Project/Area Number |
23K23530
|
Project/Area Number (Other) |
22H02263 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38030:Applied biochemistry-related
|
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
榊 利之 富山県立大学, 工学部, 研究員 (70293909)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘高 敦史 帝京大学, 薬学部, 教授 (00214833)
中西 友子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10344863)
生城 真一 富山県立大学, 工学部, 教授 (50244679)
安田 佳織 富山県立大学, 工学部, 准教授 (70707231)
西川 美宇 富山県立大学, 工学部, 助教 (90749805)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
|
Keywords | ビタミンD / ビタミンD受容体 / 遺伝子治療 / シトクロムP450 / ゲノム編集 / ビタミンD誘導体 / 医薬品 / 作用メカニズム / 脱毛症 / アデノウイルスベクター / Cas9 / Cas9ニッカーゼ |
Outline of Research at the Start |
申請者はゲノム編集により、CYP27B1、VDRあるいはCYP24A1遺伝子を欠損するラットの作製に成功した。さらに、1,25D3に対する親和性が25D3と同程度にまで低下した変異型VDR-R270LをもつⅡ型くる病モデルラット、1,25D3および25D3に対する親和性がいずれも約10分の1に低下したVDR-H301QをもつⅡ型くる病モデルラット、さらには両変異をもつ二重変異体VDR-R270L/H301Qもつラットを作製した。本研究ではこれら遺伝子改変ラットを評価系として、骨粗鬆症や癌の治療薬となるビタミンD誘導体の開発を試みる。一方、VDR-KOラット、CYP27B1-KOラットにはアデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療およびCRISPR-Cas9システムを用いたゲノム編集治療を行う
|
Outline of Annual Research Achievements |
① ビタミンDおよびビタミンD受容体の作用メカニズムの全貌の解明---VDR-H301Q およびVDR-R270L/H301Qの2系統についてはホモ接合体を取得することができた。両者ともに血中カルシウム濃度の低下、骨形成異常が見られたたが、両者ともに脱毛症状は見られなかった。1,25D3や25D3などのリガンドを結合することができないVDR-R270L/H301Qをもつラットに脱毛症状が見られなかったことから、毛周期の維持はリガンド非結合型VDRの作用であることが明確になった。また、CYP27B1発現アデノウイルス感染細胞をポジティブコントロールとして用いて市販の抗CYP27B1抗体を2種評価したところ、これらの抗体はCYP27B1とは異なるタンパク質に結合することを明らかにし、これらの抗体を用いたウェスタンブロットや組織染色データが誤りであることを明らかにした。② VDR-KOに基づくⅡ型くる病に対する遺伝子治療の有効性の検証---VDR cDNAを挿入したVDR発現アデノウイルスベクターをVDR-KOラットに皮内投与したところ、顕著な発毛促進が見られた(論文投稿中)。投与後、約2か月効果が持続した。通常、アデノウイルスベクターを用いた場合、目的タンパク質の発現は一過的であり、2週間程度で消失する場合が多いが、予想外の結果である。これらの結果はアデノウイルスベクターの皮内投与でケラチノサイト幹細胞にVDRが発現したことを示唆している。恒久的な治療を目的としたゲノム編集治療を目指す。また、本研究で用いるガイドRNA/Cas9/ドナーDNAの一体発現型アデノベクターの作製に成功した。VDR-KOラットから調製した皮膚細胞に感染させたところ、1,25D3投与によるCYP24A1mRNA量の顕著な上昇が見られ、数%の細胞でノックインが起こったことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム編集法により作製したVDR-R270L/H301Qラットに全く脱毛症がみられず、皮膚も正常であったことから、毛周期維持にはリガンド非依存的なVDRの作用が重要であることが明らかになった。VDR発現アデノウイルスベクター投与により発毛促進が2型くる病で見られる脱毛症に対して遺伝子治療の可能性を開いた。また、アデノウイルスベクターを用いたゲノム編集治療についてもポジティブな結果が得られ、いずれも予定通りの進捗が見られたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
① ビタミンDおよびビタミンD受容体の作用メカニズムの全貌の解明---VDR-H301Q およびVDR-R270L/H301Qの2系統について皮膚、骨、血中のCa、PTH、1,25(OH)2D3濃度を詳細に調べるとともに、脳におけるビタミンDの機能を探るためにCYP27B1-KOラットやVDR-KOラットに脳組織の変性が見られないか調べる。これはアルツハイマー病やパーキンソン病患者の血中25(OH)D3濃度が健常者に比べ有意に低い事実に基づく。② VDR-KOラットの脱毛症状に対するVDRの作用メカニズムの解明---VDR-KOラットにおいてみられる脱毛症状から、VDRが毛周期の維持に深く関わることは間違いないが、その詳細な分子メカニズムは不明である。脱毛症状が見られないVDR-R270L/H301Qラットと脱毛症状が見られるVDR-KOラットの皮膚におけるトランスクリプトム解析およびプロテオーム解析によりVDRの毛周期維持作用メカニズムの解明を試みる。③ VDR-H301Qラットを用いたⅡ型くる病VDR-H305Q患者に有効なビタミンD誘導体の開発---VDR-H305Qに由来するヒトⅡ型くる病についてin vitro VDR(VDR-H301Q)結合能評価システムを用いたビタミンD誘導体のスクリーニングし、選抜した化合物をVDR-H301Qラットに投与して効果を評価する。 ④ VDR-KOに基づくⅡ型くる病に対する遺伝子治療の有効性の検証---VDRcDNAを挿入したVDR発現アデノウイルスベクターをVDR-KOラットに皮内投与したところ、顕著な発毛促進が見られたが、恒久的な治療を目的としたゲノム編集治療を目指す。昨年度構築しCas9、gRNA、ドナーDNA一体型アデノウイルスベクターを用いてVDR-KOラットの背部皮膚にゲノム編集治療を行う
|