Project/Area Number |
23K23310
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Project/Area Number (Other) |
22H02042 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鄭 誠虎 熊本大学, 大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター, 教授 (40390645)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,940,000 (Direct Cost: ¥13,800,000、Indirect Cost: ¥4,140,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥11,700,000 (Direct Cost: ¥9,000,000、Indirect Cost: ¥2,700,000)
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Keywords | 蛋白質 / アロステリー / 分子動力学シミュレーション / 熱力学 / 時間相関関数 |
Outline of Research at the Start |
蛋白質のシグナル伝達やモーター蛋白質における力の生成といった機能発現においては、シグナル分子やATPとの結合の影響が遠く離れた部位に伝播する、長距離にわたる構造・エネルギー相関が存在する。しかし、分子レベルでなぜ、どのようにしてそのような長距離相関が実現されているのかはよくわかっていない。 本研究では、シグナル分子や ATP との結合により蛋白質の自由エネルギー曲面がどのように変化するのかを明らかにする「揺らぐ熱力学」解析、結合の影響が蛋白質内をどう伝播していくのかを調べる多体の時間相関関数を用いた「動的協同性解析」、という2つの解析を行うことにより、長距離相関の分子メカニズムの解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
蛋白質のシグナル伝達やモーター蛋白質における力の生成といった機能発現においては、シグナル分子やATPとの結合の影響が遠く離れた部位に伝播する、長距離にわたる構造・エネルギー相関が存在する。しかし、分子レベルでなぜ、どのようにしてそのような長距離相関が実現されているのかはよくわかっていない。本研究では、シグナル分子やATPとの結合により蛋白質の自由エネルギー曲面がどのように変化するのかを明らかにする「揺らぐ熱力学解析」、また結合の影響が蛋白質内をどう伝播していくのかを調べる「動的協同性解析」という2つの解析を行うことにより、長距離相関の分子メカニズムの解明を目指している。 このような解析を行うためには、分子動力学シミュレーションに基づくトラジェクトリが必要である。本研究では以下の3つの系を対象とする:1つ目はadenylate kinase (ADK)で、リガンド分子との結合が蛋白質全体の構造を引き起こすことが知られている。2つ目はシグナル伝達系蛋白質であるSrcキナーゼで、リガンドや基質ペプチドとの結合が active/inactive の構造変化に大きな影響を与えることが知られている。3つ目はモーター蛋白質であるキネシンであり、ATPとの結合により微小菅上を歩く力が生成される。 現在、ADKとSrcキナーゼに対する分子動力学シミュレーションは終了した段階にあり、それらのトラジェクトリを元に「揺らぐ熱力学解析」に必要な熱力学関数の計算に取り掛かっている。キネシンに対しては、力の生成に重要であると考えられているがその構造が未解明の「リンカー領域」に対し、レプリカ交換分子動力学シミュレーションを用いて信頼性のあるモデリングを成功裏に終えることができた状況である。今後はこのモデル構造を初期構造として、キネシンが微小菅上を歩くシミュレーションの実行に取り掛かる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では以下の3つの蛋白質を研究対象としている:1つ目はadenylate kinase (ADK)で、リガンド分子との結合が蛋白質全体の構造を引き起こすことが知られている。2つ目はシグナル伝達系蛋白質であるSrcキナーゼで、リガンドや基質ペプチドとの結合が active/inactive の構造変化に大きな影響を与えることが知られている。3つ目はモーター蛋白質であるキネシンであり、ATPとの結合により微小菅上を歩く力が生成される。本研究ではまずこれら3つの系に対して分子動力学シミュレーションを行い、そのトラジェクトリに対して「揺らぐ熱力学解析」と「動的協同性解析」を実行する計画である。 1つ目と2つ目の系であるADKとSrcキナーゼに対しては既にシミュレーションを実行済みで、現在は「揺らぐ熱力学解析」に必要な熱力学関数の計算に取り組んでいる状況である。この解析が終了した段階で、「動的協同性解析」に移行する予定である。 3つ目の系であるキネシンに対する研究の進捗状況は以下の通りである。この系では、まずは構造未解明の重要領域であるリンカー領域の信頼性のあるモデリングが必要であり、このモデリングが終わった段階で、微小菅上を歩くシミュレーションが実行可能となる。初年度(R4年度)にモデリングに取り掛かったが、キネシンを専門とする実験家と相談したところ、このモデリング(キネシン+微小菅を構成するtubulinを一列に並べたもの)では不十分で、tubulinが少なくとも三列必要だとの助言を受けた。当該年度(R5年度)においてはこの助言を元にモデリングをやり直し、成功裏に終えることができた。今後はこのモデリングに基づく構造を初期構造として、微小菅上を歩くシミュレーションを始めることが可能な状況にある。 これらのような理由により、「おおむね順調に進展している」という進捗状況を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究においては、3つの蛋白質(ADK、Srcキナーゼ、キネシン・モーター蛋白質)のそれぞれに対し分子動力学シミュレーションを実行し、そのトラジェクトリに対して「揺らぐ熱力学解析」と「動的協同性解析」を実行する計画である。 既にシミュレーションが終わったADKとSrcキナーゼに対しては、得られたトラジェクトリに対し「揺らぐ熱力学解析」を行うための熱力学関数の計算を実行中であり、R6年度中にこの計算を完了する予定である。この計算が完了すれば、蛋白質の構造の関数として自由エネルギー曲面を求めることが可能となる。これにより、シグナル分子との結合によりADKやSrcキナーゼの自由エネルギー曲面がどのように変化するのかを可視化することが可能となり、それをもとに長距離相関が「なぜ」起きるのかを明らかにすることを目指す。その後、R7年度からは多体の時間相関関数を用いた「動的協同性解析」を行い、シグナル分子や基質との結合の影響が蛋白質内を「どのように」伝播していくのかを明らかにすることを目指す。 キネシンの構造未解明のリンカー領域に対する信頼性のあるモデリングに関しては、レプリカ交換分子動力学シミュレーションを用いて完了した状況である。R6年度はこの構造を初期構造として、キネシンが微小菅上を歩くシミュレーションを開始する。このシミュレーションは系の総原子数が300万原子ほどになるので、R6年度中の完了が困難であることが予想されるので、R7年度中までのシミュレーションの完了を目指す。その後、R7年度とR8年度に渡って「揺らぐ熱力学解析」と「動的協同性解析」を行うことにより、分子レベルでなぜ、どのようにしてモーター蛋白質における力の生成が生じているのかを解明することを目指す。
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