Project/Area Number |
23K23545
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Project/Area Number (Other) |
22H02278 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仲川 清隆 東北大学, 農学研究科, 教授 (80361145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永塚 貴弘 東北大学, 農学研究科, 准教授 (30445895)
加藤 俊治 東北大学, 農学研究科, 准教授 (60766385)
伊藤 隼哉 東北大学, 農学研究科, 助教 (50781647)
乙木 百合香 東北大学, 農学研究科, 助教 (90812834)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
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Keywords | 過酸化脂質 / LC-MS/MS / 酸化メカニズム / 酸化ストレス / 酸化機構 / 抗酸化 / フェロトーシス / 脂質酸化 |
Outline of Research at the Start |
応募者らは種々の酸化メカニズムから特徴的に生成する脂質ヒドロペルオキシドの構造に応じ、さらに多種多様で膨大な酸化二次生成物が生じることを確信し、この情報の精緻化で脂質酸化経路の全貌を捉えられると着想した(課題A 質量分析・計算化学に基づく脂質酸化マップの構築)。そして、マップを活かし特定の経路を制御し、食品の未来品質・ヒトの健康社会に繋げることを発想(課題B 高活性および香り・味に寄与する酸化二次生成物の特・制御、課題C 生体脂質の酸化経路解明で導く新規細胞死の制御)して、これを具現化する基盤的研究を推進し、本研究領域に関する未来社会(プレシンギュラリティ時代)へ立ち向かえる基盤価値を創造する。
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Outline of Annual Research Achievements |
食品劣化や疾病に繋がる脂質酸化のメカニズムの全貌解明は、世界の過酸化脂質研究者の究極目標である。我々は独自のLC-MS/MS法を駆使し、ラジカル酸化や酵素酸化、一重項酸素酸化、それぞれから特徴的に生成する脂質ヒドロペルオキシドの構造に厳密に応じて、さらに多種多様で膨大な酸化二次生成物が生じることを確信し、この情報の精緻化で脂質酸化経路の全貌を捉えられると着想した。そして、マップを活かし特定の経路を制御し、食品の未来品質・ヒトの健康社会に繋げることを発想して、これを具現化する本研究を構想した。これらの課題を達成し、脂質酸化の徹底管理による食の安全性担保とフードロス削減、酸化物の構造制御によるヒトを魅了する味・香りのプロデュース、そして疾病の新規診断・治療技術の開発やその予防に向けた新機能性食品の創成へ結びつける。こうした基盤的研究を推進し、本研究領域に関する未来社会(プレシンギュラリティ時代)へ立ち向かえる基盤価値を創造する。 上記の課題達成のため、本研究では4つの課題(課題A, 課題B-1, 課題B-2, 課題C)を設定し、本年度は課題A、課題B-1に加え、課題B-2に取り組んだ。また、課題Cについて前年度の結果をベースにさらに研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【課題A:質量分析・計算化学に基づく未知の脂質酸化経路の開拓とマップ構築】計算化学から想定される脂質酸化経路の証明を進めるとともに、本経路の中間体となる種々の酸化二次生成物の標準品を調製した。この成果の一部がBioscience, Biotechnology, and Biochemistryに受理され、さらに論文賞を受賞した。 【課題B-1:ビックマップによる高活性酸化二次生成物の新規生成経路の特定】課題Aで構築したマップから、リノール酸から高活性アルデヒドであるグリオキサールとメチルグリオキサールが生成される新たな経路が想定された。リノール酸からこれらのアルデヒドが生成するという報告はなく、中間体等の調製およびLC-MS/MS分析によってこれを証明しつつある。また、油脂の廃棄基準である酸価(AV)は油脂の酸化で生じる遊離脂肪酸と言われてきたが、構築したマップからカルボン酸結合型トリアシルグリセロールもAVに寄与していることが予想された。この証明を行った研究は日本栄養食糧学会2024年度大会の技術賞を受賞した。 【課題B-2:ビックマップによる香り・味に寄与する脂質酸化物の探索と創出】「食品脂質の酸化は全て悪」というイメージが強い中、短鎖飽和脂肪酸の酸化がココナッツや乳風味に重要な成分であるラクトンを作り出すという50年来の仮説を証明した。この証明には我々独自の標準品合成技術や、LC-MS/MS技術を用いた。 【課題C:生体脂質の酸化経路解明で導くフェロトーシス制御と関連疾患予防】応募者らの独自LC-MS/MS法と国際共同研究により、フェロトーシスを制御する重要な酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)の酵素活性を評価するための新たな汎用性の高い方法を開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
課題A:次年度も引き続き質量分析と計算化学を駆使し、ビックマップの精緻化を行う。また、必要に応じて中間体等の標準品を合成し、ビックマップの証明も同時に進める。 課題B-1:新たに予測されたグリオキサールとメチルグリオキサールの生成経路について、標準品等を合成して、その証明を行う。そして生体内や食品中において、これらの高反応性アルデヒドと昨年度証明を行ったアクロレインなどが病態や食品品質に与える影響を評価する。 課題B-2:引き続き、脂質酸化が食品の風味に与える影響の評価を行う。特に風味が特徴的なオリーブオイルについて、すでに我々は糖脂質の酸化物が重要な役割を担っている可能性を掴んでおり、その証明を進める。 課題C:開発した方法を基盤に、引き続きフェロトーシスの活性本体の特定に挑むとともに、機能性成分による予防法の構築を目指す。
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