Project/Area Number |
23K23336
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Project/Area Number (Other) |
22H02068 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 33010:Structural organic chemistry and physical organic chemistry-related
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
瀬川 泰知 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 准教授 (60570794)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | 分子トポロジー / トポロジー / 有機共有結合構造体 / π共役 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、有機機能性材料の中心を占めるπ共役構造体に対してトポロジカルな幾何構造を導入した物質群を合成する手法の確立を行い、新たに得られる数々の新規物質群の機能解明を行う。具体的には、複雑なトポロジカルπ共役構造体を合成し、これらの構造的・電子的性質を実験および計算科学的に明らかにする。単分子だけでなく、トポロジカルな3次元敷き詰め構造にも着目し、これらを有機合成化学的にデザインして構築する手法の開発および得られた物質の物性解明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機機能性材料の中心を占めるπ共役構造体に対してトポロジカルな幾何構造を導入した物質群を合成する手法の確立を行い、新たに得られる数々の新規物質群の機能解明を行う。具体的には、カテナン、ノット、ベルト、ロタキサン、メビウスの帯といった特異なトポロジーをもつπ共役分子(0次元系)に加え、2次元シートや3次元ジャングルジム構造といった複雑な各種トポロジカル構造体を合成し、これらの構造的・電子的性質を実験および計算科学的に明らかにする。 当該年度においては、含チオフェン非平面π共役化合物のプラットフォームとして、多数のチオフェン環を含む2種の大環状化合物を設計し、その合成および構造決定および動的性質の解明に成功した。全てβ位で連結したチオフェン環状多量体は様々なπ共役化合物の合成中間体として活用されてきたが、合成はこれまで3量体および4量体に限られており、反応活性点であるα位を保持したまま環状構造を構築することが困難であった。我々は最近報告された3,4-ジボリルチオフェン合成を参考に、鈴木宮浦クロスカップリング反応やニッケル錯体によるホモカップリング反応を段階的に行っていくことで環状体の合成に成功した。NMR測定より、環状5量体と6量体で溶液状態における動的挙動が大きく異なることを見出した。また、有機共有結合構造体(COF)のユニット合成過程において、予期しない4員環形成反応を発見し、その詳細および得られた含4員環π共役分子の構造的・電子的性質を詳細に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては、チオフェン環状多量体の合成、予期しない4員環形成反応の発見に基づく新奇含4員環π共役化合物の合成と性質、さらに平面π共役分子トリフェニレンへのフッ素置換基の多点導入反応の開発を行った。これらの成果は査読付き学術論文として報告している。また、特異な3次元トポロジー構造をもつ有機共有結合構造体の合成や、微小単結晶の構造解析を可能にする電子回折構造解析の開発と応用研究が進行中である。このように着実な進捗があり、研究はおおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
特異なトポロジーをもつ有機共有結合構造体の合成を行う。具体的には、種々の平面正方形分子の設計および系統的合成を通して、正方形分子を用いたnboトポロジー有機共有結合構造体(nboCOF)の合成法を確立する。これはnbo(酸化ニオブ)型のトポロジーをもった構造であり、これまでに1例のみ報告があるものの、系統的な合成法は確立されていない。まず正方形分子を精密に設計・合成し、スピロ結合により垂直に組み合わせたnboCOFへと変換する。本分子設計により、これまでのダイヤモンド型COFでは達成困難であった、相互貫入構造を取りにくく三次元に広がるCOFの構築が達成できる。また、サイズや電子状態の異なる種々の正方形分子を設計することにより、性質の異なる様々なCOFの合成が可能である。本研究においては、複数のスピロ結合において検討を行い、効率的なCOFの合成の開発も同時に試みる。
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