Project/Area Number |
23K23143
|
Project/Area Number (Other) |
22H01875 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 27040:Biofunction and bioprocess engineering-related
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山田 真澄 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (30546784)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
|
Keywords | マイクロ流体デバイス / 細胞分離 / 生物化学工学 / セルソーティング / リキッドバイオプシー / 流体制御 / 微細加工 |
Outline of Research at the Start |
複雑な細胞集団から,目的の細胞を正確かつ効率的に分離・精製するために,「高密度かつ3次元的に微細孔を形成した多孔性基材を統合したマイクロ流体デバイス」という新規装置を開発する。具体的には,細胞と同程度の3次元的な微細孔を接続したマイクロ流路構造を形成する新しい手法を提案し,細胞をサイズ・表面マーカー・接着性などによって分離する。そして,血中の疾患マーカー細胞や移植医療用の幹細胞の分離を実証し,その機能解析および医療応用の可能性を検証する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度に当たる2022年度は,複数のパラメーターに基づいて細胞を分離選抜するために,数種類の新規デバイスを提案・作製し,さらに実証実験を行った。それらの具体例と進捗は以下のとおりである。(1)微細孔を高密度に形成した基材を統合したマイクロ流体デバイスの作製手法の確立:多孔性基材として,溶解可能な単分散微粒子を犠牲材料として用いる逆コロイド結晶型シリコーン基材を作製し流路構造に組み込んだ。犠牲粒子として,サイズの異なる球形の非架橋PMMA粒子,CaCO3粒子などを評価したところ,直径5ミクロン程度のPMMA粒子を用いた場合に,血球分離に適用可能な多孔性基材を形成できることが示された。格子状流路構造と統合して血球細胞の分離を実現しうることが示された。なお,微小液滴形成などの想定外の応用も実証できた。(2)微細加工フィルムによって形成した流路構造を用いた細胞の免疫分離:ポリマー基材に微小な凹凸を形成した樹脂フィルムを利用し,表面に抗体を固定化することで,特定の希少細胞の分離選抜を可能とするシステム開発を行った。血液サンプルにスパイクしたがん細胞モデルの選択的分離が可能であることを示した。(3)多孔性フィルム統合型流路を用いた細胞の分離:細孔を形成したフィルムを流路に組み込んだ新規分離システムを提案し,サイズおよび変形能による細胞分離を目指し,血球細胞の分離を行った。(4)高速サイズ分離を可能とする並列化流路構造:水力学的濾過法の原理に基づいて細胞を分離選抜する流路構造を並列化し,特に間葉系幹細胞のサイズ分離への適用を目指した。これらのデバイスの多くにおいては,流路構造の設計および作製法をある程度確立することができたたが,まだ分離性能としては不十分なものも多いため,今後はそれらの精度向上を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的としていた細胞分離用デバイスについては,ほぼ計画通りに数種類の新規システムを提案し,その作製方法をある程度確立することができた。これまでにも開発を行ってきたサイズ分離を行う多孔性基材統合型流路,あるいは分岐を有する水力学的分離流路については,幹細胞の分離に関するデータが得られつつある。さらに,抗体を用いて分離する微細加工フィルム統合型流路や,サイズに加えて変形能によって分離を行う新規流路構造などについては,特に血液細胞を主とした実験によって,その有用性を示す初期のデータを得ることができた。以上の結果から,1年目の研究成果としてはほぼ想定通りの進捗が得られたものと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の2年目にあたる2023年度は,初年度に引き続き,各種パラメーターに基づく分離システムの開発を行いながら,その分離メカニズムの解明および分離効率の向上を目指した展開を行う。多孔性基材統合型デバイスについては,特に,細胞懸濁液からのシース液生成効率の向上を実現するための流路構造の最適化を目指し,2段階分離デバイスにおいて,当面は血球(白血球・赤血球)を用いた実験を継続する。また,微細加工フィルム等の基材を統合した流路構造においても,フィルムの形状や構造が分離効率に与える影響を評価する。微粒子トラッキング法(MicroPIV)を用いた流れの評価を行うとともに,場合によっては計算による流れの可視化の実現可能性を検討する。さらに,ワンステップでのマルチパラメーター分離を実証可能かどうかについても検討を行う。サイズを1つの要因として,表面抗原あるいは変形能を他の要因として細胞分離を行うデバイスを組み合わせることによって,複数のパラメーターを利用した精密な細胞分離の実現を目指す。さらにまた,可能であれば,細胞以外の対象として細胞外ベシクルのような疾患マーカー粒子の検出などへの応用についても取り組みたい。また,多孔性基材統合型流路構造については,細胞分離以外にも,細胞内分離の染色,微小液滴形成,細胞の灌流培養,などの応用可能性も探索する。
|