Project/Area Number |
23K22885
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Project/Area Number (Other) |
22H01615 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22050:Civil engineering plan and transportation engineering-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
喜多 秀行 神戸大学, 工学研究科, 名誉教授 (50135521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬谷 創 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20584296)
野口 寛貴 東京工業大学, 環境・社会理工学院, JSPS特別研究員 (80967993)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 準交通空白地有償運送 / 過疎地域 / 統合的運営 / 住民互助輸送 / タクシー / 準公共交通空白地有償運送 / 準公共交通空白地有償運送(仮称) |
Outline of Research at the Start |
地方部において「安全性」,「低廉性」,「利便性」,「速達性」,「安定供給」をすべて満たす公共交通サービスを持続可能な形で提供することは可能か.本研究では,自家用有償運送とタクシーを同一運賃で統合的に運営し自治体を含めた三者で収益と費用を再配分することにより,これらの条件と住民ドライバーの参加意欲,タクシー事業の安定的経営,自治体の政策費用の縮減を同時に達成しうるしくみ「準交通空白地有償運送(仮称)」を提案し,その実行可能性と満たすべき要件をモデル分析とフィールドスタディにより明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
過疎地域における生活の足を確保するため,コミュニティバスからタクシーや自家用車を活用した互助的な個別輸送サービスへの転換を図る自治体が増加しているが,もともと人口が少ない過疎地域においては,「必要な時に手頃な運賃で利用できる高い利便性」と「事業者とプロのドライバーによる高い信頼性と安定性」を兼ね備えたサービスを実現することが困難であり,それを打開しうる方策が求められている. 本研究課題は,両者を兼ね備えた新たな公共交通サービスの仕組み「準交通空白地有償運送(仮称)」を開発し,その実行可能性を行動分析,制度制約,運用方式等の観点から明らかにすることを目的としたものである. 2023年度は,ウェブ調査データを用いた互助による個別輸送型生活交通サービスの供給分析と需要分析,および両者の結果を用いた静的な需要-供給分析,フィールド調査の実施と調査データに基づく一次分析,フィールド研究の対象地区において具体の制度を設計するための環境整備を行った. 先行研究を含めて成果を随時社会に発信してきたこともあってか,本研究の進展と時を同じくしてわが国の公共交通関連法制度が徐々に本研究の目的に沿った方向に改正され,また,申請時には想定していなかったが,2023年夏頃からのライドシェア解禁を求める声の高まりの中で「準交通空白地有償運送(仮称)」が議論の題材に上がるなど,社会実装の気運が醸成されつつある.そのような中,人口分布やトリップ特性など地域環境に即した制度設計に必要な計画情報を早急に整備すべく,理論と実証の両面から研究を遂行している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の研究計画は,(1)「準交通空白地有償運送(仮称)」のフレームワーク構築,(2)供給分析:ボランティア・ドライバーの参加意識の調査と分析,(3)需要分析:運賃水準と待ち時間が利用性向に及ぼす影響の調査と分析,(4)個別輸送型生活交通サービスの静的な需要-供給分析,(5)需給変動メカニズムの動学的記述と均衡分析,(6)共感と公共的判断に着目したインセンティブ設計であり,(2)~(4)はモデルによる数値分析およびウェブ調査データとフィールド調査データに基づく事例分析から構成されている. 2年目を終えた時点で,(1)およびウェブ調査データに基づく(2)~(4)を概ね完了し,(5)と(6)を実施する準備が整うとともに,フィールド調査データを用いた分析とそれに基づく具体の制度設計を開始しつつある.(1)では,法制度上・運用上の課題の洗い出しと課題解決のための対応策を提案し,(2)では,住民の互助ドライバーとしての参加意向を高める条件として,ドライバーへの報酬,同乗者との関係性,移動目的,個人属性,シンパシーとコミットメント等が重要であるとの知見,(3)では,割引率,ドライバーとの関係性,ドライバーの性別,事前予約の期限,希望到着時刻とのズレが,利用意向に有意な影響を与えるとの知見,(4)では,需給バランスを保つことが供給側と利用側双方の参加意欲を規定するといった知見等を得ている. 以上が,「おおむね順調に進展している」と判断した理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に研究計画に変更はない. 2024年度は,前年度実施したフィールド研究対象地区でのアンケート調査データを用いて構築した順序ロジットモデルに基づく静的な需給均衡条件の分析をさらに進める.次いで,それを踏まえた需要側と供給側の双方に関する集落単位での詳細調査を行い,サービス提供体制の実施設計を行う.需要供給均衡の動学的推移については,ボランティア輸送を需要側と供給側により構成される両面市場と解釈し,成立可能かつ効率的となる運賃と報酬,補助金の組合せ条件を探る.フィールド研究の過程で,当初念頭に置いていたタクシー事業者とボランティア輸送を統合的に運用するケース以外に,統合せずとも併存可能なケースやタクシー事業者が予約・配車業務のみを担うケースが存在する可能性が見出されたため,研究のスパンを拡げて検討を進める.また,利用者とボランティア・ドライバーのマッチングについては,昨年度基本設計を終えた予約・配車を行うICTシステムの試験運用を行い,機能と使用性を確認する.詳細設計で得られた知見を踏まえて個別輸送と集合輸送を有機的に組み合わせたサービスネットワークを構築し,フィールドとして選定した自治体の地域公共交通計画に組み入れる際の審議を通じて,社会的受容性と持続可能性を高めるための検討を行う. 以上の検討を通じてタクシーと互助輸送を同一料金で統合的に運用し収益配分調整を行うという新たな公共交通サービス提供システム「準公共交通空白地有償運送(仮称)」の制度設計に関する知見をとりまとめ,学会等で報告する.
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