超好熱性アーキアへのFd依存型嫌気的TCAサイクルの実装と水素生産への利用
Project/Area Number |
23K23502
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Project/Area Number (Other) |
22H02235 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38020:Applied microbiology-related
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Research Institution | Institute of Science Tokyo |
Principal Investigator |
福居 俊昭 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (80271542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折田 和泉 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (70525964)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | 超好熱菌 / Thermococcus / TCAサイクル / ピルビン酸代謝 / 水素生産 / ピルビン酸代代謝 / TCA回路 |
Outline of Research at the Start |
嫌気性超好熱性アーキアThermococcus kodakarensisは硫黄非依存増殖の際に酢酸生成経路により水素を発生するが、発酵水素生産ではグルコース1 molあたり水素4 molの発生が最大とされている。近年の検討で、T. kodakarensisに外来C6トリカルボン酸変換酵素群を導入することで嫌気的TCAサイクルが機能しうることが示された。本研究では嫌気的TCA回路導入T. kodakarensis株にさらに改変を加え、高収率でバイオマス原料から水素を発生可能な超好熱菌株の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
嫌気性超好熱アーキアThermococcus kodakarensisは硫黄非依存増殖の際に酢酸生成経路により水素を発生する。以前の検討で、T. kodakarensisに近縁の超好熱菌に由来する外来C6トリカルボン酸変換酵素群を導入することで、フェレドキシン (Fd) 依存型嫌気的TCAサイクルが酸化方向に機能しうることが示された。本研究ではFd依存型嫌気的TCAサイクルが十分にターンオーバーする株を作出し、その生理的特性と水素発生能の検討を目的とした。 今年度ではC6トリカルボン酸変換酵素の3遺伝子について、各遺伝子の上流に個別に強力プロモーターを挿入した高発現株を作製した。無細胞抽出液を用いた酵素活性を測定したところ、従来株では活性が低かったアコニターゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼについて高発現株では1.5~2倍の高い比活性を示した。作製した高発現株は、ピルビン酸を添加した栄養豊富培地での嫌気培養では従来株と比較して生育特性やH2とCO2の発生量と生成比に大きな違いは見られなかった。従来株および高発現株は両方とも培養上清および細胞内に野生株では検出されないクエン酸が検出されたが、高発現株では従来株と比較して培地中のクエン酸蓄積量が顕著に減少し、C6トリカルボン酸変換酵素の発現強化によってクエン酸シンターゼで生成したクエン酸が速やかに変換されたと考えられた。13C標識ピルビン酸を添加した培養による代謝物標識実験では13C炭素が5個標識、および6個標識のクエン酸が検出されたことからFd依存型嫌気的TCAサイクルが機能し、酸化方向に1回転以上していることが示された。一方で、高発現株におけるクエン酸アイソトポマーは従来株と比較して同程度の存在比であり、コハク酸以降の代謝ステップで滞っていることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
C6トリカルボン酸変換酵素群の高発現株を取得でき、従来株と比較して培地中でのクエン酸蓄積量が顕著に減少したことから、C6トリカルボン酸の連続的な変換が効率的に進行していることを示唆する結果を得た。一方で、TCAサイクルのターンオーバーは依然として十分でなく、コハク酸以降の代謝ステップで滞っていることが推測された。LC-MS装置の故障により代謝物解析の測定数を十分に確保できなかったため、次年度での解析に向けて予算の一部を繰り越した。 アセチル-CoAをTCAサイクルで完全に酸化させるには、酢酸を最終産物の1つとして排出する代謝を抑制する必要がある。本菌で機能する複数のアセチル-CoAシンテターゼについて多重遺伝子破壊による酢酸生成能欠失の取得を試みているが、目的とする欠失株の取得には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
代謝解析結果から導入したTCAサイクルは酸化的回転しているが不十分であった。今後は異なる13C標識化合物を添加した培養での解析を行うことで、より詳細の解明を目指す。 一部の嫌気性細菌が有するNADH依存型フマル酸レダクターゼはキノンを有さないT.kodakarensisにおいても機能し、TCAサイクルの還元方向での回転、さらには逆反応による酸化方向での回転に寄与できる可能性がある。そこで嫌気性超好熱菌由来のNADH依存型フマル酸レダクターゼの発現ベクターを作製し、T. kodakarensis C6トリカルボン酸変換酵素株に導入し、その影響を解析する。 アセチル-CoAシンテターゼパラログ群の遺伝子破壊について継続検討し、酢酸生成能欠失株の取得を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)