Project/Area Number |
23K22919
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Project/Area Number (Other) |
22H01649 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23020:Architectural environment and building equipment-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鳴海 大典 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (80314368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 智彦 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (30392591)
淺輪 貴史 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (50361796)
川久保 俊 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (50599389)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥14,300,000 (Direct Cost: ¥11,000,000、Indirect Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | ヒートアイランド現象 / 暑熱リスク / シナリオ設計 / 費用便益分析 / 地域特性 / 地球温暖化 / 緩和策と適応策 / 将来シナリオ |
Outline of Research at the Start |
本研究では,暑熱リスク対策の開発や評価に関わる研究グループを構築し,気候や社会背景要因が大きく異なる地域を対象として,地域特性と対策導入に関わる将来シナリオ設計との関係について検討するとともに,得られた結果を基に暑熱リスク対策の導入指針に関するガイドラインを作成することを目的としている.単なる物理的な側面のみならず,“便益の最大化”を目標にガイドラインの提案につなげることが本研究の強みである.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は各構成員が暑熱リスク対策の導入効果を事例的に評価した.鳴海は大阪府や岡山県に加えて,米国ロサンゼルスを対象として,暑熱対策の導入による気温変化をWRFモデルにより評価した上で,気温変化に伴う間接的なエネルギー消費量の変化をエネルギー消費に関する気温感応度を用いて評価するとともに,直接的なエネルギー消費量の変化をEnergyPlusにより評価した.その結果から,対策導入による費用対効果の地域特性を明らかとした.また,暑熱に対する脆弱性の高さが予想される木造住宅密集エリア(横浜市西戸部町および岡山市寿町)を対象として,建築(建物外皮や開口,建築設備)に関わる対策導入による暑熱リスク軽減効果をScienceVentモデルにより評価した.浅輪は気候特性や社会的背景の異なる日本,フランス,インドネシアの三か国を対象に計画的行動理論に基づいたWEBアンケートを実施し,住民の自宅での暑熱緩和手法の導入意思に影響を及ぼす要因を明らかにし,各地域での住宅スケールでの暑熱緩和手法の導入・促進の方策に関する知見を得た.井原は拡散反射に加えて,鏡面反射や再帰反射を考慮できるCM-BEMモデルを開発し,東京を対象に暑熱対策の導入による夏季の温熱環境変化と年間エネルギー消費量の変化を評価した.また,川崎の住民に対して社会調査を実施し,暑さ対策の実施状況に関する知見を得た.川久保は省エネ地域区分の異なる5都市(札幌,青森,仙台,東京,鹿児島)の住民に対してWEBアンケート調査を実施した結果,居住地域の都市環境や住まいの住環境が良いほど,熱中症やそれに類する症状の経験率が低いことを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界各国を対象とした暑熱ガイドラインの現状調査に関しては,2020年から3年を超えるCOVID-19の世界的なパンデミックにより各構成員が連携,協力関係にある研究機関とのコミュニケーションが滞り,十分な調査を行なうことができない状況が続いた.今年度はようやく各構成員の所属機関においても海外渡航が可能となり,徐々にではあるが,研究交流を再開している状況である.そのような状況下で本年度は北米やオーストラリアとの連携を図ることができた.次年度は引き続きこの輪をさらに拡大し,当初想定していたマレーシアやインドなどとも連携関係を再構築していきたいと考えている.以上の理由から「やや遅れている」と評価される. 暑熱リスク対策の導入効果の事例評価に関しては,種々の暑熱リスク対策の導入により期待される効果について,屋外や室内環境の快適性のみならず,エネルギー消費量や健康面への影響から得られる便益を評価することが本研究の大きな特徴の一つであるが,米国や日本の各都市を対象としてUHI対策の導入による気温変化がエネルギー消費量や人間健康に与える影響を評価するなど,多くの成果が得られていることから,「当初の計画以上に順調に進展している」と評価される. 以上を総合して,現在までの進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も本年度に引き続き,当初計画に従って,各構成員が暑熱リスク対策の導入効果を事例的に評価する.Step1として,暑熱環境の緩和策を導入しない場合の暑熱リスク(エネルギー消費および人間健康)の発生状況を見積もり,将来において軽減すべき暑熱リスクを絞り込むことで,具体的な対策目標を決定する(鳴海と井原が担当).このStepでは将来の気象変化に加えて,社会経済的要因として高齢者や経済的弱者などの増加が暑熱リスクを高める影響も検討する.Step2として,各種の暑熱リスク対策(緩和策と適応策)の導入による暑熱環境の改善効果を評価する.主に,建築(建物外皮や開口,建築設備)に関わる対策については鳴海が,屋外構成要素(地面被覆や樹木,街区形態)に関わる対策は浅輪が評価する.評価にはすでに実績のある独自のシミュレーションモデルを使用する.Step3として,得られたシミュレーション結果を基に,各種の暑熱リスク対策の導入により対象街区で得られる暑熱リスク(エネルギー消費および人間健康)の改善効果を定量化する(鳴海と井原が担当).川久保と浅輪は主に一般市民を対象とした暑熱リスク軽減策に関するアンケート調査を実施し,軽減策の導入状況や将来的なリスク変動に対する意識などを把握し,シナリオ設計の際の参考情報として活用する. 以上のプロセスで得られた成果に基づき,種々の暑熱リスク対策の導入により期待される効果について,屋外や室内環境の快適性のみならず,エネルギー消費量や健康面への影響から得られる便益に基づいて評価を試みるとともに,地域特性に応じた適切な対策導入を誘導するためのガイドラインを執筆するための知見集約や各構成員との議論を開始する予定である.
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