Development of metal complexes able to induce cancer-cell-selective cell death by targeting organelle
Project/Area Number |
23K23365
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Project/Area Number (Other) |
22H02097 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小寺 政人 同志社大学, 理工学部, 教授 (00183806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北岸 宏亮 同志社大学, 理工学部, 教授 (60448090)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,710,000 (Direct Cost: ¥6,700,000、Indirect Cost: ¥2,010,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
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Keywords | 二核銅錯体 / がん細胞選択的毒性 / DNA酸化切断 / 四核銅錯体 / DNA標的 / 細胞内小器官標的 / DNA標的を持つ金属錯体 / 酸素分子の還元的活性化 / 過酸化水素の活性化 / 細胞内小器官の標的 / 二核銅錯体による酸素活性化 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、全ての細胞に共通に存在する細胞内小器官を標的し、がん細胞の特異環境を利用して選択的にがん細胞をアポトーシスに導く新たな抗がん剤の開発を目指す。具体的には細胞内小器官(核、ミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体)を標的する金属錯体を開発し、これらを用い、がん細胞の特異環境を利用して核やミトコンドリアのDNAの酸化切断や小胞体・ゴルジ体のストレス応答を通してがん細胞を選択的にアポトーシスに導く。
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Outline of Annual Research Achievements |
シスプラチンやブレオマイシンなどの金属錯体は細胞が共通に持つ核のDNAに障害を与えてがん細胞をアポトーシスに導く細胞障害性抗がん剤であり、がんの適用範囲が広く、転位や予後の治療にも有効である。しかし、これらは正常細胞にも同様に働くために強い副作用を伴う。そこで、がん細胞選択性を示す分子標的薬が開発されているが、これらは適用範囲が狭く、特定のがんにしか効果がなく、全く異なる別の副作用を伴うなどの問題がある。本研究では、全ての細胞に共通に存在する細胞内小器官を標的し、がん細胞の特異環境を利用して選択的にがん細胞をアポトーシスに導く新たな抗がん剤の開発を目指す。具体的には細胞内小器官(核、ミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体)を標的する金属錯体を開発し、これらを用い、がん細胞の特異環境を利用して核やミトコンドリアのDNAの酸化切断や小胞体・ゴルジ体のストレス応答を通してがん細胞を選択的にアポトーシスに導く。 ブレオマイシンの鉄錯体(Fe-BLM)は酸素分子を還元的に活性化して高速でDNAを二本鎖切断するが、その反応機構は解明されていない。この機構解明や実用的な応用の観点からFe-BLMの機能を再現する金属錯体が待ち望まれていた。本年度の研究では、我々が独自に開発したアミドテザー型配位子bdpamideの二核銅錯体を用いて高速でDNA二本鎖切断が起こることを見出すとともに、その反応機構を明らかにした。具体的には、二核銅錯体1が酸素分子を還元的に活性化し、この時に生じるヒドロキシラジカルがDNAの二本鎖切断を大きく加速した。2分子の二核銅錯体がDNAにインターカレーションして互いに近い位置に強く結合し、DNAの二本鎖内で酸素分子を3電子還元してヒドロキシラジカルを生じさせることで高速のDNA二本鎖切断が可能になった。これらの結果は高速のDNA二本鎖切断の機構解明の観点から重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の抗がん剤は、がん細胞選択性がなく、正常細胞にも同様に作用して強い副作用を示す。そこでがん細胞の特異環境を利用してがん細胞選択的に作用する抗がん剤の開発が試みられている。実際に、ミトコンドリアの電子伝達系の複合体Iの阻害剤が高い抗がん活性を示すことや小胞体に局在する金属錯体が小胞体ストレス応答を利用してがん細胞選択性を発現する研究などが報告されている。また、がん細胞は正常細胞に比べ、過酸化水素やグルタチオンなどの還元性物質の量が多い特異環境を有している。そこで本研究では、核、ミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体などの細胞内小器官を標的する錯体を開発し、がん細胞の特異環境を利用して、正常細胞には作用せず、がん細胞を選択的にアポトーシスに誘導する金属錯体を開発することを目指している。2022年度の研究では、bdpamide配位子の二核銅錯体が還元剤であるアスコルビン酸ナトリウムの存在下で酸素分子を還元的活性化してDNA酸化切断を大きく加速することを見出した。さらに、この錯体のDNAへのインターカレーション、酸化還元測定、DNA酸化切断の速度論的解析、ヒドロキシラジカルの生成のモニタリングなどから、その反応機構を明らかにした。その結果、この反応には2分子の二核銅錯体が関与することが明らかになった。そこで、分子内にこの錯体を2分子持つ四核銅錯体を新たに設計合成した。この四核銅錯体は、アスコルビン酸ナトリウム存在下の酸素分子活性化によるDNA酸化切断をさらに大きく加速した。興味深いことに、この反応の速度も四核銅錯体2分子が関与することを明らかにした。これにより、四核銅錯体が持つフタルアミド部位がDNAにインターカレートしてDNA分子に錯体が集められることによって反応が加速されることが明らかになった。本研究では、さらに高いDNA切断活性を示す錯体の開発に成功しており、順調である
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Strategy for Future Research Activity |
がん細胞選択性を示す二核銅錯体にさらに強力なDNA-binderを導入し、錯体のDNA結合能を向上させ、核やミトコンドリアへの標的を図る。DNA-binderとしては、フェナントレンよりも結合能の高いDNA intercalatorであるアクリジンやなフタルイミドが挙げられる(Krishant, Int. J. Mol. Sci., 2016)。また窒素を含むアクリジンはカチオン性を有しており、負に帯電している細胞膜の透過を促進して細胞への取込み量の増加が期待される。この点に注目し、アクリジンよりも強いDNAバインダーであるカチオン性ポルフィリンを二核銅及び四核銅錯体に導入する。これらの化合物の合成については、フェナントレンを導入したのと同様の手法で導入できる。研究方法と具体的な内容は、これらの配位子と二核銅錯体の合成、各種分光学的測定や等温滴定型熱量測定(ITC)による錯体とDNAの結合定数や相互作用の評価、DNA切断活性、細胞毒性、がん細胞選択性の評価を行う。共焦点レーザー顕微鏡で錯体の細胞内挙動を観察し、細胞内小器官への局在を確認する。ミトコンドリアアポトーシスの確認はCellEventTM Caspase-3/7 Green Flow Cytometry Assay KitやCaspGLOWTM Fluorescein Active Caspase Staining Kitを用いたカスパーゼの活性評価により明らかにする。本研究を通して、核やミトコンドリアを標的することにより、二核銅錯体のがん細胞選択性が向上されることが明らかになれば、様々なペンダント基を持つ錯体についてもDNA-binderを導入し、がん細胞選択的毒性の向上を図る。
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Report
(1 results)
Research Products
(28 results)