Project/Area Number |
23K23063
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Project/Area Number (Other) |
22H01795 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26030:Composite materials and interfaces-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
春藤 淳臣 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40585915)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | ネットワーク / ガラス / 応力集中 / 高分子 / ひずみ分布 / クラック進展 / 破壊 / デフォーカスイメージング / 応力分布 / 蛍光プローブ / 界面濃縮 / シリカ |
Outline of Research at the Start |
本研究では、(1) フィラー界面の存在が硬化過程における不均一性に及ぼす影響、(2) 不均一性の時空間スケールが変形させた際の応力分布に及ぼす影響、(3) 応力分布が巨視的な靭性・破壊挙動に及ぼす影響を明らかにし、塑性力学が精密に制御された熱硬化性コンポジットの設計原・指針を創出することを目的とした。そのアプローチとして、量子ドットをプローブとしたナノ物性マッピング解析に基づく様々な時空間スケールにおける不均一性の可視化、および変形時における応力分布の可視化を提案した。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナノ物性マッピング解析に基づき、熱硬化性コンポジットのフィラー界面の存在が不均一性、ひいては応力分布、靭性や破壊挙動に与える影響を明らかにすることを目的とした。令和5年度に実施した具体的な項目と主な研究成果を以下にまとめる。
(1)階層的な不均一性の発現機構を理解するため、硬化過程におけるエポキシとアミンの反応過程を赤外分光測定および粗視化分子動力学計算に基づき評価した。その結果、プレ硬化温度が高いほど、最終的なネットワーク構造は空間的に不均一であることが確認された。これは、(i)エポキシ基とアミノ基の反応熱によってその周囲の反応が加速され、架橋ドメインが生成すること、ならびに、(i)未反応性基をもつ分子が架橋ドメイン内部に拡散する前に反応し、ドメイン内に孤立した小さなフラグメントやナノスケールの空隙が残留することに起因することが明らかになった。
(2)プレ硬化温度、ひいては不均一性を制御したエポキシ硬化物の破壊挙動について検討した。エポキシ硬化物が不均一なほど、その破断ひずみ・破断エネルギーが大きいことが確認された。ノッチを予め入れた試料を伸長させ、ノッチ先端からのクラックの発生・進展挙動を電子顕微鏡観察したところ、系が不均一なほど、クラックが容易に発生・進展することが明らかになった。また、ノッチ近傍における局所領域における変形をマイクロビーム広角X線散乱測定に基づき評価した。その結果、エポキシ硬化物が不均一なほど、ノッチ近傍でのネットワーク構造の変形が大きく、変形が広範囲に及んでいることが明らかになった。現在、シリカ含有エポキシ硬化物について、(1)および(2)に関する実験・計算を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実施項目として、初年度に (1) 測定装置のセットアップとその検証、(2) 試料の変形過程における不均一性の解析、また、次年度以降に、(3) 変形過程における応力分布の可視化、(4) 靭性と破壊挙動の解析、(5) 不均一性、応力分布と靭性・破壊挙動の相関解析を設定した。
当初の計画に従って、令和5 年度は実施項目(3) ならびに (4) に関する実験を行い、不均一性の異なるエポキシ硬化物を伸長し、ひずみ (応力) の空間分布、および破壊エネルギーやクラック進展挙動の相関を解析した。また、実験と計算の併用によって、不均一性の発現とその制御に関する理解を深化した。現在、エポキシとアミンの化学量論比、およびシリカの添加がエポキシ硬化物の力学物性や破壊挙動に及ぼす影響を検討中である。
研究成果は学術論文や国内外の学会にて発表済みである。また、これまでの成果を含むPerspective論文 (JACS Au) は年間のMost Read Paperに選出された。以上の理由により、おおむね順調に研究が進展したと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、硬化温度やフィラーの条件を変えて得た熱硬化性コンポジットの力学物性や破壊挙動を検討し、不均一性や応力(ひずみ)分布との関係を明らかにする。とくに、変形過程におけるシェアバンドやクラック・ボイドの発生・発展も検討する。また、クリープ破壊試験に温度時間換算則を適用し、フィラー界面、ひいては不均一性、応力分布が寿命に及ぼす影響を明らかにする。得られた知見の統一的な解釈にも注力し、塑性力学制御を可能とする材料設計指針の創出を目指す。
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