Project/Area Number |
23K23379
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Project/Area Number (Other) |
22H02111 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34020:Analytical chemistry-related
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
酒井 誠 岡山理科大学, 理学部, 教授 (60298172)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
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Keywords | 赤外超解像 / 非線形光学 / タンパク質二次構造 / ナノ空間 / イメージング |
Outline of Research at the Start |
本研究では、様々な機能性生体試料に対して2種類の超解像赤外分光イメージングを適用することで、生体試料中の特定のタンパク質二次構造の選択的観察を実現し、分布・配向・濃度を含めた精密な分子構造解析により、新たな「ナノ空間局所構造解析」法の確立を目指す。具体的な研究計画の手順としては、1)四光波混合を利用した赤外超解像顕微鏡の開発、2)羽毛サンプルを標準試料としてシステムの性能評価、3)新規生体試料の探求、の3つのテーマに分類して研究推進する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、様々な機能性生体試料に対して2種類の超解像赤外分光イメージングを適用することで、生体試料中の特定のタンパク質二次構造の選択的観察を実現し、分布・配向・濃度を含めた精密な分子構造解析を基盤とする新たな「ナノ空間局所構造解析」法の確立を目指している。23年度は、羽毛サンプルを標準試料としてシステムの性能評価を中心に作業を行った。具体的には、羽毛サンプルの中心部近傍の羽軸横断面に対して、VSFG法と四光波混合法による2種類の赤外顕微鏡観察を行い、羽毛内ケラチンタンパク質の選択的観察を行った。β-ケラチンのアミドIバンド(CO str., 1630 cm-1)でVSFG法を用いた赤外超解像イメージングを2つの偏光の組み合わせで行った結果、XXY偏光ではほとんど信号が観察されない一方、YYX偏光では試料全体から強い信号が発生した。VSFG信号強度は赤外光の偏光の向きと分子振動の向きが一致したときに著しく増大することから、界面近傍では大部分の領域でβ-ケラチンのCOがX方向に向くよう一様に配向していることが分かった。一方、同一試料に対して、同じアミドIバンドを用いて4-wave検出赤外超解像イメージングを行うと、偏光依存性が現れない結果となった。過去の研究ではでは羽毛β-ケラチンは4回転周期構造であると言われており、この場合、Y成分とX成分が同程度になると考えられる。4-wave検出で偏光依存性が現れなかったことは、この構造とよく一致しており、確かにバルク部分の観察が行えたと結論した。VSFGおよび4-waveの測定結果を合わせることで、β-ケラチンはレイヤー間の界面では平行構造をとっていること、またバルク中では4回転周期構造が保たれていることを分光学的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究推進の要であったミクロトームを昨年度購入し、試料調整の効率が大幅に向上し、順調に研究推進できるようになり、昨年まで「やや遅れている」の状況を取り戻した(or やや進んでいる)と考えられる。よって、全体では「おおむね順調に進展している」の区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度はVSFG法と四光波混合法による2種類の赤外超解像顕微鏡法を駆使して、繊維状の生体試料、あるいは階層構造を有する機能性生体試料の内部構造観察に取り組む。具体的には、1)毛髪および動物の毛、2)爪をターゲットとする。例えば、毛髪は中央から外側に向けてメデュラ、コルテックス、キューティクルの3層構造をとっている。全体の85%以上を占めるコルテックスは主成分がα-ケラチン(α-ヘリックス構造を有するケラチンタンパク質)で、また、キューティクル部分はランダムコイル構造を持つケラチンタンパク質で構成されている。2種類の赤外超解像顕微鏡により、このような階層構造を取り分けて観測し、試料の形状・強度といったマクロな構造・性質が、分子レベルでの構造とどのような相関を持つかを観察する。また、同様に様々な動物毛についても赤外超解像顕微鏡観察を行い、動物の種類や毛の役割、生息地などによる内部構造の違いも調査する。2)の爪は羽毛と同じβ-ケラチンが主成分だが、硬さなどのマクロな構造は羽毛とは大きく異なっている。「ナノ空間局所構造解析」との相関を精査することで、内部構造(ナノ構造)で見た目の形状(マクロな性質)が決まるのを視ることが可能と期待している。
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