Elucidation of the Molecular Mechanisms of Pectin Interaction with Intestinal Epithelial Cells
Project/Area Number |
23K23552
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Project/Area Number (Other) |
22H02285 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
矢部 富雄 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70356260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志水 元亨 名城大学, 農学部, 准教授 (20423535)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
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Keywords | ペクチン / 小腸上皮細胞 / 腸オルガノイド / フィブロネクチン / 分子間相互作用 / 食物繊維 / カルシウム |
Outline of Research at the Start |
動物がペクチンを経口摂取すると,小腸絨毛が伸長し,栄養を吸収する場である小腸の表面積が大きくなる現象が起こるものの,その作用機序および生理的意義は不明である。研究代表者らは,ペクチン分子と相互作用するタンパク質をヒト腸管上皮細胞より同定し,小腸において直接細胞に作用することを発見した。また,その作用は形態変化に留まらず,小腸での栄養素の吸収効率や腸管免疫にも影響することを見出した。本研究では「小腸を構成する細胞はペクチン分子中の特異的多糖構造を認識してペクチンに応答している」という仮説を立て,小腸を構成する細胞に発現するタンパク質と相互作用する多糖構造の同定を目的としてこれを立証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
水溶性食物繊維であるペクチンは,陸生植物の細胞壁を構成する必須の成分でもある。そこで,プルーン,アップル,レモン,シュガービート,オレンジ,カキ,ユズといった各種の植物からペクチンをオートクレーブを用いて熱水抽出し,DEAEセルロース陰イオン交換カラムを用いてペクチンを精製した後,主鎖の主成分であるガラクツロン酸を酵素により分解してそれぞれのペクチン側鎖を得た。この側鎖に対してTFAによる酸加水分解を行った後,HPLCにより側鎖構造を構成する糖組成を分析した。その結果,側鎖の分岐点となるラムノースと主要な構成糖であるガラクトース(Gal)およびアラビノース(Ara)のそれぞれの存在比から,Gal/Araを算出したところ,Gal比の高いペクチンとAra比の高いペクチンに分類されることを明らかにした。続いて,小腸上皮細胞が分泌するフィブロネクチンとそれぞれのペクチン側鎖との相互作用解析を行ったところ,結合力の強さとGal/Ara比に基づく構成糖比との相関は見られなかった。一方,側鎖のみではなくペクチン分子全体を用いたフィブロネクチンとの相互作用分析では,いずれのペクチンについても類似した結合力が示されたことから,ペクチン分子中の特定の主鎖構造がフィブロネクチンとの相互作用に関与している可能性が示唆された。そこで,主鎖構造のメトキシ化度(DM)を分析した結果,DMが高いほどペクチンとフィブロネクチンとの結合力が強まり,DMが低くなれば結合力が弱まることを見出した。さらに,メトキシ化されていないガラクツロン酸がカルシウムを抱合することによって,両者の結合力は変わらないものの,フィブロネクチンに対するペクチンの結合量が増加することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の計画当初は,摂取した水溶性食物繊維のペクチンが小腸において生理機能に関与する際のターゲットとなる腸管上皮細胞由来のフィブロネクチンと相互作用する際に,ペクチン分子中の側鎖構造が重要な役割を果たしていると想定しており,それゆえに様々な植物種から得られたペクチンの側鎖構造に着目してその構造の特徴の同定を試みた。側鎖構造に関しては,予想通り植物種により大きく異なることが明らかとなったものの,フィブロネクチンとの相互作用については構造との相関関係を見出すことが出来なかった。しかしながら,側鎖構造のみではなく,主鎖であるポリガラクツロナンを含めたペクチン分子全体を対象としてフィブロネクチンとの相互作用をさらに解析したところ,結合には側鎖構造ではなく主鎖構造のメトキシ化の程度が大きく関与し,さらにカルシウムを抱合した状態で安定した結合を担っていることを明らかにした。この発見は,ペクチン分子を摂取した際の生理機能の発揮において,フィブロネクチンを介したペクチン分子による細胞へのシグナルの提示には植物種の相違が影響せず,その後の側鎖構造の違いを認識する別のタンパク質が存在することを示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
小腸を構成する細胞のうち,摂取した食物中のペクチンが直接接触する可能性が高い細胞である栄養吸収上皮細胞と粘膜固有層マクロファージ(LPMF)に注目し,これらの細胞のペクチンへの応答を指標として,ペクチン分子を認識する細胞表面タンパク質を明らかにする。これまでに,腸管上皮細胞が分泌するフィブロネクチンとの相互作用にはペクチン分子中の主鎖構造が主たるはたらきをすることを見出したが,フィブロネクチンを発現しないLPMFがペクチンに応答し,その強弱が植物種に因って異なる場合は,ペクチンの側鎖構造の相違がLPMFに存在するタンパク質との相互作用を決定している可能性が高い。そこで,LPMFがLPSによって刺激された際に炎症性サイトカインIL-6の分泌をペクチンが抑制する機能を利用して,研究分担者らによって発見・同定されたペクチン分解酵素を用いて分子構造限定的に分解し,どのような構造が消失した際に最もIL-6分泌抑制への影響が大きいかを検討する。これにより,LPMF細胞がペクチンを認識する際の多糖分子構造の同定を目指す。また,マクロファージ細胞から膜タンパク質を調製し,ペクチン分子と相互作用するタンパク質の同定を試み,そのタンパク質が同定された後には,ゲノム編集技術により標的タンパク質を欠損させて,ペクチン添加時の影響を確認することにより,ペクチンの小腸における生理機能発現メカニズムの解明をめざす。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)