Project/Area Number |
23K23223
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Project/Area Number (Other) |
22H01955 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 29020:Thin film/surface and interfacial physical properties-related
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
根尾 陽一郎 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (50312674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 貴裕 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 教授 (10422742)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
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Keywords | 液体金属 / ガリウム / チャイルド・ラングミュア / 電界放射陰極 / 空間電荷制限電流 / 熱電子放射 / テーラーコーン / 液体金属電子源 / 電界放射 / 空間電荷効果 |
Outline of Research at the Start |
発明から50年以上にわたり、最高輝度でありつづけているタングステン(310)電界放射電子源に代わる次世代の電子源を開発する事が最大の目的である。本研究では液体金属を表面拡散したタングステン電界放射陰極が、従来よりも二桁以上の電流を長時間安定に放出可能であることを見出した。さらに電流ー電圧特性は電界放射にも関わらず空間電荷制限電流まで到達する性能である事を確認している。 本研究では、この新しい電界放射電子源の動作原理を正確に把握する事が本研究の目的である。
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Outline of Annual Research Achievements |
タングステン(310)電界放射電子源は発明以降50年にわたり輝度の最高値を有している。に代わる次世代の電子源を開発する事が最大の目的である。本研究では液体金属を表面拡散したタングステン電界放射陰極が、従来よりも二桁以上の電流を長時間安定に放出可能であることを見出した。さらに電流ー電圧特性は電界放射にも関わらず空間電荷制限電流まで到達する性能である事を確認している。 従来であれば表面温度はジュール熱によりタングステンの融点を優に超える。しかし二桁以上の放射電流においても、チップは安定して動作する。また100時間を超える動作も確認された。 ガリウム液体金属を表面拡散したタングステン電界放射陰極の特性を評価した。この結果、放射電流(I)-電圧(V)特性がChild-Langmuir’s lawの空間電荷制限電流に漸近する事が実験的に確認された。しかし空間電荷制限電流はカソード表面の電界をゼロとしPoisson方程式から導出した結果であり、電界放射とは導出課程や前提条件が異なる。Dyke, Lauらの数値計算アプローチを利用してI-V特性の解析を行った。この結果、低電流密度ではFowler-Nordheim Eq.に従い、106A/cm2以上の大電流密度領域において空間電荷制限電流に漸近する事を確かめた。また空間電荷制限電流を考慮した有限要素法荷電粒子軌道計算を行い、大電流領域ではアノード電圧の増加分は、空間電荷に遮蔽され、チップ先端の電界強度の変化は抑制されている事を確認した。 この特異な放射特性にはガリウム液体金属による温度補償が働いていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時には、放射電流が二桁以上増加するメカニズムとして仕事関数の低下を想定していた。しかし現時点では、ガリウムの蒸発時の気化熱による放熱過程によりチップ先端の温度が融点以下で維持されていると考えられる。従来はジュール熱により100uA程度で融点に到達するが、本研究では10mAであっても融点よりも低い温度で維持されるため、大電流放射が可能となったと考える。 今後は、このメカニズムについて詳細な解析と進め、積極利用を考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた実験結果の中で、大電流を長時間安定に放出可能である事より、エミッションサイトの温度が融点以下に抑制されている事は明らかである。本年度はエミッションサイトの正確な温度測定をする事を目的とする。方法は以下の2つを検討している。 ①黒体輻射スペクトル:大電流放射時には、エミッションサイトの極微小領域のみが発光することが高感度カメラで確認された。微小領域の発光を正確に取り込む光学系と液体窒素冷却の高感度検出器を用いた分光器による発光スペクトルの取得を行う。タングステンの放射効率を考慮した輻射スペクトルと比較する事で温度を推測することが可能となる。 ②放出電子のエネルギー分布:母材の温度を考慮した電子状態密度と各エネルギー位置でのトンネル確率より放射電流のエネルギー分布を計算する事が可能である。リターディング式エネルギー分析装置によりエネルギー分布を実測する事で温度を推測する事が可能となる。これらの情報を用いて、エミッションサイトの温度を正確に把握し、ガリウムによる温度抑制のメカニズムを解明する。これらの知見は、ガリウムを必要としない大電流放射可能な電界放射陰極の開発には必要不可欠である。
温度測定のため、微弱な光検出に経験のある共同研究者を追加する。
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