Project/Area Number |
23K23154
|
Project/Area Number (Other) |
22H01886 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 28010:Nanometer-scale chemistry-related
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高岡 毅 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (90261479)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
|
Keywords | ナノ構造 / 電界効果トランジスター / 電子状態 / 光吸収 / 二硫化モリブデン / 電界効果トランジスタ / 遷移金属ダイカルコゲナイド / 銅フタロシアニン / 銅ナフタロシアニン / 分子センサー / フォトカレント / 二流化モリブデン / ドレイン電流 |
Outline of Research at the Start |
単層でもバンドギャップを有する二硫化モリブデン(MoS2)は、究極の薄さをもった半導体デバイスとしての可能性を秘めている。数ある応用分野の中でもFETのチャンネルとして利用すると、表面/体積比が非常に大きいために表面への分子の吸着が原子層自体の性質に影響するので、 非常に感度の高いセンサーとしての利用が期待される。しかし、これまでに様々な分子に対して実験が行われてきたが、分子種を特定するには至らなかった。そこで、本研究において、新たに、単色化した光を照射したときに観測される光応答電流を測定し、入射光の波長と光応答電流強度の関係から分子種を特定することを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
単層でもバンドギャップを有する遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)は、究極の薄さをもった半導体デバイスとして無限の可能性を秘めている。数ある応用分野の中でもFET(電界効果トランジスタ)のチャンネル部分として利用すると、表面/体積比が非常に大きいために表面への分子の吸着が原子層自体の性質に大きく影響するので、非常に感度の高いセンサーとしての利用が期待され、これまでにセンシングの報告がなされてきた。そして、分子がTMDC表面に吸着することによって電気信号(電流)が変化し、分子検出感度も高いことがわかってきた。そこで、新たに、単色化した光を照射したときに観測される光応答電流を測定することを目指して実験を行なった。分子吸着によってTMDCチャンネルに流れるドレイン電流(Id)が変化することが観測される。しかし、その変化からは、分子吸着によってIdが増加すればそれは分子がTMDCに対してドナーとしての性質を持つ、Idが減少すればアクセプターとしての性質を持つ、ことがわかるのだが、分子種の特定は難しい。そこで、分子を吸着させたTMDC-FET表面に光を照射したときに検出されるドレイン電流の増加(ΔIphoto)を測定することによって分子を特定する。このΔIphotoを検出するためには、照射した光によって励起されて生成した正孔もしくは電子がチャンネルの価電子帯、もしくは伝導帯に流れ込む必要がある。現在のところ、TMDCの中でも非常に大気中で安定であることが知られている二流化モリブデン(MoS2)をチャンネル部分とした試料を作成し、その表面に銅ナフタロシアニン(CuNPc)を吸着させた時のΔIphotoの観測を試みた。昨年行った銅フタロシアニン(CuPc)の結果と比べてはっきりとした差が見られたことから、分子による違いを検出することが出来たと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、単色化した光を照射したときに観測される光応答電流を測定することを目指して実験を進めることができた。これまでに分子を吸着させたMoS2-FET表面に光を照射したときに検出されるドレイン電流の増加(ΔIphoto)を測定することによって分子を特定してきたが、このΔIphotoを検出するためには、照射した光によって励起されて生成した正孔もしくは電子がチャンネルの価電子帯、もしくは伝導帯に流れ込む必要がある。現在使用しているMoS2数層からなる薄膜のバンドギャップは1.8eV程度のエネルギーを持っており、このバンドギャップを超えるためには690nm程度よりも短波長の光を照射する必要がある。しかし、検出を試みようとしている多くの有機分子が持つ最高占有分子軌道(HOMO)と最低非占有分子軌道(LUMO)のエネルギー差は700nm以上の高い波長を持っている。今回、このHOMO-LUMOギャップが800nm(1.5eV)程度である銅ナフタロシアニン分子を用いて、700nm以上の大きな波長を持つ光を照射した時のΔIphotoを検出できるかを調べた。その結果、予想通り、非常に大きな波長の光に対してΔIphotoを検出することができた。この結果は、昨年の実験を行った銅フタロシアニンと異なって結果であり、分子種特定を行うことが可能であることを示唆する結果を得ることができた。このように、大きく研究を進めることができ、概ね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、MoS2-FETを光の照射と組み合わせることにより、分子の電子状態を検出し、分子特定センサーとして利用することを行う。そのために、MoS2-FET表面に分子を吸着させたのちに、表面への入射光のエネルギーを掃引しながら、ドレイン電流(ID)を測定し、検出に必要な光のエネルギーの最小値(EPhoto,TH)を求める。様々な分子に対するEPhoto,THを求め、EPhoto,THの値からの分子特定を検討する。分子のHOMOがギャップ内にあり、CBMよりEmだけ高いエネルギーを持つ場合、エネルギー(Eg - Em)をもった光の照射によって分子のHOMOからMoS2の伝導帯への電子励起を引き起こすことができる。また、分子のLUMOがギャップ内にある場合も同様である。したがってMoS2のギャップ内にHOMOやLUMOが存在する分子が本研究の方法で検出できる候補となる。前述の通り、小さなHOMO-LUMOギャップを持つ銅ナフタロシアニン分子を用いた実験に成功したために、分子種特定を行うことが可能であることを示唆する結果を得ることができた。今回の結果を受けて、今後は、さらに多くの分子についての実験を行い、さらに分子種特定の実験が期待される。テトラチアフルバレン(TTF), BV(ベンジルビオロゲン), 一酸化窒素(NO), 二酸化窒素(NO2), コバルトフタロシアニン(CoPc2), テトラシアノエチレン(TCNE)などの分子は全てMoS2-FETのバンドギャップ内にHOMO、LUMOが位置すると予想され、これらのの分子を吸着させた時に、フォトカレントを検出できることが見込まれる。今後は、さらに多くの分子が検出できるよう、実験を進めていきたいと考えている。
|