Development of an ensemble data assimilation method to be introduced into a nation-wide distributed rainfall-runoff model
Project/Area Number |
23K22870
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Project/Area Number (Other) |
22H01600 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22040:Hydroengineering-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
立川 康人 京都大学, 工学研究科, 教授 (40227088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Kim Sunmin 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10546013)
田中 智大 京都大学, 工学研究科, 助教 (20793798)
佐山 敬洋 京都大学, 防災研究所, 教授 (70402930)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥11,960,000 (Direct Cost: ¥9,200,000、Indirect Cost: ¥2,760,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | 洪水予測モデル / データ同化 / リアルタイム予測 / アンサンブルカルマンフィルタ / 最適内挿法 / リアルタイム洪水予測 / 分布型洪水流出予測モデル / 水防災・減災 / 流出現象のモデル化 / 水災リスク / 気候変動 |
Outline of Research at the Start |
洪水災害による被害を最小限に抑えるためには、避難活動や治水施設による洪水制御を効果的に実現するための実時間の河川流量・水位予測が欠かせない。本研究では、日本のすべての河川流域を予測対象とする全国分布型降雨流出氾濫モデルに適用可能なアンサンブルデータ同化手法を開発し、分布型降雨流出モデルおよび分布型降雨流出氾濫モデルに組み込んで、洪水予測精度の改善を実現する。
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Outline of Annual Research Achievements |
1)アンサンブルカルマンフィルタの局所化手法の開発 分布型降雨流出モデルの状態量をデータ同化する際の基本情報となる状態量の推定誤差分散共分散行列について、状態量の推定精度を向上させるためにその局所化手法を検討した。具体的には、河川地点間のユークリッド距離、河川地点上流の流域面積、河川区間に沿った河川地点間のユークリッド距離に関する相関関係をもとに局所化行列を設定し、それらの局所化行列を用いたフィルタリングアルゴリズムを開発して、状態量更新の性能を数値シミュレーションによって比較した。いずれの局所化手法も誤った状態量推定を防止する効果があることが分かった。また、システムノイズの設定や評価地点、洪水事象ごとにこれらの局所化手法の性能は異なり、特定の局所化手法が有効であるかは明確に定まらないことが分かった。また、ダム放流量の観測値に対する局所化手法の適用は有効であることを確認した。
2)推定誤差分散共分散行列の計算負荷の低減手法の開発 上記の推定誤差分散共分散行列の逐次計算負荷がアンサンブルカルマンフィルタを実時間洪水予測に適用する際のボトルネックとなる。そこで、二種類の計算負荷低減手法を検討した。まず、推定誤差分散共分散行列をアンサンブル計算によって得るのではなく一つの予測計算によって得られる状態量に空間相関誤差を加えた複数の状態量を生成し、それらから推定誤差分散共分散行列を生成する手法を新たに開発した。本手法によって得られる状態量の推定値はアンサンブルカルマンフィルタを用いた場合には及ばないものの、大幅な計算負荷の軽減が可能となることが分かった。もう一つの方法として、既往洪水のシミュレーション結果を蓄積したモデル状態量ベクトルをデータベース化し、それらから逐次、類似する状態量ベクトルを抽出することによって、計算負荷を低減させつつ推定誤差分散共分散行列を構成する手法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
河川網構造およびダム放流量を考慮したアンサンブルカルマンフィルタの局所化手法の開発は順調に進み、局所化行列を導入することによって、誤った状態量推定を防止することを可能とする手法を構築することができた。特にダム放流量を観測値としてデータ同化手法に組み込む場合、ダム放流量が影響するその地点より下流区間のモデル状態量のみに状態量更新の効果が及ぶように局所化行列を設定することが、状態量の推定精度を向上させるために有効であることを確認することができた。
また、状態量の推定誤差分散共分散行列の計算負荷を低減させる手法として、二つの手法の検討し計算機プログラムを構築してそれらの手法の精度を分析した。一つは、予測計算によって得られる一組の状態量ベクトルにランダムに発生させた空間相関誤差を加えることによって複数の状態量ベクトルを生成しそれらによって推定誤差分散共分散行列を逐次、生成する手法である。もう一つは、過去の洪水シミュレーションによって生成したモデル状態量ベクトルを事前に多数蓄積し、それらから逐次、類似する状態量ベクトルを抽出することによって、計算負荷を低減させつつ推定誤差分散共分散行列を構成する手法である。これらの計算機プログラムの開発は終了しており、双子実験によって状態量推定の性能検証を実施して、それらが有効に機能することを確認することができた。なお、双子実験では空間的な相関構造をもつ誤差モデルを設定し、状態量の誤差を乱数発生させる計算機プログラムを構築した。これを用いて気象庁の解析雨量に誤差を付加することで複数の雨量データを生成し、アンサンブルランを実施して状態量推定の性能検証を実施した。
令和5年度も継続してこの課題に取り組み、実流域での実際の洪水予測に適用可能なアンサンブルデータ同化手法の開発を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
一つの予測シミュレーションランによって得られる状態量ベクトルに空間相関構造を持つ誤差を加えて複数の状態量ベクトルを生成し、それらによって推定誤差分散共分散行列を生成する手法については、状態量に付加する空間相関誤差の設定方法によって状態量推定の性能が異なることが、双子実験によって得られた。そこで、河川流量の推定誤差の統計的特性を表現する空間相関構造の分析とその特性を表現するシステムノイズモデルの開発を引き続き継続するとともに、そのシステムノイズモデルの誤差パラメータを逐次推定する適応的な推定誤差分散共分散行列生成手法の開発を進める。また、誤差パラメータを事前に定めて定常的に設定する場合と適応的に変化させて設定する場合の状態量推定の性能を比較検討する。
また、既往洪水の洪水シミュレーションから得たモデル状態量ベクトルを蓄積し、それらから逐次、類似する状態量ベクトルを抽出して推定誤差分散共分散行列を生成する手法については、既往の洪水と異なる洪水を予測対象とする場合の予測性能を検証する。また、状態量ベクトルを抽出する際の適切な状態量ベクトル選択手法を検討し、実流域での適用例を増やして状態量推定の性能を分析する。
これらの手法の計算負荷と流域面積の関係を分析するために、より広い流域面積を有する河川流域を対象流域に加える。また、データ同化手法を適用することによって観測情報が存在しない河川地点の水位・流量の推定値および予測値の精度がどの程度向上するかをシミュレーションによって検証する。観測情報が存在しない河川地点の予測性能を向上させるためには分布型降雨流出氾濫モデルの予測精度自体を改善することも重要となる。そこで、多地点・多時期の観測水位・流量データを用いた分布型降雨流出モデルの同定手法を開発し、モデルパラメータの改善を図る。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)