脱離種の分析機構の設計を終えた.さらに,大気圧プラズマジェットを用いて原子状窒素の吸着反応挙動の調査を行い,上述のプラズマ分子線散乱実験との比較データを先行して取得した.壁面よどみ火炎については,計算コスト低減のための1次元数値解析の適用が難しいことが判明し,2次元解析で検討を進める必要があることを把握した.以上を踏まえると,当該年度の研究は,目的に照らしておおむね順調に進捗していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,プラズマ分子線散乱実験による原子状水素・酸素の吸着係数の定量化をほぼ終えたため,次の段階として,カーボンフリー燃料として注目されているアンモニア燃焼や窒素プラズマなどで重要となる原子状窒素の吸着係数の計測を,上述の大気圧プラズマジェット表面照射試験の結果との比較もしながら進める.また,ラジカル導入・脱離種分析機構の設置を進めプラズマ昇温脱離装置の構築を完了し,まずは原子状水素の会合・脱離反応の頻度因子および活性化エネルギーの直接計測に基づく定量化を試みる.壁面よどみ火炎の実験・数値解析も引き続き進め,プラズマ昇温脱離計測との比較データを蓄積する.以上の結果を集約し,原子状ラジカルの吸着・会合・脱離素過程表面反応モデルの構築を目指す.
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