カキのゲノム進化に基づく果実の形状多様性獲得モデルの構築
Project/Area Number |
23K23604
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Project/Area Number (Other) |
22H02339 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39030:Horticultural science-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
赤木 剛士 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (50611919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川勝 泰二 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (30435614)
尾上 典之 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 主任研究員 (50613121)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
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Keywords | 果実形状 / バイオインフォマティクス / 深層学習 / ゲノム進化 / 集団遺伝学 / 倍数化 / カキ / 全ゲノム解読 / 重複遺伝子 / 品種分化 / 進化選択圧 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、果実の多次元的な形状多様性を示すカキ品種群を対象として、その多様性の成り立ち・制御機構などを明らかにするものである。深層学習を中心としたAI解析に基づいて、鍵となる遺伝子発現の制御モデル化を行うとともに、集団遺伝学的な解析に基づく果実形状決定の遺伝的要因や、カキ品種群分化における形状変化と進化過程の関連性を解明することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
カキ果実形状に関する多様な品種を用いたGWAS解析から、果実の形状各主成分に対してそれぞれ連関領域を複数単離し、これらの領域における候補遺伝子群の網羅的単離を行った。果実生育における経時的なトランスクリプトーム解析を組み合わせることで効率的に候補遺伝子を単離し、タバコにおいて候補遺伝子群の形質転換を行うことで、現在、各遺伝子における機能評価を行っている。そのうち、AP3-like遺伝子およびHB4-like遺伝子の過剰発現は子房や中果皮組織における細胞分裂に大きな影響を与えており、カキ果実においてもその形状に影響を与えることが示唆された。 また、ゲノム・集団遺伝学的観点からカキ品種群における分化過程を明らかにする解析を高精度で行った。具体的には、倍数性ジェノタイプからアレル量効果を考慮に入れた遺伝的距離計算・ADMIXTURE解析を行い、その遺伝的分化構造と果実形状構造の間には相関が無いこと、つまり、カキ品種群に特異な形状多様性は品種分化の過程で連続的に生じたものでは無いことが示唆された。さらに、昨年度構築した「太秋」の新規高精度参照ゲノムと近年になって開発された倍数体用ハプロタイピング法を活用することで、連鎖不平衡値やハプロブロックにおけるSNPsの繋がりを出力することに成功した。2024年度では、これらの新規手法を活用して品種群の成立におけるボトルネックイベントやselective sweepの生じた可能性のある遺伝子座の同定を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
果実の形状多様性に関わるGWAS解析から同定した候補遺伝子群、特にAP3-likeやHB4-like遺伝子の機能証明を行うに至っており、また、新規全ゲノム解読情報を基盤とした集団遺伝学的解析、集団進化的解析から、品種分化における構造進化や果実形状との相関性が明らかになってきている。さらに、このゲノム基盤を基として、新規の倍数性遺伝学的手法を取り入れることで、本来は倍数体植物では不可能であったハプロタイプ解析や、それに基づいた選抜解析・ボトルネック解析なども可能にしている。ここでは、特に倍数体特異的な選抜領域の同定を目指した手法論の開発を目指しており、ldsepやpolyhaplotyperなどのツールを組み合わせることで、ハプロブロック延長度を指標としたselective sweep解析を行うことが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
カキの主要品種の一つ「太秋」における高精度染色体レベルの全ゲノム配列と、新規の倍数体遺伝学解析手法であるldsepやpolyhaplotyperなどのツールを組み合わせることで、アジアを中心とした世界のカキ品種コレクション(N=800)を対象としたハプロタイピングを行う。品種群で保存されたコアSNPs群からのハプロタイプ延長度の同一性(Extended haplotype homozygosity)を指標とした選抜圧解析を行うことで、カキ品種群におけるボトルネックイベントの定義や選抜対象となった遺伝子群の単離を行う。これと形状多様性を生み出す遺伝子領域の比較から、六倍体のカキ果実に特異な形状多様性の由来とその進化的意義などを考察する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)