Project/Area Number |
23K22741
|
Project/Area Number (Other) |
22H01470 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21010:Power engineering-related
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
滝川 浩史 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90226952)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
|
Keywords | ハードコーティング / 窒化物薄膜 / DLC膜 / フィルタードアーク蒸着 / 高速成膜 / フィルタード真空アーク蒸着 / 陽極コイル / ドロップレット / 硬さ / TiN膜 / AlCrN膜 / ダイヤモンドライクカーボン / 切削工具 / ドロップレット抑制 / 磁気輸送 / 精密加工 / 金属薄膜 |
Outline of Research at the Start |
金属窒化物保護膜に適した新規のフィルタードアーク蒸着源(FAD)を開発する。新FADでは,陰極-被蒸着物間距離を短く保ちつつ,ドロップレットを効率的に除去しながらプラズマを輸送できる新規装置構造(プラズマ輸送磁界形成コイル兼ドロップレットフィルタ陽極)を導入する。これにより,成膜速度を保つ一方で,ドロップレット量の抑制が期待できる。ドロップレット量に直接的に寄与する陰極点の挙動の制御を実験的に検討すると共に,磁束密度分布を計測し,磁界と陰極点運動との関係の理解を深める。ノンフィルタに対してドロップレット数1/1000,成膜速度1/3確保を目標として,精密加工具(精密タップ等)などへの適用可能性を探る。
|
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は,陰極をTi,導入ガスをN2としてTiN膜を形成し,その評価を進めた。特に(1)磁界構造による陰極点の安定性と運動特性の変化,(2)ドロップレット抑制の特性について調査した。 (1)については,陰極の背面に設置する後方磁石(永久磁石)および外周電磁コイルが作る磁界を調整することで,真空アークが安定に放電し,陰極点が陰極表面上で高速に円軌道回転運動を行い,かつ,ドロップレットの放出量が抑制される条件を見出した。また,コイル形状の陽極(コイル陽極)にした場合とそうでない場合を比較し,コイル陽極を用いることで成膜速度が上昇することを確認した。コイル陽極により磁束密度が増強されたともに磁界分布が延長されたことで,プラズマがより効率的に基板まで輸送されたと考えられる。実際,磁気プローブにより磁界を計測し,コイル陽極によって磁束密度が増え,磁界分布が延することを確認が確認できた。,また,成膜速度が増加したことにより,膜厚あたりのドロップレット数を低減できることを確認した。 第2年度は,AlCrN膜形成に対する装置の開発・条件だしを行った。まず,TiN成膜時に調整した磁界形成条件(後方磁石,外周電磁コイル)と同一条件でテストしてみたところ,陰極の端部のみにアーク放電が集中し,陰極の持ちが悪いことが判明した。そこで,それまでは,陰極点逆運動のみを考慮した磁界構成としていたが,ロブソンドリフトを考慮した磁界構成を実現できるように装置を改良し,磁界分布を調整してみた。その結果,陰極表面の所望の位置で放電できるようになり,AlCrN成膜の目途が付いた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
印加磁界による陰極点の安定性・運動特性,ドロップレット数の変化,TiN膜の膜質の変化などについて,初年度は計画通りに分析を進めることができた。陰極点の運動を制御すると共に,アーク電流を利用した輸送磁界を用いることで,ドロップレット数を抑えつつ高速にTiN膜を成膜することができ,結晶構造や硬さなどの膜質の分析を進めた。テストピースへの成膜だけではなく,工具への成膜を行うことができた。第2年度は,特にAlCr陰極利用時の磁界構成に目途を付けることができた。また,炭素陰極による初期試験も進めており,この関係では特許1件出願済み,現在2件準備中であり,順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
金属窒化物形成については,まだ,次の問題を抱えており,その改善を進める。まず,TiN膜については,膜の発色が希望通りになっていない。原因としては,窒素の反応量であるとみている。また,社会実装を見込んで,大型陰極を利用した際の磁界構成を確立できていない。そこで,AlCrN膜形成で知見を得たロブソンドリフトを加味した磁界構成の採用と条件出しを進めるとともに,アーク電流・窒素流量・磁束密度をパラメータとして,色調整を図る。AlCrN膜に関しても,大型陰極用の磁界構成の実現を図る。同膜については,ドロップレット抑制状況が未把握のため,各種条件とドロップレット数との関係を把握し,最適化を図る。金属窒化物形成用の場合には真空アーク放電のアーク電流が100A前後であるのに対し,DLC膜形成に関しては30Aほどである。つまり,陽極コイルで形成する磁束密度が低いため,同程度の磁密度を得るためには,陽極コイルの巻き数を変えなければならない。また,DLC膜形成には黒鉛を陰極として用いるが,黒鉛の融点は金属に比べ格段に高いため,陰極点制御が金属のようにはいかない。黒鉛用の陰極点駆動技術の開発を図る必要がある。 以上の装置作り,安定プロセスの条件だしと並行して,膜質に関し,基板(Siウェア,超硬)に製膜された各種膜の成膜速度,表面形状(異物,平坦性),膜質(密度,硬さ,耐摩擦摩耗性:トライボ特性),電気抵抗を評価する。これらの膜質特性の圧力,ガス流量,バイアス,磁界構造に対する依存性を把握する。 これらを踏まえて,更なる改良版装置の設計指針を得る。
|