Project/Area Number |
23K23504
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Project/Area Number (Other) |
22H02237 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38020:Applied microbiology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤山 茂樹 京都大学, 農学研究科, 教授 (80357178)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
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Keywords | DNA修復機構 / ラビリンチュラ / 微細藻類 / ゲノム編集 / 緑藻 |
Outline of Research at the Start |
高等動物、高等植物など、多くの真核生物は外来DNAの相同組換えが難しく、DNA修復機構としては非相同末端結合等が卓越する。一方、原核生物や酵母など真核生物の一部においては、DNA修復に相同組換えが利用される。このような背景から、低塩濃度で培養すると相同組換え効率が向上するラビリンチュラ類を両者の中間型モデル生物とし、相同組換え効率が特に低い真核微生物の原因解明を本研究の目的とする。遺伝子の挿入・破壊が可能となる相同組換えを容易にする本研究の成果を応用すれば、ヒトや植物を含む多様な真核生物について、クリスパ―キャス9法に依存しないゲノム編集実現が期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「相同組換え効率の向上を目指したDNA修復機構に関する研究」は、外来DNAの相同組換えが難しい多くの真核生物について、DNA修復機構の謎解明を目指した研究である。ストレス条件で培養すると相同組換え効率が向上するラビリンチュラ類を中間型モデル生物とし、相同組換え効率が低い生物の原因解明を本研究の目的とする。ラビリンチュラ類の知見を緑藻と比較しながら、3つのDNA修復機構、相同組換え(HR)、非相同末端結合(NHEJ)、マイクロホモロジー媒介末端結合(MMEJ)について研究を進めている。 微細藻類やラビリンチュラ類は、DNA修復機構に関わる遺伝子が未知なものが多く、その制御機構や転写解析も進んでいない。前年度の本研究では、Aurantiochytrium limacinumについて、光や浸透圧ストレス条件における網羅的転写データを取得し、京都大学化学研究所スーパーコンピュータシステムを利用し、広範なデータからの注釈付を行うことでDNA修復機構関連候補遺伝子を探索した。今年度は、A. limacinumについて、HR関連Mre11タンパク質の過剰発現やゲノム編集のためのCas9タンパク質の発現実験を行ったところ、従来のベクターを用いた形質転換法では、一度ゲノムに挿入された外来遺伝子が、抗生物質選択寒天培地における継代培養で、早期に脱落することが明らかになった。そこで、外来遺伝子が脱落しにくいベクターを構築し、HR関連タンパク質の過剰発現やNHEJ・MMEJ関連遺伝子のノックアウト・ノックダウン実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、「どうして多くの真核生物は、外来DNAを用いた相同組換え(HR)が起きづらいのか?」という学術的な問いに対する答えを用意することにある。そのために本研究では、HRが起きやすい酵母とHRが特に起きづらい緑藻の中間に位置するラビリンチュラ類Aurantiochytrium limacinumをモデル生物として用いる点が、学術的独自性と創造性が高い特色である。A. limacinumは、ストレス条件で培養するとHR効率が向上すると考えられている。ラビリンチュラ類の知見を緑藻と比較しながら、3つのDNA修復機構、相同組換え(HR)、非相同末端結合(NHEJ)、マイクロホモロジー媒介末端結合(MMEJ)について研究を進めている。 微細藻類やラビリンチュラ類は、DNA修復機構に関わる遺伝子が未知なものが多く、その制御機構や転写解析も進んでいない。前年度の本研究では、京都大学化学研究所スーパーコンピュータシステムを利用し、広範なデータからの注釈付を行うことでDNA修復機構関連候補遺伝子を探索することができた。今年度は、A. limacinumについて、Mre11タンパク質の過剰発現やゲノム編集のためのCas9タンパク質の発現実験を行ったところ、従来のベクターを用いた形質転換法では、一度ゲノムに挿入された外来遺伝子が、抗生物質選択寒天培地における継代培養で、早期に脱落することが明らかになった。そこで、外来遺伝子が脱落しにくいベクターを構築し、HR関連タンパク質の過剰発現やNHEJ・MMEJ関連遺伝子のノックアウト・ノックダウン実験を進めている。 これらの結果から、重要な資源生物であるA. limacinumにおいて、外来遺伝子が脱落しやすいという新たな学術・応用面で重要な知見を得ることができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(サブテーマ③ラビリンチュラDNA修復機構の改変) 前年度までのサブテーマ①において、低塩濃度ストレス条件等におけるA. limacinumのHR・NHEJ・MMEJ関連遺伝子の転写情報等を解析し、HR効率を向上させるターゲット遺伝子を探索した。補助事業期間中のサブテーマ③においては、前年度探索したHR関連ターゲット遺伝子を過剰発現し、先に確立したHR効率評価系によりHR効率を確認する。また、NHEJ・MMEJ関連遺伝子DNAライゲースIVやポリメラーゼシータ等について、ノックアウト・ノックダウン実験を進めてHR効率への関与を明らかにする研究を進める。 (サブテーマ④緑藻DNA修復機構の改変) 前年度までのサブテーマ②において、C. reinhardtiiのHR・NHEJ・MMEJ関連遺伝子の転写情報等の解析と、A. limacinumのデータを参考に、HR効率を向上させるターゲット遺伝子を探索した。補助事業期間中のサブテーマ④において、前年度探索したHR関連ターゲット遺伝子の過剰発現方法を検討する。さらに、A. limacinumのHR効率評価実験を参考に、NHEJ・MMEJ関連遺伝子について、ノックアウト・ノックダウン実験方法を検討し、HR効率に影響する遺伝子に関する研究を進める。
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