堆積物の放射能・磁性・物性による豪雨・地震・火山活動に伴う土砂災害史復元法の開発
Project/Area Number |
23K23006
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Project/Area Number (Other) |
22H01738 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 25030:Disaster prevention engineering-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
落合 伸也 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (10401936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏谷 健二 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 連携研究員 (30161029)
酒井 英男 富山大学, 理学部, 客員教授 (30134993)
福士 圭介 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (90444207)
卜部 厚志 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 教授 (20281173)
石丸 聡 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 エネルギー・環境・地質研究所, 部長 (50446366)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,890,000 (Direct Cost: ¥5,300,000、Indirect Cost: ¥1,590,000)
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Keywords | 土砂災害史 / 堆積物 / 放射性核種 / 磁化特性 / 物理特性 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、堆積物中に含まれる大気由来放射性核種Pb-210と磁化特性・物理特性を用いた、発生要因を判別可能な土砂流出イベント層の検出法の確立、および観測時代以前の土砂災害履歴の復元を行うことである。北陸地域および北海道胆振地域の湖沼等の堆積物コアに刻まれたPb-210濃度・磁化特性・物理特性の変動から検出した土砂流出イベント層を豪雨記録、地震記録、火山活動史等と対照させ、これらが土砂流出イベント記録を反映しているかを検証する。その上で、より古い時代の堆積物コアを用いて観測時代以前の豪雨や地震、火山による土砂災害履歴の復元を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は北海道胆振地域および北陸地域の湖沼・内湾を対象とし、堆積物中に含まれる大気由来放射性核種Pb-210と磁化特性・物理特性を用いた、発生要因を判別可能な土砂流出イベント層の検出法の確立、および観測時代以前の土砂災害履歴の復元を行うことである。2023年度においては、富山県立山地域の泥鰌池および北海道のポロト湖、オコタンペ湖、半月湖を対象とした調査を実施した。 2023年8月に泥鰌池において、池形成時の基盤(1858年の飛越地震に伴う崩落土層)までの掘削を目指し、長尺堆積物コアの採取を行った。採取された堆積物コアの帯磁率、粒径の鉛直分布には3つの変動層がみられ、これらは磁性鉱物・粗粒粒子の急激な流入を伴うイベント層と推定された。コア最下部は約120年前と推定され、基盤までは到達しなかったものの、泥鰌池ではこの間に少なくとも3回の土砂流入イベントがあったことが示唆された。 また、2023年11月に北海道千歳市のオコタンペ湖、倶知安町の半月湖において表層堆積物コアを採取した。これらのコアのCT画像による堆積構造観察の結果、オコタンペ湖においては複数のイベント層がみとめられた。これらのイベント層は2014年9月の豪雨による洪水、または2018年の北海道胆振東部地震による湖底斜面崩壊による混濁流が形成したタービダイトの可能性が考えられた。 さらに、2024年2月に北海道白老町のポロト湖において、昨年度に引き続き、長尺コアの追加採取を行った。2022年度では暖冬により氷厚が想定より薄く、機器掘削ではなく手動掘削に変更した結果、湖底下約1.3mまでの掘削に留まったが、今年度は掘削手法の改良により、湖底下8mまでの堆積物を採取することができた。 今後、これらのコアの年代測定を進めるとともに、Pb-210、磁化・物理特性等の分析を進め、観測時代以前の土砂災害履歴の復元を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度においては、北陸地域の湖沼(泥鰌池)において夏季に長尺堆積物コアの採取を行い、北海道胆振地域の湖沼においては、昨年度に引き続き、ポロト湖において冬季に長尺コアの追加採取を行うとともに、夏季に周辺地域の湖沼(オコタンペ湖、半月湖)において表層堆積物コアの採取を行うことを計画していた。 泥鰌池においては、採取目標であった泥鰌池の形成時期とされる1858年飛越地震の際に発生した山体崩壊による崩落土層までは到達しなかったものの、コア最下部は約120年前と推定され、この間に少なくとも3回の土砂流入イベント層が推定された。 北海道のオコタンペ湖、半月湖においては、ほぼ計画通りに表層堆積物コアを採取することができた。特にオコタンペ湖においては採取されたコアのCT画像による堆積構造観察の結果、複数の明瞭なイベント層がみとめられ、本課題の目的である土砂流出イベント層の検出法の確立に適した堆積物が得られた。 また、2024年2月に北海道白老町に位置するポロト湖において、昨年度に引き続き、長尺コアの追加採取を行った。これは2022年度では暖冬により氷厚が想定より薄く、堆積層中の火山灰層を貫通が容易な機器掘削ではなく手動掘削に変更した結果、湖底下約1.3mまでの掘削に留まったため、追加で実施したものである。今年度は掘削手法の改良により、湖底下8mまでの堆積物を採取することができた。 現在、これらの堆積物コアの年代測定、Pb-210、磁化・物理特性等の分析を進めている段階であり、これらの結果は分担者との議論を行うとともに、一部について学会発表等を行った。以上のことより、研究は概ね順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実施状況をふまえて、2024年度においては、前年度までに採取された北陸地域および北海道胆振地域の湖沼堆積物コアの年代測定を進めるとともに、Pb-210、磁化・物理特性等の分析を引き続き実施し、土砂流出イベント層の検出法の確立、および観測時代以前の土砂災害履歴の復元を進める。 また、当初計画にはなかったが、2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震の影響を受けた能登半島の貯水池・内湾(七尾西湾、九十九湾等)、および立山地域の泥鰌池において追加的調査を行う。これらの調査地においては、本課題により地震前に堆積物コアを採取しており、地震前後の比較ができる可能性がある。地震による土砂流出イベントの復元も本課題の対象のひとつであり、重要なデータが得られる可能性がある。 また、北海道胆振地域の湖沼(ポロト湖・オコタンペ湖等)においては、必要に応じて表層堆積物コア採取および流域調査を行う。 当初2022年度に予定されていたポロト湖での長尺コアの採取が2023年度に遅れたことにより、それらの試料の分析を速やかに進めることができるように、分析体制の効率化を図る。得られた結果については、分担者との議論を行うとともに、学会および投稿論文として発表を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)