Project/Area Number |
23K23523
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Project/Area Number (Other) |
22H02256 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38030:Applied biochemistry-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北島 健 名古屋大学, 糖鎖生命コア研究所, 特任教授 (80192558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 ちひろ 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (10343211)
呉 迪 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 助教 (10817547)
羽根 正弥 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (70853331)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,940,000 (Direct Cost: ¥13,800,000、Indirect Cost: ¥4,140,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2022: ¥10,270,000 (Direct Cost: ¥7,900,000、Indirect Cost: ¥2,370,000)
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Keywords | 硫酸化シアル酸 / 硫酸転移酵素 / 遺伝子改変動物 / 脊椎動物 / シアル酸 / マウス / メダカ |
Outline of Research at the Start |
糖鎖付加はタンパク質および脂質に対する主要な修飾反応である。その糖鎖の最末端は通常シアル酸が占めており、細胞認識や細胞接着を媒介・制御している。しかし、そのシアル酸が更に硫酸化やアセチル化修飾されている事実は殆ど知られておらず、その修飾シアル酸の存在意義も不明である。近年、我々はシアル酸の修飾の中でも脊椎動物に普遍的に存在する硫酸化に着目して、その生合成酵素であるシアル酸硫酸転移酵素遺伝子を少なくとも2種類同定した。本研究では、それらの酵素の性質を解明すると共に、それらの遺伝子ノックアウト動物を作出し、表現型を観察することによって、シアル酸の硫酸化の生物学的意義を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、世界で初めて発見されたシアル酸の硫酸化酵素に着目して、シアル酸の硫酸化の生物学的意義の解明を目指した。具体的には、次の2項目を行った。(i) SulT-Sia1およびSulT-Sia2 遺伝子欠損動物の表現型の解析: まず、遺伝子改変メダカの解析では、これら2種類の遺伝子欠損 (KO) メダカが必ずしも致死とならないことが判明した。飼育環境を整えた結果、野生型(WT)もKOメダカの生存率に差が無くなったことから、樹立したKOメダカは必ずしも致死とはならないことが判明した。しかしKOメダカは樹立当初、致死性が高く、2-3世代継代後に致死性が消失したことから、その間に何らかの致死性回避の遺伝的変化が起こったと考えている。一方、KOメダカは受精後孵化までの発達段階において違いが観察された。この表現型は現在探究中である。次に、遺伝子改変マウスの解析では、昨年度から遅延していたSulT-Sia1とSulT-Sia2の欠損 (KO)マウスが樹立された。KOマウス自体は誕生し、成体まで生育することが判明した。現在、KOマウスの表現型の詳細な解析を行っている。(ii) 新奇シアル酸硫酸転移酵素の探索と同定、酵素の性質の比較検討: 今年度までにG418誘導前後におけるRNAseqデータの比較から新奇SulT-Sia候補酵素遺伝子をつきとめた。しかし、それらのcDNAを哺乳類細胞で過剰発現させても硫酸化シアル酸の発現は増加せず、現在、RNAseqデータの解析と発現部位の情報から探索する新たな方法を検討している。SulT-Sia1とSulT-Sia2の組換え体酵素を哺乳類細胞で発現して、その酵素のin vitroでの性質を明らかにする目的で、哺乳類細胞に遺伝子導入して分泌酵素を比較的大量に得る方法を確立することができた。現在、この酵素を用いて性質を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(i) SulT-Sia1およびSulT-Sia2 遺伝子欠損動物の表現型の解析について: まず、遺伝子改変メダカについて、これら2種類の遺伝子欠損 (KO) メダカが必ずしも致死とならないことが判明した。興味深い点は、KOメダカは樹立当初は致死性が高かったのに、2-3世代継代後に致死性が消失することであり、世代を重ねる中に、KOメダカにおいて致死性回避の遺伝的変化が起こったものと考えている。一方、KOメダカは受精後孵化までの発達段階において違いが観察された。この表現型は両硫酸転移酵素に共通の性質であるので、今後、硫酸化シアル酸をもつ担体分子を同定することで研究の進展が期待できる。次に、遺伝子改変マウスについて、昨年度から予定を遅らせたSulT-Sia1とSulT-Sia2の欠損 (KO)マウスが樹立された、現在、研究は加速している。KOマウス自体は誕生し、成体まで生育することがわかり、今後、詳細な表現型解析を行う予定であるが、少なくともメダカの初期発達段階での異常がマウスでも共通に起こるのかどうかを調べることは進展が期待できる。(ii) 新奇シアル酸硫酸転移酵素の探索と同定、酵素の性質の比較検討: G418誘導前後におけるRNAseqデータの比較から新奇SulT-Sia候補酵素遺伝子を同定する方法は精力的に推進したが、うまくいかなかった。しかし、現在、RNAseqデータの経時変化を取得しており、硫酸化関連酵素発現との相関解析から標的酵素を同定するという新たな方法に期待して研究を進めている。また、硫酸転移酵素の組換え体酵素を用いて、酵素の性質を探索する実験については、これまでに哺乳類細胞に遺伝子導入して分泌酵素を比較的大量に得る方法を確立することができており、順調に酵素の性質を調べつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
(i) SulT-Sia1およびSulT-Sia2 遺伝子欠損動物の表現型の解析について: まず、SulT-Sia1およびSulT-Sia2 遺伝子欠損(KO)メダカは両者ともに受精後孵化までの発達段階において違いが観察されており、この表現型の原因を形態学的観察および生化学的解析を行うことによって、硫酸化シアル酸の意義の一端が解明されると考えている。とくに、硫酸化シアル酸の担体タンパク質あるいは脂質をオミックス解析によって特定することは、シアル酸硫酸化の生物学を大きく発展させると考えている。次に、SulT-Sia1とSulT-Sia2のKOマウスについては、誕生後成体まで生存の観点からは異常が見つからないため、メダカの発達段階における異常を踏まえて胚の発達観察を行う。また、各臓器のシアローム解析やRNAseq解析を通じて、原因を特定していく。加えて、マウスにおいては行動実験などを行い、さらに表現型を深めていく予定である。(ii) 新奇シアル酸硫酸転移酵素の探索と同定、酵素の性質の比較検討について: これまでの研究から、硫酸化シアル酸を生合成する酵素は、SulT-Sia1およびSulT-Sia2以外にも存在すると考えており、その同定を目指す。現在、RNAseqデータの経時変化を取得し、硫酸化関連酵素発現との相関解析をおこなう新たな方法に挑戦しているところである。また、硫酸転移酵素の組換え体酵素の性質を探索する実験については、これまでに樹立した哺乳類細胞を用いた組換え体酵素調製を利用して推進していく予定である。以上のように、新しい研究方法を導入して推進することで、新たなシアル酸の硫酸化の意義が解明されることが期待される。
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