Project/Area Number |
23K23261
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Project/Area Number (Other) |
22H01993 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 30020:Optical engineering and photon science-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉村 政志 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (60314382)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | 非線形光学結晶 / 熱処理 / 点欠陥 / 紫外レーザー損傷 / ホウ酸系結晶 / ノンストイキオメトリック欠陥 / 深紫外光波長変換 / ストイキオメトリ制御 / 深紫外光発生 / 結晶成長 |
Outline of Research at the Start |
ホウ酸系非線形光学結晶を用いた深紫外光波長変換において、高平均出力で長期間運転をした際にビーム品質の劣化や結晶中で欠陥が増加する新しい事象が確認されている。結晶中のノンストイキオメトリック(非化学量論)欠陥の存在が疑われるため、この欠陥起因の仮説に基づいた欠陥制御を検証して結晶内の点欠陥の本質を解明し、深紫外光に対して高い損傷耐性を有する光学結晶の実現を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
深紫外光波長変換特性に用いられる非線形光学結晶CsLiB6O10(CLBO)の内部には、光散乱として観察される点欠陥が含まれており、さらに高出力光を長期間発生させた際にはビームパターンが劣化し、光学素子内の点欠陥が局所的に増大する新しい事象が確認されている。ノンストイキオメトリック(非化学量論)欠陥がホウ酸系結晶の点欠陥の形成原因との仮説に基づいて、欠陥形成機構の解明と欠陥制御を試み、レーザー損傷耐性の向上を目指す。 欠陥低減が期待される固溶領域下限以下の温度での結晶成長を行うため、ストイキオメトリック組成にセルフフラックス成分を過剰に添加した様々な低温成長用の溶液組成を用意した。キロポーラス法を用いて、各溶液組成からCLBO単結晶成長に取り組んだ。フラックス成分が最も多い組成では成長界面への溶質供給が不足し、骸晶欠陥の形成が確認されたが、固定式攪拌翼を溶液内に導入することで透明単結晶の作製につながった。各組成から光学素子を作製し、緑レーザー光を入射して光散乱欠陥を調べた結果、成長温度が低温になるほどCLBO結晶の散乱明度が低いことが明らかになった。前年度から継続しているCLBO素子に熱処理を施した際に増加する光散乱欠陥の調査では、高温での加熱時間が72時間程度を超え、その後の冷却プロセスを徐冷した時にのみ増加する傾向が確認された。これらの特徴から、過去に研究していたCsB3O5(CBO)と同じ機構で欠陥が形成されているとの考えに至っている。最終年度はストイキオメトリック組成からの結晶成長と蒸気圧下での熱処理により欠陥形成機構の解明を進める他、深紫外光波長変換特性や損傷耐性の評価などにも取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホウ酸系光学結晶の研究報告は半導体結晶と比べて国内のみならず海外機関でも少なく、研究代表者が過去に行った研究を参考にしながら、ノンストイキオメトリック欠陥の形成機構を仮定しながら試行実験を行う状況にある。今年度は固定式の攪拌翼を溶液に挿入することで結晶成長が難しいフラックス過剰溶液からの単結晶作製に成功し、内部散乱評価が可能な状況に至った。その結果、「成長温度が低温になるほどCLBO結晶の散乱明度が低い」という散乱欠陥の形成機構を考える上で極めて重要な知見を得ることができた。また、育成後の熱処理により散乱挙動が変化する点についても、高温加熱と徐冷条件が組み合わさった際に著しい欠陥増加が生じるという独自の研究成果を挙げることができた。研究計画の立案時は固溶領域によって欠陥が形成されているとの仮定については、得られた実験結果を踏まえて結晶成長後の高温環境下が欠陥を形成している可能性が高いとの考えに至っている。最終年度は新たな仮説検証を柔軟に進めながら、他の光学結晶にも適用できるノンストイキオメトリック欠陥の形成機構とその抑制に対する欠陥制御技術を明らかにしたい。令和6年度内には複数の研究発表と学術論文の執筆を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
CLBO素子を高温加熱処理した際に散乱欠陥が増加する知見を踏まえ、ノンストイキオメトリック欠陥を補う蒸気発生用原料との加熱によって、散乱挙動がどのように変化するかを調査する。熱処理によって増加した散乱欠陥の経時変化やその成分同定にも引き続き取り組む。また、理想的な結晶成長組成であるストイキオメトリック組成から作製したCLBO単結晶から光学素子を作製し、内部散乱欠陥の光学評価と熱処理条件後の散乱挙動を調査する。これらの研究を通して散乱体の形成機構を明らかにするとともに、その抑制条件、制御技術を確立させる。 過剰フラックスから成長させた低散乱欠陥密度の高品質結晶については、ピコ秒パルスの緑色レーザーを用いて深紫外光波長変換特性、特に内部水不純物を加熱脱水する際の変換効率の変化を重点的に調査する他、深紫外光のナノ秒パルスレーザーを光学素子に集光照射して紫外光誘起損傷の耐性評価を行う。これらのレーザー実験については、通常のフラックス成長させた結晶とストイキオメトリック組成から成長させた結晶を比較サンプルとして使用し、光散乱欠陥と光学特性との相関を明らかにする。 研究代表者の過去のCBOに関する研究成果とCLBOの結果をまとめることで、ノンストイキオメトリック欠陥で共通する欠陥形成機構を提案し、学術論文等で成果を発表する。
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