Project/Area Number |
23K23212
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Project/Area Number (Other) |
22H01944 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 29010:Applied physical properties-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
宍戸 寛明 大阪公立大学, 研究推進機構, 教授 (80549585)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥9,620,000 (Direct Cost: ¥7,400,000、Indirect Cost: ¥2,220,000)
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Keywords | キラリティ誘起スピン選択性 / 薄膜 / CrSi2 / スピンエレクトロニクス / スピン偏極 |
Outline of Research at the Start |
キラル分子,キラル結晶に電流を印可すると電子のスピンが偏極するキラリティ誘起スピン選択性(CISS)が近年報告され,盛んに研究されている.またキラル結晶においては室温無磁場下においてスピン偏極が電流を伴わず非局所的に長距離を伝搬する.本研究ではCISSが誘起するスピン偏極を基礎に置いた新奇な電子デバイスの実現可能性を検証する. キラルな結晶構造を持つ遷移金属ケイ化物膜を製膜し,微細加工により種々のデバイス構造を試作する.作製したデバイスを用いて非局所スピン偏極を用いた素子の実現可能性について検証する.またスピン偏極の伝搬速度等についても明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
CrSi2は空間群P6222もしくはP6422に属し,単軸性のキラルな結晶構造を持つ.申請者はSi基板上にCrを蒸着し,フォトリソグラフィーによる微細加工で矩形形状を作製した.このCr膜を高真空中で加熱し固相反応によりSi2の多結晶膜を得た. CrSi2膜上にAu端子を蒸着し,電流を印加するとキラリティ誘起スピン選択性(CISS)により伝導電子のスピンがキラリティに応じて偏極する.このときスピン依存した化学ポテンシャルには差が生じていると考えられる.CrSi2膜上にWもしくはPt薄膜を検出電極として蒸着するとCrSi2とW/Pt膜のスピンポテンシャルの差によりスピン流がW/Pt電極に吸い上げられ,逆スピンホール効果により横方向の電位差を生じる.このような原理で,ゼロ磁場下での横電圧の測定によりCISS効果を観測する.W/Pt電極の下に電流が流れている局所測定においても,W/Pt電極から数mm離れた位置のみで電流を印加した非局所測定においても有意な横電圧が観測された.これはCISS効果により得られたものと考えられる.CrSi2多結晶膜では掌性の制御はできていないと考えられるが,左右どちらかに偏りが生じているため有意なCISS信号が得られたと考えられる.WとPtではスピンホール角の符号が逆なため,逆符号のCISS信号が期待される.実験ではW電極においてもPt電極においても正負両方のCISS信号が観測された.これは試料ごとの掌性の違いも影響していると考えられ,さらなる検証が必要である. 矩形試料の左右から同時に電流印加を行った場合,観測されるCISS信号はそれぞれの電極から単独で信号を入力した場合の重ね合わせになっていることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
W電極においてもPt電極においてもスピン流の吸い上げが生じることを示した.矩形試料の左右から同時に電流印加を行った場合,観測されるCISS信号はそれぞれの電極から単独で信号を入力した場合の重ね合わせになっていることを示した.
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Strategy for Future Research Activity |
CrSi2膜にフォトリソグラフィによる微細加工を施し,メアンダライン,U型,Y型,O型などの構造を作製し,スピン偏極の伝搬について明らかにする.メアンダライン試料を用いてスピン偏極の伝搬距離がどこまで伸長するのかを調べる.また,スピン偏極の伝搬速度についても測定を行いたい.
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