Project/Area Number |
23K22859
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Project/Area Number (Other) |
22H01589 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22030:Geotechnical engineering-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
緒方 奨 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (50868388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 麻由子 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 地層処分研究開発推進部, 研究職 (10751191)
岸田 潔 京都大学, 工学研究科, 教授 (20243066)
中島 伸一郎 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (70346089)
安原 英明 京都大学, 工学研究科, 教授 (70432797)
福田 大祐 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80647181)
下茂 道人 公益財団法人深田地質研究所, その他部局等, 主席研究員 (90393694)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | 岩盤内亀裂 / 透水特性 / 熱・水・力学・化学連成現象 / マルチスケール・マルチフィジックスシミュレータ / 岩盤内亀裂のミクロ構造 / ミクロスケールの岩石亀裂生成解析 / マルチGPU並列計算 / 岩石亀裂生成解析の高速化 / 鉱物分布モデル / 亀裂のミクロ構造 / 亀裂内マルチフィジックス現象 / 亀裂の透水性変化 / GPGPU並列計算 / 岩石鉱物の溶解・沈殿 |
Outline of Research at the Start |
高レベル放射性廃棄物を岩盤内に隔離し、その長期閉じ込め性能を保証するためには、岩盤内亀裂の透水性を長期に渡り予察する必要がある。そのためには、地層処分時に岩盤中に亀裂が生成した後、熱・水・力学・化学連成現象の影響で亀裂の透水性が長期変化していくまでを予測評価する必要がある。しかし、従来の岩盤連成解析では、亀裂での連成現象に強く寄与する亀裂内ミクロ構造の影響を考慮できておらず、透水性変化の実像を捉えきれない。本研究では、亀裂生成から連成現象に伴う長期透水性変化まで、亀裂のミクロ構造特性を考慮した上で精密に再現するマルチスケール岩盤シミュレータを創成し、地層処分時の岩盤の透水特性変化の実像を導く。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度に取り組んだ各課題の成果概要を記す。 ①ミクロ構造レベルで亀裂生成形態を予測する解析モデル構築に関する成果:昨年度に構築したミクロスケール亀裂生成解析モデルに岩石表面の化学元素分析のデータも取り入れることで、より正確な鉱物分布を反映可能となった。この改良版モデルを用いて花崗岩圧裂試験の解析を行った。その結果、実験より得られた亀裂の凹凸度(Z2、JRC)を解析結果は定量的によく再現しており、亀裂の造成形態をミクロ構造レベルで予測し得ることが示された。さらに、昨年度に亀裂生成解析に実装していたシングルGPUを用いたGPGPU並列計算をマルチGPUに対応可能な形へと拡張し、GPU枚数に概ね比例した計算高速化を達成した。この拡張により、スパコンでの超多数のGPUを駆使した大規模解析が実行可能となった。 ②ミクロ構造に依存した亀裂内マルチフィジックス現象を記述するメゾスケール構成モデル構築に関する成果:昨年度構築した実験機構を用いて、地層処分時に想定される温度・拘束圧条件(拘束圧~3MPa、温度25度~60度)下での単一亀裂を有する花崗岩への透水試験及びX線CTによるその場観察を100日以上の長期スパンで実施した。一連の実験・観察より、亀裂全体としての透水性の経時低下挙動及びそれをもたらしている亀裂内の時々刻々の構造変化(開口部が時間と共に閉塞し接触していく)を定量評価することができた。これらの結果をふまえ、亀裂全体としての透水性の経時低下挙動を表現可能な構成モデルを確立できた。 ③亀裂のミクロ構造を考慮可能なマルチスケール・マルチフィジックスシミュレータの構築に関する成果:構築予定のシミュレータのベースとなるメゾ~マクロスケールの岩盤連成解析コードを高度化した。具体的には、空洞掘削解析における破壊判定を有効応力ベースに変更し実際の空洞損傷領域の分布傾向をよく再現できるように改良した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では本年度は、(1)「ミクロ構造レベルで亀裂生成形態を予測する解析モデルの構築」、(2)「ミクロ構造に依存した亀裂内マルチフィジックス現象を記述する亀裂の構成モデルの構築」、(3) 「亀裂のミクロ構造を考慮可能なマルチスケール・マルチフィジックスシミュレータの構築」という3課題に取り組む予定であった。 (1)の課題について当初計画通り、今年度終了の時点までに予定していた一連の内容を遂行することができ、亀裂造成形態をミクロ構造レベルで予測し得ることが示された。さらに、想定していなかった成果として、昨年度中に亀裂生成解析に搭載済みであったシングルGPU型の並列計算をマルチGPU型に拡張し更なる計算高速化を達成できている。亀裂を陽に表現可能な亀裂生成解析に対しマルチGPU型の並列計算まで搭載できた事例は、世界的に見ても極めて稀有である。 (2)の課題について当初計画では、今年度は(2-1)【温度・圧力・化学条件を制御した岩石亀裂透水試験とその場観察】のサブ課題を長期に渡り継続実施するとともに、得られた計測・観察結果を活用し、(2-2)【ミクロ構造に依存した亀裂内マルチフィジックス現象を記述する亀裂の構成モデルの定式化】のサブ課題を遂行する予定であった。結果として今年度は、(2-1)の実験を100日以上長期に渡り実施するとともに、実験結果の傾向を表現可能な(2-2)の構成モデルを提案することができている。 (3)の課題について当初計画では、今年度と次年度でシミュレータを構築予定であり、今年度は構築予定のシミュレータのベースとなるメゾ~マクロスケールの岩盤連成解析コードの整備・性能検証まで実施できた。 上記の通り、(1)と(2)の研究課題で順調に成果があがっており、(3)の課題についても想定の範囲内で進捗しており、総合的には研究は概ね順調に進捗していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で実施予定としている(1)~(4)の研究課題の内、(1) 「ミクロ構造レベルで亀裂生成形態を予測する解析モデルの構築」の課題が基本的に完遂できたので、今後は残りの課題に注力していく。(2)「ミクロ構造に依存した亀裂内マルチフィジックス現象を記述する亀裂の構成モデルの構築」の課題については、岩石亀裂透水試験とその場観察を引き続き実施し実験デーを拡充していき、今年度提案した構成モデルの更なる高精度化を図っていく予定である。また、(3) 「亀裂のミクロ構造を考慮可能なマルチスケール・マルチフィジックスシミュレータの構築」の課題については、今年度整備が完了した連成解析コードに(1)と(2)の課題で得られたミクロスケールモデルとメゾスケールモデルを次年度中に組み込み、ミクロ~メゾ~マクロを繋ぎ合わせたマルチスケール解析へと昇華させていきたい。また、JAEAの瑞浪超深地層研究所・幌延深地層研究センターで行われた現場実験の再現解析を行い、シミュレータの実現場レベルの妥当性を検証していく予定である。最後に、(4) 「亀裂のミクロ構造を考慮可能なマルチスケール・マルチフィジックスシミュレータの構築」の課題については、(3)にて構築・検証されたシミュレータを用いて地層処分環境を想定した条件下で岩盤の長期透水特性を数万年オーダーで予測解析を行っていく予定である。
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