ナノスケール異種材料界面制御による熱マネジメント基盤の構築
Project/Area Number |
23K22800
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Project/Area Number (Other) |
22H01530 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21050:Electric and electronic materials-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡邉 孝信 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00367153)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,320,000 (Direct Cost: ¥6,400,000、Indirect Cost: ¥1,920,000)
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Keywords | 分子動力学シミュレーション / 界面熱抵抗 / 半導体集積回路 / 熱電変換 / 熱抵抗 / 界面 / シリコン |
Outline of Research at the Start |
半導体集積回路における熱マネジメント技術の基盤構築を目的とし、金属/半導体、金属/絶縁体、異種絶縁膜界面など、薄膜積層材料間の接合部の熱抵抗の決定要因を、大規模分子動力学シミュレーションとナノスケール構造分析、熱電特性評価を通じて解明する。特に界面近傍の遷移領域に着目し、遷移領域の構造的特徴から熱抵抗を予測する実用的な学理構築を目指す。次世代モビリティ時代のクールLSI技術、熱電発電デバイスの性能向上等の応用につなげる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、様々な薄膜積層材料間の接合部の熱抵抗の決定要因を、大規模分子動力学シミュレーションとナノスケール構造分析、微小熱電素子の熱電性能評価を駆使して解明することである。 分子動力学シミュレーションに関して、今年度は、アモルファスのAl2O3とアモルファスのSiO2の界面を取り上げ、界面近傍の欠陥分布と熱抵抗の関係を調査した。界面近傍に空孔型欠陥が分布している空孔分布型モデルと、接合部が狭窄した狭窄界面型モデルの2種類の界面の熱抵抗を比較したところ、界面付近の原子数がそろっている場合は両モデルに有意な差がみられないことが判明した。このことから、少なくともアモルファス酸化物同士の界面熱抵抗は、空孔の分布には影響されず、界面近傍の原子密度でほぼ決まることが判明した。 微小熱電素子を用いた薄膜積層材料の熱電性能評価に関しては、素子内部に熱を局所注入するヒートガイド層の厚さを500nmと900nmとした2種類の多段集積熱電デバイスを作製し、熱電性能を評価した。その結果、900nmのヒートガイド層を有するデバイスが約3倍程度高い発電性能を示すことが判明した。これはシミュレーションによる事前の予想よりも大きな向上率であり、厚さ以外の別の要因も含まれると考えられる。 また、UVラマン分光を用いた絶縁膜-Si薄膜界面近傍の熱伝導特性評価にも取り組んだ。厚さ70nmのSi結晶層の上に5種類の絶縁膜を30nm積層させて比較したところ、レーザー照射によるSi結晶層のラマンスペクトルのシフト量が試料毎に異なることを見出した。さらに、金属配線と有機スピンオングラス(SOG)の界面熱抵抗の調査も行い、メチル基含有量が多い有機SOG材料の方が高い界面熱抵抗を示すことを明らかにした。界面のメチル基含有量が多いほど、金属との結合が弱まり、界面熱抵抗が高くなったと考えることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子動力学シミュレーションに関しては、組成および構造遷移の特徴が異なる様々な界面モデルのフォノン状態および界面熱抵抗を解析することを目指している。本年度は界面近傍の空孔型欠陥の空間分布と熱抵抗の関係を調査し、アモルファス酸化物同士の界面では、空間分布依存性がほぼないことを明らかにできた。今後は界面における組成遷移、構造繊維に注目し、遷移層の厚さが界面熱抵抗に与える影響を明らかにする。 微小熱電素子を用いた薄膜積層材料の熱電性能評価に関しては、多段集積熱電デバイスが首尾よく完成し、熱電デバイスの発電性能評価を通じて、デバイスを取り囲む周辺の材料の熱抵抗を調査することが可能となった。初年度はヒートガイド層厚さが異なる2種類のデバイスの比較にとどまったが、今後、異なる条件のデバイスの作製を進め、様々な薄膜積層材料間の熱抵抗を評価していく予定である。 また、周波数領域サ-モレフレクタンス法やUVラマン分光を用いた薄膜材料の熱伝導特性評価も進め、異なる作製条件の試料の差を検出することができた。今後さらに解析を進め、界面熱抵抗の決定要因に迫る知見の獲得を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)分子動力学法による界面熱輸送シミュレーション:異種材料界面の熱輸送プロセスを非平衡古典分子動力学シミュレーションで計算し、界面熱抵抗を計算する。初年度に実施した原子密度との関係の調査を進めるとともに、今後は組成遷移、構造繊維に注目し、遷移層の厚さが界面熱抵抗に与える影響を明らかにする。 (2)薄膜積層材料を含む微小熱電素子の開発:引き続き微小熱電素子の試作を進め、微小熱電素子に熱を効率よく局所注入するための積層薄膜構造を探索する。熱伝導度の高くする領域と低くする領域のコントラストを高めることが微小熱電素子の性能向上につながるため、界面熱抵抗を高くする薄膜材料の組み合わせと、小さくする組み合わせの両者を探索する。 (3)面内方向の熱拡散の観察:異種材料境界を介した熱輸送プロセスを可視化するため、半導体微細加工技術で金属配線をパターニングし、抵抗温度計ならびに顕微サーモグラフィで面内方向の温度分布を計測する実験に着手する。
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Report
(1 results)
Research Products
(36 results)