Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
多くの重要な生化学反応の媒体である生体膜は,水中に形成された分子2個分の厚さの薄膜である.生体膜での生化学反応は効率的に進行するが,その機構を化学反応論の視点から説明しようとすると多くの困難に直面する.この問題を解決し得る構造モデルが1990年代から提唱されている「脂質ラフト」である.しかし,実際の細胞膜中での脂質ラフトの存在を示す実験は,知る限りにおいて報告されていない.本研究では,先端的な分光計測法によって生体膜および人工脂質二重膜の基本的な特性を測定して膜の特性を評価する.物理化学の手法を利用して脂質ラフトモデルを検証するとともに,膜構造と機能発現の相関について考察する.