Project/Area Number |
23K23589
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Project/Area Number (Other) |
22H02324 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39020:Crop production science-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 始彦 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (00355538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 泰弘 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度分析研究センター, 上級研究員 (10354086)
杉浦 大輔 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (50713913)
増田 曜子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80813237)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
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Keywords | イネ / 窒素固定 / エンドファイト / 炭水化物 / 品種 |
Outline of Research at the Start |
水田での窒素固定能の総合的な増強を目指してイネの不伸長茎部エンドファイトおよび根圏を含む土壌における窒素固定活性の変動要因を明らかにし、その増強方向を示す。いずれについても炭素源および代謝と窒素固定活性の関係に着目して解析を行う。エンドファイトについては植物側の炭素基質の種類と微生物菌叢から変動要因を解析する。また土壌については表層の光・酸化的条件と下層の暗・嫌気条件それぞれについて有機物施用下での窒素固定の変動を鉄形態や無機態窒素など土壌環境との関係から解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
イネ体内における窒素固定活性の変動要因を植物側と微生物側からの解析を進めた。また水田土壌の窒素固定活性の変動要因と促進方向について検討を進めた。イネ体内の窒素固定については不伸長茎部の窒素固定菌種の酸素要求性や基質特異性などの特性を推定するために、茎部のメタボローム解析の結果よりARAと関係が強いと推定された代謝産物について不伸長茎部磨砕液へ添加する実験結果と部位別の菌叢解析の解析を引き続き行なった。その結果基質間で窒素固定活性の促進効果の差異が認められ、また部位により主要な窒素固定菌叢が異なることを見出した。 水田土壌の窒素固定能の促進要因を明らかにするために各種鉄化合物(非晶質酸化鉄フェリハイドライト、風化土壌に多い晶質酸化鉄ヘマタイト、およびその他の含鉄化合物)の添加による窒素固定活性への影響を培養実験にて調査した。またN施肥の影響を明暗条件で比較を行った。その結果、土壌によって鉄化合物や資材の影響は異なったことから土壌条件が窒素固定の促進に大きく関わることが示唆された。また窒素施肥は特に明微好気条件での窒素固定量を抑制したが、暗嫌気条件では明確ではなく土壌による差異が大きかった。暗条件では抽出態Feとの関連性のほうが強かった。これらより光・酸素条件により無機態Nの影響は異なること、また暗条件での窒素固定能はFe還元活性との関係が強いことが推察された。また、ワラおよび含鉄資材の施用による窒素固定の増強効果を検証するために圃場においてワラおよび含鉄資材の連用圃場を設置し、予備的試験を開始した。 土壌や植物体内に固定された窒素の動態を安定同位体を用いて解析するため、植物体中無機態窒素やアミノ酸中の15NをLCMSで定量化する実験系を検討し、硝酸態窒素やアミノ酸についてはある程度の精度で測定できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イネ茎部のエンドファイトによる窒素固定能の変動要因について、品種や部位による変動を明らかにできつつある。また代謝的なメカニズム解明のために糖類や有機酸など基質の比較を行ない、有効な基質を推定した。圃場においては、作期間中の茎部窒素固定能をARAによる評価を行い、その積算値から窒素固定量の寄与の推定を行えた。品種差異やN施肥の影響についての評価も行い、その結果をまとめていく予定である。さらに水田全体としての窒素固定能の増強のために土壌の窒素固定能の変動要因の解明も進めた。このため培養実験による詳細な解明と圃場における動態解析の両方を組み合わせて研究を進めた。この中では鉄化合物のよる影響について培養実験で予備的なデータをとることができた。また稲わらの連用圃場を設置し、栽培試験を開始した。今後この圃場を用いて稲わらの窒素固定増強効果を検証する。
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Strategy for Future Research Activity |
植物体中茎部エンドファイトの窒素固定能の品種による差異とその要因の解明を進める。圃場におけるARA活性の積算値などから作期中の窒素固定量の推定と比較を行う。また窒素施肥の影響を解析する。これまでの結果では生育初期に窒素施肥の影響が大きい傾向にあったがその確認と要因の解析を行う。また茎部内の各部位(不伸長茎部、根基部、葉鞘基部など)について窒素固定活性の比較のため、15N固定量の解析を行うとともに菌叢との関係を解析する。また茎部でのエンドファイト窒素固定の有効な基質を明らかにするためにこれまで行ってきている異なる活性をもつ品種間の代謝産物の違いや基質の添加試験の結果の解析を進め有効な基質を推定する。さらにCO2発生などからみた各基質の分解活性と窒素固定能の変動の関係をさらに解析する。基質の分解に関わる代謝産物の解析もあわせて進め、窒素固定の代謝的メカニズムを推察する。 一方でエンドファイトのみによる窒素固定はイネの窒素吸収への大きな寄与には限界があることが推定されることから今後は土壌や根圏の窒素固定能の変動要因の解明についてもより詳細な解明を進め、増強方策の確立を目指す。培養実験による要因やメカニズムの詳細解析と圃場における窒素固定の変動動態の解明やイネ生育への影響の検証の両面から研究を進める。土壌について光条件の表層と暗条件の下層の2つの層位間の違いの評価を培養実験と圃場実験の両方で解析する。本年度ワラおよび鉄資材の連用圃場を設置し予備的な測定を行ったが、次年度以降さらにその測定頻度を増やして詳細な動態の解明を行う。また連用によるイネの生育や窒素吸収の変化を追跡していく予定である。
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