Project/Area Number |
23K23163
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Project/Area Number (Other) |
22H01895 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 28010:Nanometer-scale chemistry-related
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
平野 篤 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (90613547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀田 倫史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (40415774)
白木 賢太郎 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90334797)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
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Keywords | タンパク質 / ナノ粒子 / タンパク質コロナ / 酸化還元 / 分子動力学計算 |
Outline of Research at the Start |
カーボンナノチューブによるタンパク質への酸化ストレスは、微量の遷移金属の存在によって強まる。これがあらゆるナノ粒子で普遍的に成立する一般原理であることを証明できれば、ナノ粒子の酸化ストレスに関する既存の考え方を大きく変えることとなる。本研究は、「ナノ粒子と遷移金属が協同的に引き起こす酸化ストレス機構」を実証し、ナノ粒子の安全性・有害性を分子レベルで正確に理解することが目的である。将来的には、本知見に基づき、ナノ粒子の安全性を劇的に高める革新的方法や、酸化作用を積極的に利用した殺菌技術など、ナノ粒子の新たな応用展開につなげていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブによるタンパク質への酸化ストレス機構はカーボンナノチューブの長さに依存する可能性がある。この可能性の検証には、カーボンナノチューブの最小構成単位であるカーボンナノベルトを用いた酸化ストレスの実験が有効である。実験を実行するためには、カーボンナノベルトを水溶液中に安定に溶解する必要がある。本年度は、カーボンナノベルトを水溶液中で扱うための溶解法を確立した。具体的には、直鎖のアルキル基を有する界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウムなど)を用いることでカーボンナノベルトを水溶液中に溶解できることを実証にした。一方で、平面性を有する界面活性剤(コール酸ナトリウムなど)はカーボンナノベルトを溶解しなかった。カーボンナノベルトの溶解は界面活性剤が臨界ミセル濃度以上で存在する時のみ観察されたことから、カーボンナノベルトの溶解にはミセルが不可欠である。分子動力学計算によって、カーボンナノベルトはミセル中の界面活性剤のアルキル基をベルト内部に貫入させることで安定に溶解することが示された。実際に、質量分析によって、カーボンナノベルト1分子が界面活性剤1分子と結合した状態(ホスト・ゲスト複合体)の信号が得られた。以上から、カーボンナノベルトは直鎖アルキル基を有する化合物との親和性が高いことが結論付けられた。これらの化合物を利用してカーボンナノベルトを溶解させることで、水溶液中におけるカーボンナノベルトの化学反応性を検証することが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、界面活性剤を用いてカーボンナノベルトの溶解性を評価し、特定の界面活性剤水溶液中でカーボンナノベルトが安定に溶解することを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
近年、欠陥を導入したカーボンナノチューブの応用研究が飛躍的に進んでいる。欠陥を導入したカーボンナノチューブには、本来と異なるエネルギー準位が形成されるため、周囲の分子との反応性が大きく変化する可能性がある。今後、当初の計画に加えて、欠陥導入したカーボンナノチューブと生体分子の酸化還元反応を調査することで、ナノカーボン材料ひいてはエネルギーギャップを有する種々の化合物の安全性の理解を深めていく予定である。
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