Research for developing novel insect growth regulators to avoid insecticide resistance and non-target organism toxicity
Project/Area Number |
23K23624
|
Project/Area Number (Other) |
22H02359 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39050:Insect science-related
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
塩月 孝博 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 教授 (80355734)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 倫太郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度分析研究センター, 上級研究員 (00399429)
土屋 渉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度分析研究センター, 主任研究員 (70844744)
菊田 真吾 茨城大学, 農学部, 准教授 (90718686)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
|
Keywords | 昆虫成長制御剤 / 選択的害虫防除 / 昆虫ホルモン |
Outline of Research at the Start |
害虫防除においては抵抗性発現への対策が重要課題であり、それに対抗するためには新規制御剤を開発する必要がある。また近年は、人畜のみならず環境生物や有益昆虫に対しても影響の少ない害虫防除技術が求められており、高選択性をもつ制御剤の創製が急務で、その有力候補の一つが昆虫成長制御剤(IGR)である。そこで本研究では、新規IGRの合成、投与時期や方法で異なる生物活性発現パターンの精査、化合物投与がホルモン濃度や関連遺伝子の発現に与える影響の解明、標的候補生体分子との相互作用と結合様式の解析を行うことで、作用機構に基づいた迅速かつ生合理的な分子設計を進めるための知見を得る。
|
Outline of Annual Research Achievements |
島根大学では、1-ベンジル-2-メチルベンゾイミダゾール(BMBI)の1位ベンジル基に置換基を持つ誘導体がカイコに対し高い成長阻害活性を示すこと、置換基の種類や位置により生じる表現型や活性の強弱が異なることについてまとめ、論文発表した。その結果に基づき、1位ベンジル基に異なる複数の置換基を持つ誘導体を合成したところ、これまでにBMBIでは観察されたことのない脱皮阻害を引き起こすものも得られた。またBMBIの標的分子と考えられる幼若ホルモン(JH)結合タンパク質(JHBP)に遺伝子配列の似たtakeout遺伝子は各昆虫に十数種類があることが知られ、昆虫制御剤の標的となる可能性があるものも考えられるので、カイコから10種をクローニングし、成長に伴う発現変動を調査した。その中には脱皮前後に表皮で発現する遺伝子が発見され、新規害虫制御剤の作用点の候補と考えられ、論文として発表した。 茨城大学では非標的昆虫に対する影響評価を行った。島根大学で得られた化合物の中で活性の高かったものを含む数種のBMBIについて、野外で散布を想定し、ミツバチの外勤バチに対する殺虫活性を調べた。その結果、カイコに対し成長阻害を引き起こす薬量でも影響は無いことが確認された。 農研機構で調製した標的分子候補の幼若ホルモン(JH)結合タンパク質(JHBP)に2つの蛍光発色団を付加したJHセンサーを用いてFRET活性により合成した化合物の親和性を評価したところ、FRET活性と成長制御活性の間で相間を示すものもあれば、示さないものもあることが分かり、BMBIにはJHBP機能阻害以外の作用機序があることが示唆された。 また新たに置換基の異なるBMBIのX線結晶構造解析を行い、置換基の違いにより結合様式が異なることも明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2-メチルベンゾイミダゾール(BMBI)類縁体については、基本骨格であるベンゾイミダゾールを類似骨格に変換したものや2位にメチル基以外のものなど12種、1位ベンジル基に異なる2つの置換基を持つBMBIを6種を合成し、生物活性評価を行ったところ、2位にメチル基を持つベンゾイミダゾール骨格が成長阻害活性に重要であり、また、これまでに得たBMBIとは異なる幼虫脱皮を阻害する化合物が発見された。 同じ化合物でも、3齢投与では早期致死、4冷投与では成長阻害と、表現型が異なり、複数の作用機序が考えられたため、体液中のJHとエクダイソン(Ecd)の濃度測定を進めている。一方で、BMBI投与によりJHとEcdの各初期遺伝子であるKr-h1とbroadの発現に与える影響について調べた結果、5齢期にKr-h1の発現が高かった。カイコの早熟変態を誘起するKK42の場合では、Kr-h1の発現を抑制し、broadの発現を早い時期から上昇させていることが分かった。 非標的生物毒性の回避を考える上で、ミツバチの外勤バチへ塗布投与したところ、カイコの成長を阻害する薬量でも影響は見られなかった。 BMBIのうちX線結晶構造解析によりJHBPとの結合様式が明らかとなった1-(4-プロピルオキシベンジル)誘導体では、プロピルオキシ基のエーテル酸素がJHBPのチロシン128と水素結合をしていたことを昨年度、報告した。そのエーテル酸素を炭素に置き換えた4-ブチルベンジル誘導体のX線結晶構造解析では、分子の向きが180度反転しており、ベンゾイミダゾールの3位窒素がチロシン128と水素結合していることが明らかとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに合成したBMBIには、脱皮阻害などいくつか異なる表現型を与えるものが発見されたので、それらについて作用機序の解明に重点を置いて研究を進める。それらの表現型とFRET活性の関係についても検討する。特に、同じ化合物でも薬量や投与時期により異なる表現型が得られたことから、複数の作用点・作用機序の存在が示唆されるため、それらの化合物について異なる条件で投与した場合に、それぞれの Kr-h1とbroadの発現変動に与える効果を評価することに加え、調査する関連遺伝子を増やし、かつ、LC-MSによる体液中の幼若ホルモン(JH)とエクダイソン(Ecd)の濃度変化との関係を明らかにすることで、内分泌系への影響を総合的に検討する。BMBIの数種を投与したカイコ幼虫から脂肪体を取り出し、一定時間後にRNA-seqによる発現mRNAデータについて網羅的な遺伝子解析を急ぐ。 異なる表現型が認められた新規合成BMBI類縁体についても、ミツバチへの毒性を評価するとともに、コウチュウ目のコクヌストモドキへの効果を検定し、構造と選択性の関係について調査する。またカイコに対しIGR活性を示したBMBI類縁体については、チョウ目害虫のハスモンヨトウに対する効果を調べる。 標的候補分子のJH結合タンパク質(JHBP)との相互作用については、新規合成BMBI類縁体の結合様式をX線結晶構造解析を行うと共に、ドッキングシミュレーションによる分子相互作用の解析を進める。
|
Report
(2 results)
Research Products
(6 results)