Project/Area Number |
23K23149
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Project/Area Number (Other) |
22H01881 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 27040:Biofunction and bioprocess engineering-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
二見 淳一郎 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 教授 (00420498)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | タンパク質工学 / 腫瘍免疫学 / バイオマーカー / 抗原性 / 個別化医療 / 機械学習 |
Outline of Research at the Start |
自己タンパク質に対する自己抗体群は、炎症やがん細胞排除の履歴と活動度を反映するバイオマーカーである。自己抗体の種類は多様なので、網羅性と定量性を兼ね備えた測定系が必要である。また、無数の自己タンパク質の中から特定の自己抗原が選択される理由を知ることも重要な課題である。本研究では (1)自己抗原の物性から自己抗体が誘導される分子機構の解明、(2)自己抗体プロファイルから疾患を識別し、患者を層別化する技術の開発、(3)自己抗体変動モニタリングと臨床的意義の解明に取り組む。以上の研究により自己抗体バイオマーカーを個別化医療に利用する技術開発を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
自己抗体を網羅的に定量評価できるMUSCAT-assayシステムのプラットフォームを活用して、健常人群と非小細胞肺がん群の血漿中に含まれる自己抗体プロファイルを作成し、両者の識別性能を検証した。非小細胞肺がんで有意に高値となる自己抗体のtop10を用いた両者の識別能はAUC:0.878であった。この解析に機械学習法を採用してrandom forest法とcross-validation法を組合わせ識別精度を評価した結果AUC:0.982に大幅に改善できることを確認した。この結果から末梢血中の自己抗体群はがん免疫応答と強く相関するバイオマーカーであること、MUSCAT-assayを用いて得られる網羅的な自己抗体プロファイルデータの精度は臨床現場で活用可能なスペックを備えていることが確認された。 現在MUSCAT-assayプラットフォームに搭載されている自己抗原は、cancer-testis antigensとtumor associated antigensを中心とした120抗原以上を搭載したアレイを整備中である。自己抗体バイオマーカーによる診断精度を向上させるためには臨床検体中に含まれる自己抗体から新規に自己抗原を探索してパネルを強化することも重要である。このスクリーニングを加速するため、肺がん由来細胞株の総タンパク質を疎水性度別に分離して、SDS-PAGEのミニゲル上で再現性良く2次元分離する技術を開発した。このシステムの完成により多検体から自己抗体スクリーニングを効率的に実施することが可能になり、これまで30種類以上の自己抗体を同定することに成功した。これらの自己抗原を順次パネルに追加して、診断精度を向上させる作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己抗体の網羅的定量測定系が確立し、機械学習を取り入れることで診断性能も向上できることが確認でき、臨床検体を用いた観察研究が推進できる体制が整った。自己抗体パネルの最適化を進めるプロテオミクス技術と組み合わせることで、さらにシステムを改善できる状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
肺がん検体を用いてMUSCAT-assayプラットフォームで取得される自己抗体プロファイルを機械学習法で解析すると、がんと非がんを高精度に識別できることが確認された。この成果に基づき、今後は多様な臨床検体を用いて、適用範囲を拡大するとともに、プロテオミクス技術と組み合わせて自己抗体測定パネルの改善作業も進める。具体的には、下記の3項目に取り組む。 【実施項目1】疾患別の自己抗体プロファイル解析:120種類の自己抗体を定量評価するシステムをプロトタイプとして、様々ながん種と自己 免疫疾患由来の臨床検体を測定する。取得された自己抗体プロファイルデータを機械学習法により分類して、がん・自己免疫疾患の診断精度を検証する。複数のがん種の検体を測定して、がんの早期発見やがん種の特定の可能性も含めて検証を行う。 【実施項目2】自己抗体変動モニタリング解析:がん免疫治療の臨床経過と自己抗体の変動モニタリングから、治療前または治療開始初期での治療効果を予測する手法開発に取り組む。現時点で80%程度の診断精度は達成しているが、90%以上を数値目標として、多角的な解析を行う。 【実施項目3】自己抗原性と凝集性の相関解析:自己抗体スクリーニングを効率化する血清プロテオミクス技術を活用して、様々ながん ・自己免疫疾患の臨床検体中の自己抗体の探索作業に展開し、疾患と相関する自己抗原を拡張する。また、各自己抗原の物性面から抗原性を推定・解析する手法の開発に取り組む。
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