Project/Area Number |
23K22896
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Project/Area Number (Other) |
22H01626 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22060:Environmental systems for civil engineering-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 禎彦 京都大学, 工学研究科, 教授 (10184657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 安廣 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60610524)
中西 智宏 京都大学, 工学研究科, 助教 (90824293)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 小規模水供給システム / 微生物的安全性 / 定量的微生物リスク評価 / 遺伝子解析 / 病原細菌 / メタバーコーティング / 細菌の網羅的検出 |
Outline of Research at the Start |
我が国には人口減少が進む地域を中心に小規模な水供給施設が多数存在し、飲料水の微生物リスク管理体制の脆弱性が問題となっている。本研究は、遺伝子解析技術とリスク評価手法を駆使して、小規模水供給施設における水源に潜む多種多様な病原細菌を検知し、それらにリスクを網羅的に評価する手法を開発する。これによって小規模水供給システムにおける必要十分な浄水処理レベルを推定し、現実的な水質管理のあり方を提示する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、(1)水中の病原細菌の一斉検出手法の改良、(2)小規模水供給施設の水源に関する実態調査、(3)小規模水供給システムにおける限定的な水質情報に基づくリスク評価、に取り組んだ。 1に関して、2022年度はナノポア型超並列シーケンサーによって16S rRNA遺伝子の全長配列を大量に取得し、データベースとの照合によって1つ1つの細菌名を種レベルで推定する手法の構築に取り組んだ。しかし、シーケンサーが潜在的に持つ解読エラーが大きく、正確な種名の同定を困難にしていた。2023年度はこれに対処するために、Unique Molecular Identifier (UMI)法によってDNA分子を標識し、得られた配列データの解読エラーを補正する手法の導入に取り組んだ。既知配列の標準DNAに対して本手法を適用したところ、極めて正確性の高い塩基配列データが生成されることを確認し、有効性を確認した。鋳型DNAに対するUMI分子の付加反応の効率が芳しくないものの、本手法を環境試料の分析にも採用することとした。 2に関しては、引き続き京都府内の4箇所の小規模水供給施設を対象として水質調査を進めている。これまで月1回のペースで調査を重ねており、指標微生物(大腸菌、一般細菌、従属栄養細菌、嫌気性芽胞菌など)を測定しながらDNA試料の蓄積も続けている。2年間の継続調査によって20以上のデータ数が得られている。 3については、限定的な水質情報のもとでの小規模水供給施設における微生物リスクの評価手法について検討した。実際の小規模水供給施設においては、上記1のような高級な水質分析ができる場合は稀であり、せいぜい原水中の一般細菌と大腸菌濃度が利用できれば良い方である。本研究では、そのような限定的な情報のみを用いて微生物リスクを推算し、必要な浄水処理能力を見積もる評価方法について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病原細菌の一斉検出手法に関しては、一部課題が残るものの一応は完了し、実際の小規模水供給施設におけるサンプルに適用できる見通しが立った。また、現地調査では指標微生物のような基本水質項目の測定データも順調に蓄積できている。以上より、概ね順調に進められていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、小規模水供給施設における(1)現地調査の継続、(2)原水中の病原細菌の網羅的検出、(3)1、2を踏まえた定量的微生物リスク評価、の3点に取り組む。(1)は昨年度に引き続き実施し、対象施設ごとに30ほどのデータ数を目指す。(2)では、昨年度に確立した手法を対象施設の原水に適用して、湧水や渓流水といった人為的な汚染の少ない水源で存在 する病原細菌の特徴づけを行う。また、都市部の河川水や下水処理水とも比較する。(3)では、(1)(2)の結果を踏まえて定量的微生物リスク評価を行う。(2)の結果からリスク評価対象とする病原細菌を決定し、直接飲用に伴う感染確率を推定する。許容リスクレベルを満足するために必要な微生物の除去・不活化能を推算することで、安全性確保のための現実的な浄水方法について考察する。
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