Project/Area Number |
23K22956
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Project/Area Number (Other) |
22H01687 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 24010:Aerospace engineering-related
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
菊地 翔太 国立天文台, RISE月惑星探査プロジェクト, 助教 (90830068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三桝 裕也 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究開発員 (90611707)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
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Keywords | 小惑星探査 / 高速自転天体 / 軌道力学 / 重力場 / 制御 / 高速自転小惑星 / 画像航法 / プラネタリーディフェンス / 天体力学 |
Outline of Research at the Start |
はやぶさ2により新たな可能性が拓かれた小惑星探査において、次の目標として注目されているのが、未踏の高速自転小惑星である。高速自転小惑星は、直径100 m以下・自転周期2 hr以下という極端な性質をもつため、近傍では複雑な力学環境が形成される。したがって、探査機の軌道は強く乱れ、従来の力学理論や実証技術を直接適用できない。本研究では「軌道設計で乱れを避ける」「航法誘導で乱れを修正する」という2つのアプローチで、この課題解決に挑む。また、その応用例として、2031年に高速自転小惑星1998 KY26を探査する「はやぶさ2延長計画」での技術実証を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
高速自転小惑星近傍での探査機の軌道力学と自律航法の基礎研究を行い、高速自転小惑星1998 KY26を探査する予定の「はやぶさ2拡張ミッション」への応用可能性について解析を進めた。 前年度に行った、高速自転小惑星近傍における特異な軌道運動のモデル化および「はやぶさ2」拡張ミッションへの応用に関して、2023年度は技術的内容を詳細化し、その成果を査読付きの国際学術誌で発表した。また、はやぶさ2に搭載されている人工マーカーを高速自転小惑星探査に活用する方法について研究を進めた。特に、数十メートル級の微小な小惑星では従来方式の重力推定では精度が限定的であるが、人工マーカーを投下することでその推定精度が向上することを明らかにした。さらに、はやぶさ2拡張ミッションにおいて、目標小惑星にイオンエンジンのプルームを当てることで、検出可能なレベルで小惑星軌道を変化させうることを見出した。 このような小惑星軌道変更を含めて、高速自転小惑星近傍での高度な運用の実現には、画像ベースの地形追跡による自律航法が不可欠である。そこで、2022年度の研究成果をもとに、小惑星リュウグウの実画像を用いて、自律地形照合機能の拡張性に関する研究を実施した。実機に適した、より高度でロバストな地形照合アルゴリズムの可能性を模索するため、現存する画像照合アルゴリズムのうち、ORB(Oriented FAST and Rotated BRIEF)、 BRISK(Binary Robust Invariant Scalable Keypoints)などといった、計算処理が比較的軽めのものを選択し、照合機能の性能評価を実施し得失を整理した。得られた結果から、最も性能および搭載実現性のあるアルゴリズムを選出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
軌道力学の研究に関しては、高速自転小惑星の特異な力学環境での軌道運動を特徴づけ、はやぶさ2拡張ミッションの小惑星近傍運用の基礎計画を立案することが目標であった。2023年度には、これらの研究成果を査読付き論文にて発表しており、計画通りの成果を創出できている。また、当初は最終年度の2024年度に行う予定だった、小惑星軌道変更の実現性に関する研究については2023年度に前倒しで実施することができた。自律航法の研究に関しては、はやぶさ2が取得したリュウグウの実画像を用いて、複数の画像処理アルゴリズムを検証した。本項目についても、今年度予定していた研究内容を概ね遂行することができた。以上より、研究の進捗状況は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、はやぶさ2が探査予定の高速自転小惑星1998 KY26近傍における、人工マーカーや弾丸により放出される小惑星粒子の軌道運動の解析に着手した。この解析をさらに進め、高速自転小惑星の特異な力学環境における、人工マーカーや小惑星粒子の撮像に最適な探査機軌道の設計法を確立し、実運用に資することを目標とする。また、人工マーカーの軌道決定に基づく小惑星重力場の推定や、小惑星粒子の軌道決定を利用した小惑星表面強度の推定など、はやぶさ2拡張ミッションの科学的価値を最大化するための研究を行う。さらに、これまでの研究で確立した微小重力下での軌道運動の理論を拡張して、太陽輻射圧と小惑星重力場の効果を活用した新たな制御理論の構築を目指す。この制御則を利用して、微小重力天体における推進剤フリーでの探査機の軌道姿勢安定化の実現性を探求する。 また、高速自転小惑星での高度な探査を実現するため、2023年度に引き続き、探査機が取得した画像に基づく地形追跡による自律航法の研究を進める。これまでの研究で、将来的にはやぶさ2に搭載できる可能性のある地形照合画像処理アルゴリズムについて、実際の小惑星リュウグウの実画像に対して複数のものを比較し評価した。この評価結果を基に搭載実現性が高そうなアルゴリズムのオンボードへの搭載に向けた改善点を洗い出し、2024年度には搭載の実現に向けた研究を進める。同時に、同アルゴリズムを用いた形状モデルと実画像とのマッチング性能についても研究を深め、よりロバストかつ高精度な航法スキームの開発に取り組む。 2024年度は最終年度に当たるため、学会や投稿論文での発表を通じて研究成果をまとめる予定である。
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