Project/Area Number |
23K23318
|
Project/Area Number (Other) |
22H02050 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32020:Functional solid state chemistry-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北河 康隆 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (60362612)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 幸平 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (70805621)
岸 亮平 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (90452408)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
|
Keywords | In silico分子デザイン / d-π複合電子系機能性材料 / 量子化学計算 / バンド計算 / 双安定性 / d-π複合電子系機能材料 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題では『金属イオンとπ電子系のもつ特徴を有効に活用した、d-π複合電子系からなる外場制御可能な双安定性化合物を、量子化学計算(QC)、バンド計算(BD)、そしてMIを組み合わせin silicoでデザインする』ということを目的とする。スピン(S)や電荷(q)、電子励起(E)の状態の自由度は、磁場や光、電場で制御することができる。QC、BD計算により機能を量子レベルで十分に理解しつつ、MIを組み合わせることにより、機能性分子材料を効率的にin silicoでデザインすることが本研究の骨子である。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、将来のデバイス素子として活用できる革新的な分子性機能材料の理論提案を目指し、『金属イオンとπ電子系の利点を有効に活用した、外場制御可能な双安定性化合物を、量子化学計算(QC)、バンド計算(BD)、そしてマテリアルズインフォマティクス(MI)を組み合わせることによりin silicoでデザインする』ことを目的としている。そのために、(1)QC、BD、MIの統合によるin silicoデザイン法の確立、(2)それぞれの状態で異なる物性を示す双安定性分子性化合物の理論提案、の2つが具体的な研究目標であり、最終的には新規機能性d-π複合電子系材料の提案までを遂行する。 2022年度は、in silico分子デザインのスキームの確立を目指し、下記の研究を遂行した。(1)単核錯体を用いた研究:配位子としてビピリジン(bpy)を有するトリスビピリジン錯体([Ru(bpy)3])に着目し、分子構造とフロンティア軌道エネルギーの重回帰式を得た。(2) 金属二核錯体を用いた研究:Ruアセテート架橋パドルホイール錯体([Ru2(O2CR)4])に注目し、様々なπ共役系置換基(R)を架橋配位子に導入したモデル化合物の第一原理計算から、配位子と酸化還元状態、そしてフロンティア軌道エネルギーとの相関を明らかにした。(3) 表面上での開殻化合物の電子状態計算:バンド計算を用いた開殻系化合物を金属あるいは酸化物表面に吸着させた際の相互作用を解明した。(4) π共役化合物の励起状態の挙動の解明と集積構造による影響の解明。 これらの結果は、英文論文2報、学会発表92件(内、国際会議25件、国内会議67件)を通じて国内外に発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように2022年度は、本研究課題の初年度として、まずは量子化学計算(QC)、バンド計算(BD)、そしてマテリアルズインフォマティクス(MI)を有効に連携することによるin silico分子デザインのスキームの確立を目指し、(1)から(4)の研究を遂行した。(1)ではトリスビピリジン錯体において、置換基とフロンティア軌道エネルギーに関する重回帰式を得るプログラムを作成し、マテリアルズインフォマティクを導入する基本骨格を構築することができた。また得られた重回帰式より、任意の酸化還元電位を得る化合物のスクリーニングやin silicoデザインが可能となった。(2)では、バドルホイール型Ru2核錯体の酸化状態([Ru(II,II)2]と[Ru(II,III)])の取りやすさの違いと配位子のπ軌道との関係が示され、電荷の違いによる双安定性化合物を設計するための基礎的知見を得た。(3)では具体的なd-π複合電子系化合物を電極上で使用するシミュレーションの基礎的知見を得た。特に、分子の開殻性がどのように界面の電子状態に影響を与えるのかを明らかにできた。(4)では、分子の励起状態を使用する光材料の集積構造効果と物性制御に関する知見を得た。励起状態のダイナミクスに関する研究では2報の論文を上梓した。 以上のように、本年度はモデル化合物を用いた第一原理計算を実行し、構造自由度と、エネルギーなどとの相関をMI手法を用いて求めるスキームの確立、基底・励起状態の置換基による自在な制御法や双安定性示す化合物の探索の基礎的研究を行うという当初予定を概ね達成した。また、多くの学会発表や論文の出版も行うことができたことからみても、概ね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、確立したin silico分子デザインスキームを用いた具体的な化合物への適用と双安定化合物の探索・設計の基礎を固める研究を行う。特に、以下の2点を具体的に遂行することにより、機能性化合物の探索・設計・物性予測を行い、実際の物性をQC、BD計算により確認・比較することにより、より探索・予測精度を高める。(1)単核錯体を用いた研究:対象系としては、配位子としてビピリジン(bpy)のみならずフェニルピリジン(ppy)骨格など、様々なπ電子系を配位子として含有する系に着目する。前年度のMI法で得られた、置換基の種類や導入位置によりフロンティア軌道エネルギーを与える重回帰式を用い、種々な反応の酸化電位や還元電位を有する[Ru(bpy)3]誘導体や、リン光発光波長を有する[Ir(ppy)3]誘導体を探索・設計する。その後、得られた誘導体において、実際に第一原理計算を実行しフロンティア軌道エネルギーを算出・比較することによりその予測性能を検証する。また、酸化状態や還元状態での励起状態を求め、安定な励起状態を有する双安定性化合物の探索を行う。(2) paddle-wheel型金属二核錯体を用いた研究:Ruアセテート架橋パドルホイール錯体([Ru2(O2CR)4])に注目し、Ru2の電荷自由度([Ru(II,II)2]や[Ru(II,III)2])が架橋配位子に導入するπ共役系置換基(R)のみならず、軸上配位子(X)とどのような関係があるかも、モデル化合物を用いた第一原理計算により明らかにする。これらの結果から、構造と電荷状態の相関を多変量解析・機械学習などのMI手法を用いて求める。得られた結果より、Ru2サイトの異なる電荷状態間での双安定性示す化合物の探索を行う。上記の他にも、水素結合などを用いた双安定性化合物の検討も行う。
|