自動運転に向けた解剖学を考慮した人体のシートベルト拘束方法に関する研究
Project/Area Number |
23K22996
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Project/Area Number (Other) |
22H01728 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 25020:Safety engineering-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水野 幸治 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (80335075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 良知 独立行政法人自動車技術総合機構交通安全環境研究所, その他部局等, 主席研究員 (40554366)
細川 成之 独立行政法人自動車技術総合機構交通安全環境研究所, その他部局等, 主席研究員 (50419115)
一杉 正仁 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90328352)
趙 雨晴 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20971873)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥13,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000、Indirect Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | 安全工学 / 自動車工学 / バイオメカニクス / 乗員保護 / シートベルト / 交通安全 / サブマリン |
Outline of Research at the Start |
自動車衝突時にラップベルトは常に乗員の骨盤前縁に係合し続けていなければならない.ラップベルトが骨盤から外れると(サブマリン),ベルトが腹部に侵入し,重篤な傷害をもたらす.将来の自動運転における自由な着座姿勢も考えると,衝突においてサブマリンの防止は乗員保護における重要な課題である. 本研究では,被験者の立位CTからベルトと骨盤の位置関係を求め,さらに,実車での着座姿勢,ベルトの位置を調べる.さらに,CT画像を基に人体有限要素モデルを構築する.これにより,ラップベルトが骨盤を拘束するメカニズムを明確化し,男女別,腹部形状,着座姿勢およびベルト経路を考慮した,サブマリン防止方法を確立する.
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Outline of Annual Research Achievements |
自動車衝突時にラップベルトは常に乗員の骨盤前縁に係合し続けていなければならない.ラップベルトが骨盤の上前腸骨棘(ASIS)から外れると(サブマリン),ベルトが腹部に侵入し,重篤な傷害をもたらす.衝突事故では特に後席においてサブマリンの発生がしばしば見られ,この防止は乗員保護における重要な課題である.本研究の目的は「ラップベルトが骨盤を拘束するメカニズムを明確化し,男女別,腹部形状,着座姿勢およびベルト経路を考慮した,サブマリン防止方法を確立する」ことにある. 本年度は3次元身体計測データをもとに,有限要素モデルを作成し,このモデルを用いて,様々な姿勢におけるサブマリン発生リスクを検討した.さらにダミーを用いた実験により,サブマリン発生状況を調べた. 様々な姿勢における4つの体格の人体有限要素モデル(男性低BMI,標準BMI,高BMI,小柄女性)の動的シミュレーションから,サブマリンの発生に対して,モデルや姿勢を横断する変数として「ラップベルトと骨盤のなす角」,「ラップベルトと骨盤のオーバーラップ」,「衝撃時の骨盤の後方回転角」の3つが有意に影響を及ぼすことを特定した.これらの変数の時系列分析から,ラップベルトが骨盤前縁と係合してから,骨盤が回転し,骨盤軟部組織のせん断変形を伴いながら,ラップベルトが骨盤前縁を滑り出すというサブマリン発生メカニズムを明らかにした.今後,サブマリン発生防止のための方策についても検討していく予定である. 研究成果について,日本語論文1件,国際会議1件,講演会3件の発表を行った.自動車技術会の講演発表については,学術講演会優秀講演賞を受賞した.来年度は,英語による論文投稿を行っていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は身体計測,有限要素モデル作成,シミュレーション,実験からなっている.現在までの実施状況を下記に示す. (1) 立位型CT装置を用いた被験者によるラップベルト着用状態での3次元CTデータをもとに,身体計測,着座姿勢,骨盤に対するベルトの位置等を調べた. (2) このデータを参照して,モーフィングにより人体有限要素モデルTHUMSの軟組織を修正し,低BMI,高BMIの男性人体有限要素モデルを作成した. (3) 3つの着座姿勢(標準,リクライニング,スローチング)による4種類の人体有限要素モデル(男性低BMI,標準BMI,高BMI,小柄女性)の動的シミュレーションを実施した.低BMI,リクライニング,スローチング姿勢ではサブマリンが発生しやすいことが明確となった. (4) ダミー(前席,後席,リクライニング姿勢,スローチング姿勢)によるスレッド(台車)実験を行った.小柄女性ダミーでは前席リクライニング,後席スローチング姿勢でサブマリンが発生した.男性ダミーではいずれの条件でもサブマリンが発生しなかった. 今年度はサブマリン発生メカニズムの解明に主眼を置いた.発生メカニズムはほぼ明らかになりつつあり,計画よりも順調に研究を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,実際の乗員のラップベルトの骨盤上の位置,およびサブマリンリスクの状況を把握するため,下記のように研究を進めていく予定である. 1.事故分析を行い,ラップベルトによる腹部傷害の現状を調べる. 2.現在の人体有限要素モデルは体幹と大腿部まわりを中心にモーフィングしている.さらに,上肢や下腿などのモーフィングも行い,有限要素モデルの精度を向上させる.サブマリンの発生に影響を及ぼす変数として,「ラップベルトと骨盤のなす角」,「ラップベルトと骨盤のオーバーラップ」,「衝撃時の骨盤の後方回転角」の3つを特定したが,さらに,これらの変数のサブマリン発生に対する閾値ないしは発生確率を求める.ベルトアンカー位置,ベルトデバイス,エアバッグ,シート座面形状を変えてシミュレーションを実施し,サブマリン防止のための設計指針を得る. 3.実際の乗車時にはラップベルトが人体の骨盤に装着され続けているとは限らない.乗員は様々な乗車姿勢を取るとともに,ラップベルトには巻き込みのためのベルト張力が加わり続けるので,骨盤に対するベルトの位置は動的に変化しうる.ベルトの装着位置の時間推移を調べるため,被験者の目的地までの乗車において,ベルトと骨盤の位置関係の時間変化を計測する.被験者の性別,年齢,体格,およびベルト装着位置の指導の有無で比較して,統計分析を行う.
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)