Project/Area Number |
23K23424
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Project/Area Number (Other) |
22H02156 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 35030:Organic functional materials-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 泰之 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 准教授 (10385552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長坂 将成 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 助教 (90455212)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
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Keywords | 難分解性有機物 / 資源化 / 反応活性種 / 鉄錯体 / 電気化学 / 酸化触媒 / 鉄オキソ種 / フタロシアニン / 軟X線吸収分光 / 酸化活性種 / 触媒 / 軟X線分光 |
Outline of Research at the Start |
下記(A), (B)2つの課題を、超分子化学・錯体化学・電気化学・軟X線分光の技術を駆使してクリアすることで、水溶液中において難分解性有機物を酸化的に分解して有用有機物を与える「難分解性有機物資源化触媒反応活性種」を開発する。 (A) 疎水性反応場を持つ「二階建て型鉄二核錯体触媒」を方向選択的にグラファイト電極上に吸着させる技術の開発。 (B) グラファイト電極上に吸着させた触媒分子を水溶液中で電解酸化することで酸化反応活性種を生成させ、分解反応に用いる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自然界に多量に存在する化学的安定性の高い難分解性有機物を、CO2にすることなく高効率に有用有機小分子へと変換可能な触媒反応活性種を開発することである。そのベースとなるのは、応募者らが最近開発した「二階建て型Feフタロシアニン錯体オキソ種をグラファイト表面に π スタッキングさせた構造」を有する超高活性酸化反応活性種であり、この活性種の構造と電子状態を、軟X線吸収分光を利用して明らかにするとともに、(a)活性種を「電気と水」から生成する方法の確立、(b)疎水性反応場を持つ触媒を用いた過剰酸化抑制にも取り組むことで、さらに高活性かつ高効率な酸化触媒システムを開発し、それらを用いて様々な難分解性有機物分解資源化に適用することを企図している。 ここまでの主な研究実績は下記の通りである。 1,上記のグラファイト担持触媒が、過剰量の過酸化水素を含む酸性水溶液中において、室温においてもメタンのC-H結合を活性化できることが明らかになったことから、液体状難分解性有機物の一種であるベンゼンのC-H結合の直接酸化活性化へと適用したところ、効率よく酸化活性化が進行して、フェノールが得られることがわかった。 2,グラファイト担持触媒のグラファイト担体を、導電性カーボンの一種であるVulcan XC72-Rへと変えた触媒を合成して、そのメタン酸化触媒活性を評価したところ、グラファイト担持触媒を大きく上回る活性が得られた。 3,軟X線分光を利用した電気化学オペランド測定において、過酸化水素を用いることなく、水と電気から、酸化反応活性種である二階建て型Feフタロシアニン錯体オキソ種が生成するという明確な証拠を得ることができた。これは、電解生成型高原子価鉄オキソ種のオペランド軟X線分光による初めての観測例である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究では、まず、現有のグラファイト担持触媒が室温においてもメタンを酸化活性化できることが新たに明らかになったことから、室温において、ベンゼンのC-H結合を直接的に活性化して、工業的に有用な化合物であるフェノールへと変換する反応への適用を検討した。フェノールは、工業的に有用な化合物であり、クメン法によりベンゼンから3ステップかけて合成されているが、我々のグラファイト担持触媒を用いれば、室温付近の温和な反応条件下において、1ステップでフェノールへと変換できることを明らかにした。 さらに、予期せぬ知見として、担体をグラファイトから、導電性カーボンの一種であるVulcanへと変えることで、そのメタン酸化触媒活性が数十倍に向上することを見出した。現在、このVulcan担持触媒を用いた難分解性有機物の資源化に着手している。 一方、カーボン膜を蒸着した窒化ケイ素チップ上に窒素架橋鉄フタロシアニン二量体を担持した後、そのチップを電極として用いて、100mMの支持電解質を添加した水溶液中で1.5 V vs. Ag/AgClの電位を印加しながら酸素K端XASスペクトルを測定したところ、Fe=O結合に由来すると考えられる532 eV付近の吸収が増大することが分かった。 以上の結果に加えて、疎水性反応場を持つ触媒の合成も進めており、現段階では研究は順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は特に、下記の項目を特に力強く遂行していく予定である。 1,電気化学オペランド軟X線吸収分光を利用した、電解生成オキソ種の直接観測の再現性を確認するとともに、印加電位によってオキソ種の電子状態がどのように変化するかを明らかにする。酸素K吸収端に加えて、鉄L吸収端の測定を行って、印加電位によって、触媒分子の鉄の原子価の変化が追跡可能かどうかを明らかにする。 2,前年までに得られたVulcan担持触媒の難分解性有機物資源化触媒としてのポテンシャルを明らかにする。特に、室温におけるメタンやベンゼンの活性化、セルロースのギ酸への高効率変換が可能かどうかについても検討したい。 3,前年から取り組んでいる「疎水性反応場を有する窒素架橋鉄フタロシアニン二量体」を何種類か合成して、その反応性の評価を行う。
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